問いを立てる力が未来を変える|クリティカルシンキングを鍛える実践法
時務学 実践力シリーズ第2回
「この会議、何を決めたかったんだっけ?」
「課題は山積みなのに、どこから手をつけるべきか分からない」
「言われたことをそのままこなすだけになっている気がする…」
こうした場面に心当たりがある方は少なくないはずです。
現代のビジネス環境では、膨大な情報と変化の中で“思考停止に陥らずに考える力”=クリティカルシンキングがますます求められています。
本記事では、「問いを立てる力」を中心に、時務学としての“実務に活きる思考力”の鍛え方を掘り下げていきます。
経験年数に関係なく、「仕事に向き合う姿勢そのもの」を変えてくれる力。それが、クリティカルシンキングです。
クリティカルシンキングとは「疑い、問い、深く考える力」
「クリティカル=批判的」という言葉にネガティブな印象を持つ方もいるかもしれませんが、ここでの意味はまったく異なります。
クリティカルシンキングとは、物事をうのみにせず、多面的に考え、本質を問い直す“柔らかな思考力”のことです。
たとえば、
• 「本当にこのやり方が最適なのか?」
• 「前提は正しいのか?他の可能性は?」
• 「そもそも私たちは“何を解決したいのか?”」
こうした“問い”を持つことが、現場における思考の深化と行動の質の向上に直結します。
なぜ「問いを立てる力」が必要なのか?
情報やツールが溢れる今、“答えを早く出す人”より、“適切な問いを立てられる人”が評価される時代になっています。
その理由は2つあります。
① 課題の本質を見抜かないと、解決策がズレる
多くの業務改善やプロジェクトが、期待通りの成果につながらないのは、そもそもの問題設定がズレているからです。
「何のためにやるのか」「誰のためにやるのか」「どうあるべきか」があいまいなまま進めると、対処療法に終わってしまうリスクが高くなります。
② 自分で考えられる人が、変化に強くなる
変化の激しい時代では、正解がすぐに見つからないことの方が多いです。
だからこそ、自ら仮説を立て、検証し、軌道修正できる人材が求められます。これはまさに、「問いを立てる力」に支えられています。
実践!問いを立てる力を鍛える3ステップ【深掘り解説】
では、どうすれば日々の仕事の中でクリティカルシンキングを育てられるのでしょうか?
以下に、誰でも今日から始められる3つのステップを実務レベルで詳しく解説します。
ステップ1:「なぜ?」を5回繰り返す|原因追求の“掘削力”を鍛える
■ なぜ必要なのか?
問題の表面だけを見て対処すると、根本的な解決につながらない“再発リスク”が高まります。
本質に近づくためには、「原因の原因」まで掘り下げる必要があり、“5回のなぜ”が有効です。
■ どうやるのか?
1つの問題に対し、必ず「なぜ?」を5回繰り返して答えを掘り下げていきます。
ポイントは、「直前の答え」を材料に、次の“なぜ”を作ることです。
🔧 実践例:社内の資料ミスが多発している
1. なぜ? → 確認作業が不十分だった
2. なぜ? → 締切に追われて時間が足りなかった
3. なぜ? → 工程に余白がなく、突発対応が重なった
4. なぜ? → 計画時点でリスク想定がされていなかった
5. なぜ? → スケジュール策定時に現場の意見が反映されていなかった
→ 真因:計画段階での関係者ヒアリング不足
■ 活用シーン
• トラブル・クレーム対応
• 業務プロセス改善
• 会議や研修の振り返り
ステップ2:「そもそも…」で思考の前提を疑う|枠を超える“リフレーミング力”を育てる
■ なぜ必要なのか?
組織や日々の業務では、無意識のうちに「こうあるべき」「これが正解」と思い込んでいることがあります。
「そもそも」の問いは、その“前提”を解体し、自由な発想や根本的な見直しのきっかけになります。
■ どうやるのか?
既存のプロセス・常識・課題に対して、「そもそも、〇〇とは?」と問うテンプレートを使って視点を変えてみます。
📌 実践テンプレート:
• そもそも、私たちの目的は何か?
• そもそも、この作業は本当に必要か?
• そもそも、誰のためにやっているのか?
• そもそも、数字目標は妥当なのか?
🌱 事例:研修の参加率が悪い
→ そもそも、研修の「目的」は?→行動変容?満足度?
→ 対面形式である必要は?
→ 業務時間内の実施が妥当か?
→ 目的と手段がズレていたことで、本来の効果が出ていないと判明。
■ 活用シーン
• 新規プロジェクト立ち上げ
• 方針転換時の再定義
• 組織改善・会議の設計見直し
ステップ3:会話の中に「問い」を持ち込む|対話の質を変える“ファシリテーション力”を高める
■ なぜ必要なのか?
組織やチームでの思考の質は、その場にいる“誰かの問い”で決まると言っても過言ではありません。
問いを投げることで、単なる報告や確認が、「考える場」に変わります。
■ どうやるのか?
日常のミーティングや雑談で、問いかけ型の言葉を意識的に使うだけでOKです。
特別なテクニックは不要で、自分の中の“好奇心”や“違和感”を言葉にすることが第一歩です。
📌 実践フレーズ例:
• 「この目標って、何を達成したいのかをもう一度確認してもいいですか?」
• 「他の可能性って、何か考えられますか?」
• 「理想の状態って、どんなものでしょう?」
• 「これ、“誰の視点”からの課題ですか?」
💡 ポイント:相手を否定せず、“一緒に考える空気”をつくる
■ 活用シーン
• 会議の冒頭や中盤の議論整理
• メンバーとの1on1
• 意思決定前の視点の広がりづくり
独学で学ぶならこの本から|おすすめ書籍3選
『イシューからはじめよ』(安宅和人 著)
本当に向き合うべき「問い=イシュー」とは何か?を深く掘り下げる名著。問題解決力の本質が学べます。
『論点思考』(内田和成 著)
議論や企画の“焦点”を見極めるスキルを解説。考えるべきポイントを明確にする技術が得られます。
『考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント 著)
ピラミッド構造を活用し、論理的かつ明快に考え、伝える力を育てる実践書です。
まとめ:「問いは思考を変え、行動を変える」
問いを持つことは、思考を深めるだけでなく、行動の質を変える強力なトリガーです。
• 「なぜ?」で本質に近づく
• 「そもそも」で思考の枠を超える
• 「問いかけ」で対話を活性化する
こうした小さな問いが、あなたの思考の筋力となり、チームや組織の前進を支える力になります。
あなたの一つの問いが、誰かの視点を変え、組織の選択を変えていく。
明日の仕事に、“ひとつの問い”を持ち込んでみませんか?








