善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

時務学 実践編| 第4回

「言われた問題には対応できるけど、本質的な課題には気づけない」

「トラブルが起きてから対処する“後手対応”になりがち…」

「言われたことだけをこなしていて、自分の頭で考えていない気がする」

そんな課題意識を持つビジネスパーソンに、いま必要なのは――

「問題発見力」です。

時務学においては、「今、何に取り組むべきか」「何が本当の課題か」を見極める力こそが、“行動の質”を大きく左右します。

この記事では、問題発見力を高めるための3つの視点と、日常でできる具体的トレーニング方法を、実践的に解説します。

問題発見力とは何か?|“問題”と“課題”の違いを知る

まず押さえておきたいのは、問題と課題は異なる概念であるということです。

• 問題:現状とあるべき姿とのギャップそのもの

• 課題:そのギャップを埋めるための「テーマ」や「取り組み方」

つまり、正しく問題を見つけなければ、有効な課題設定もできないということです。

たとえば:

• ❌ 「会議が長引く」 → 課題:「タイムキープを徹底」

• ✅ しかし本質は:「目的が曖昧」「発言者が偏っている」「準備不足」かもしれない

“現象”ではなく“構造”に目を向ける力――それが問題発見力の本質です。

問題発見力を鍛える3つの視点

① 見えている“現象”の裏にある「構造」を疑う

多くの人は、「表面的に起きていること=問題」だと捉えてしまいがちです。

しかし、問題の多くは“構造的な要因”によって引き起こされています。

📌 例:営業部の売上が落ちた → 「営業スキルの問題」と考える前に…

実は:

• ターゲット戦略がズレていた

• マーケティングと営業の連携不足

• 商品自体の魅力が顧客ニーズとズレていた

▶ 実践法:なぜなぜ分析(5回)

1つの現象に対して「なぜ?」を5回くり返し、原因の深層へ潜っていく習慣をつけましょう。

② あえて“別の視点”から問い直す

問題は、自分の立場や部署だけからは見えにくいものです。

あえて視点を変えることで、組織や構造の“盲点”に気づけるようになります。

🧠 有効な問いの例:

• 顧客から見たら、この状況はどう映るか?

• もしこれが新入社員・上司・経営者なら、どう捉えるか?

• 他業界の企業だったら、同じことをどう解決しているか?

→ 視点の切り替えは「思考のレンズ」を磨くトレーニングになります。

③ 「数字」と「感情」の両面を観察する

データやKPIは大切です。しかし、“現場の感覚”や“違和感”の中にも重要な問題の芽が潜んでいます。

✅ 例:目標達成しているのにチームの士気が下がっている

→ 数字の裏に、「働き方」「人間関係」「評価制度」などの“見えない問題”が隠れている可能性があります。

▶ 日常から「数字+空気感」で状況を見る習慣をつけましょう。

日常でできる!問題発見力トレーニング【実践強化版】

1. 「小さな違和感日記」をつける|“感度”を鍛える観察習慣

▶ 方法:

1. ノートやアプリに“違和感メモ”用のページをつくる

2. 毎日1回、「なんか気になった」「あれ?」と思った瞬間を1~2行で記録

3. 毎週末に見返し、どんなパターンが多いかを分析する

📌 書き方例:

• 今日は、誰もアイコンタクトをとっていなかった

• いつもより電話の取次ぎが遅れていた

• Slackの返信スピードが落ちている感じがした

▶ 効果: 違和感に敏感になることで、「問題の兆し」にいち早く気づけるようになります。

→ 続けるうちに、問題発見の“感度”が確実に上がります。

2. ニュースから“構造”を読む|仮想問題発見ワーク

▶ 方法:

1. 日経・Yahoo!・東洋経済などから1日1本、記事をピックアップ

2. 次の5問に沿って、「この問題の構造は何か?」を考える

🧩 フレーム:

• 【現象】:何が起きた?

• 【要因】:それが起きた背景や構造は?

• 【関係者】:誰に影響している?

• 【仮定】:これが自社で起きたら?

• 【対策】:未然に防ぐにはどうする?

✏️ 例:

「某アパレル企業が売上急減」→ 本当の問題は、SNSでの顧客接点不足と社内のブランド戦略のズレだった。

▶ 効果:

• 実例ベースで抽象思考を鍛えられる

• 他社の失敗から自社を見直す視点が身につく

3. 週1回の“なぜなぜ対話”|言語化と共感の力を磨く

▶ 方法:

1. 職場で10~15分の1on1時間をつくる(上司・同僚・部下いずれでも可)

2. 相手の話に対し、「なぜそう思うの?」「どうしてそうなった?」を3回以上重ねて掘り下げてみる

3. 対話の最後に「今日の気づき」を共有する

📌 使えるテーマ例:

• 最近、仕事で引っかかっていること

• 自分のチームのやりづらさ

• 「これってムダかも」と感じる業務

▶ 効果:

• 表面的な“声”の奥にある「真の課題」に気づける

• 共感+掘り下げ=心理的安全性と課題感が同時に育つ

まとめ|“問題に気づける人”が組織の未来を変える

問題解決が得意な人よりも、

問題の「本質」に気づける人が、組織にとって最も貴重な存在です。

• 表面だけで判断せず、構造に目を向ける

• 数字と空気感の両方を捉える

• 視点を変えて、自分の思考の枠を広げる

• 日常の“違和感”を大切にし、問いを立て続ける

これらの習慣を育てることで、あなたはチームの中で“気づきの起点”となれるはずです。

問題発見力は、誰でも磨ける技術です。

明日から、ひとつの小さな「違和感メモ」から、始めてみてください。

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