善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

新入社員の成長力を高める連載・第2回

「何を聞けばいいのか、聞き方すらわからない…」

入社して間もない新入社員の多くが、こんな悩みを抱えています。

「質問は大切」と言われても、何がわからないのかが自分でもはっきりせず、

「すみません、ちょっといいですか…」と声をかけるのも、どこか気が引けてしまう。

だからといって、わからないまま仕事を進めればミスにつながるし、

遠慮していると「主体性がない」と思われないかと不安になる…。

そんなジレンマを抱える新人が、“信頼され、育ててもらえる人材”へと変わるためのカギが、今回のテーマである「質問力」です。

なぜ“質問の仕方”で印象が変わるのか?

新人にとって「質問すること」は、単に答えを得るためだけの行為ではありません。

それは、自分がどう仕事に向き合っているかを、相手に伝えるメッセージでもあるのです。

先輩や上司は、以下のようなポイントを無意識に見ています。

• 自分で考えたうえで質問しているか

• 相手の状況やタイミングに配慮しているか

• 質問後、どんなふうに吸収し、活かしているか

つまり、「質問する力」は、仕事の理解力・人間関係構築力・学び取る力のすべてに直結しているのです。

そしてこの力を磨くことができれば、先輩から“また教えたくなる人”として覚えてもらえる存在になれるのです。

質問する前に大切なのは、「どこで止まっているか」に気づくこと

質問が苦手な人に多いのは、「自分がどこでつまずいているか」が曖昧なまま聞いてしまうことです。

たとえば、

「すみません、この書類ってどうやればいいんですか?」

と聞かれても、先輩は「何がわかってないのか、どこまで進んでるのか」が分からず、教えづらくなってしまいます。

💡 ワンステップ思考のすすめ

質問の前に、こう考えてみましょう:

「ここまでは自分で調べたけど、これ以上は判断が難しい」

「似たような資料が2種類あって、どちらを使うのかが不安」

「指示の○○の意味が曖昧で、こう解釈していいか迷っている」

このように“自分の理解の途中経過”を整理できれば、質問は格段にスマートになります。

「何に対して、どんな判断に困っているのか」を伝えられる人は、学びのスピードも速くなるのです。

可愛がられる質問力の極意①|聞き方の工夫

質問は、「何を聞くか」も大事ですが、「どう聞くか」で印象が大きく変わります。

🎯 ポイントは、相手へのリスペクト+前向きな姿勢

例1)

❌「すみません、全然わかりません…」

✅「自分なりに進めてみたんですが、ここで判断が止まってしまって…アドバイスいただけますか?」

例2)

❌「このフォーマット、どこにありますか?」

✅「共有フォルダを見てみたんですが、最新版が見つけられなくて…。教えていただけますか?」

このように、「調べた・考えた・でも判断がつかなかった」という姿勢が伝わると、

相手も安心して「よし、そこまでやってるなら教えよう」と思いやすくなります。

💬 “可愛がられる”人の共通点

• 一度教わったら、次は自分でやってみようとする

• 「前に教えていただいたことを踏まえて…」という言葉がある

• 質問した後に、「さっき教えてもらったあれ、こういう形で活かしました」と報告できる

質問の場面は、学びと信頼を同時に積み上げるチャンスなのです。

可愛がられる質問力の極意②|“聞くタイミング”は相手の仕事を観察する

どれだけ丁寧な聞き方をしても、相手が忙しいタイミングを見誤れば逆効果になってしまいます。

📌 タイミングを見極めるコツ

• 相手の表情・手の動き・PCの画面をチラ見してみる

→ タイピングが早くなっていたり、電話や会議中は避ける

• 「今、数分だけお時間いただいても大丈夫でしょうか?」と“確認”を挟む

→ 忙しければ、「あとで声かけてくれる?」と返ってきます

この一言があるだけで、「この新人は、ちゃんと空気を読んで動ける人だな」と感じてもらえます。

⏱ 忙しそうなときのワンフレーズ例:

「お忙しいところすみません、5分ほどお時間いただけそうなタイミング、後ほど教えていただけますか?」

この一言が言えるだけで、“聞く力”に人間力が滲み出ます。

可愛がられる質問力の極意③|“受け取り方”を意識する

実は、質問をした“その後”の対応が、最も相手の印象に残る部分です。

🎯 質問に答えた側が感じていることとは?

• 「この子、ちゃんと理解できたかな?」

• 「ちゃんとメモ取ってたかな?」

• 「あとでまた同じこと聞かれるかな…?」

つまり、教えた相手は、あなたの“吸収のしかた”に目を向けています。

💡「受け取り方」で信頼をつかむ3つのポイント:

1. 教わったことをすぐメモ or 復唱する

→「つまり、これはこういう意味ですね?」と確認するだけで理解力の印象が倍増。

2. 「ありがとうございます」の一言に+αを加える

→「ありがとうございます、次からは自分でできそうです!」のように、前向きな言葉で締めくくる。

3. 後日フォローする

→「先日教えていただいた件、無事できました。助かりました!」という一言で、“育ててよかった”を実感させられます。

質問上手は、“聞いた後の姿勢”までがセットです。

ここまでできれば、確実にあなたは“可愛がられる人”になります。

質問は、「関係性づくり」そのもの

質問とは、単なる「わからない→教えてもらう」ではありません。

それは、相手との信頼を育てる行動の一つです。

「この子、真剣に取り組んでいるな」

「教えたことをきちんと吸収しようとしてるな」

「前よりできるようになってきたな」

――そんな小さな積み重ねを、質問という“会話の中”で伝えることができるのです。

🌱 “育てたくなる人”は、こういう人

私がこれまで関わってきた職場でも、「あの子、なんか気になるよね」「応援したくなるよね」と自然と先輩たちが話し合う新人は、

決まって 「素直さ」「観察力」「吸収力」が質問を通じて伝わってくる人でした。

💡「やってみよう」と思えるシンプルな第一歩

• まずは1日1回、「質問にひと言+自分の考え」を添える練習をしてみてください。

• 「教えてもらう」ではなく、「一緒に考えを深める」という視点で関わってみてください。

• 「報告や御礼の一言」は、あなたが“できる人”であることを静かに伝える武器になります。

質問が怖くなくなるその日まで。

質問が、あなたの信頼を育てていく日々へ。

まずは、小さな「聞き方の変化」から始めてみませんか?

まとめ|“聞く力”は、信頼される力

• 質問は、「わからないことを埋める作業」ではなく、「関係性と学びを深める行動」

• 自分で調べ、考えたプロセスを伝えることで、信頼が生まれる

• 聞き方・タイミング・受け取り方・感謝と報告が“また教えたい”を引き出す

• 「質問できる力」は、仕事の成長力を何倍にも加速させる

「聞くのが怖い」「迷惑じゃないかと不安」――

そんな思いを持つあなたこそ、すでに相手への配慮がある人です。

あとは、ちょっとしたコツと勇気だけ。

質問は、恥ではありません。質問できる人こそ、伸びる人です。

さあ、次の“質問”が、あなたの新しい学びの扉になりますように。

次回もまた、一緒に一歩ずつ成長していきましょう。

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