善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

梅雨のジメジメを吹き飛ばす!坂本的マインドセット噺

変化を恐れない心を作る!~VUCA時代を生き抜く「しなやかさ」の秘訣~

皆さん、こんにちは。坂本です。

梅雨の季節、先の見えない雨雲のように、現代社会もまた不確実で複雑な様相を呈しています。昨日、私たちはネガティブな感情との上手な付き合い方を通じて、心の状態を整えるヒントを探りました。感情の波を乗りこなす力を養うことは、まさに「心のOS」であるマインドセットのアップデートに他なりません。

今日のテーマは、この「心のOS」をさらに強化し、激しく変化する現代社会を力強く生き抜くための「しなやかなマインドセット」です。私たちは今、VUCA(ブーカ)と呼ばれる時代を生きています。変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が高まるこの時代において、変化を恐れず、むしろそれを成長の機会と捉えるしなやかさが、個人にとっても組織にとっても、これまで以上に求められています。

この「しなやかさ」は、生まれつきのものではありません。意識的にマインドセットを育むことで、誰もが身につけられるスキルなのです。未来への漠然とした不安を感じている方、変化への適応に戸惑いを感じている方にとって、今日の記事が新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

1. 未来を予測できない時代:VUCAの正体とは?

VUCA(ブーカ)とは、以下の4つの英単語の頭文字を取った造語です。

  • Volatility(変動性):変化が激しく、予測が困難であること。
  • Uncertainty(不確実性):何が起こるか不明確で、確実な情報がないこと。
  • Complexity(複雑性):原因と結果の関係が入り組んでおり、全体像を把握しにくいこと。
  • Ambiguity(曖昧性):解釈の幅が広く、唯一の正解がないこと。

この言葉は元々軍事用語でしたが、2000年代以降、ビジネスや社会情勢の形容詞として広く使われるようになりました。デジタルテクノロジーの進化、グローバル化の加速、そして予測不能なパンデミックや自然災害など、私たちはかつてないスピードと規模で変化に直面しています。

例えば、少し前までは「大企業に入れば一生安泰」という安定したキャリアパスが一般的でした。しかし、今や業界の垣根は曖昧になり、新しい技術が瞬く間に既存のビジネスモデルを破壊する時代です。個人のスキルや経験も、常にアップデートしていなければ陳腐化するリスクに直面しています。このような環境下では、「これまでのやり方」や「常識」が通用しない場面が増え、多くの人が戸惑いや不安を感じるのも当然のことと言えるでしょう。

2. 固定マインドセットが変化の足かせになる理由

昨日お話しした「固定マインドセット」を持つ人は、VUCA時代の変化に直面した際に、大きな困難を感じやすい傾向があります。なぜなら、彼らは自分の能力や状況が「固定されたもの」と捉えるため、変化そのものを脅威と感じてしまうからです。

2.1. 挑戦からの逃避と機会損失

固定マインドセットの人は、「自分には新しいことを学ぶ能力がない」「失敗したら評価が下がる」といった信念に基づき、未知の領域や困難な挑戦を避けようとします。例えば、新しいITツール導入やリモートワークへの移行といった変化に対して、「自分には無理だ」「今のやり方で十分だ」と抵抗し、結果として時代に取り残されてしまうリスクを負います。

これは、目の前に現れた成長の機会やキャリアアップの可能性を自ら手放してしまうことと同義です。変化の波に乗り遅れることは、個人だけでなく、組織全体の競争力低下にも繋がります。

2.2. ストレスと自己肯定感の低下

変化に適応できないストレスは、心身の健康を損なう原因となります。固定マインドセットの人は、変化の波に翻弄される中で「自分はダメだ」「能力が足りない」と自己評価を下げ、自己肯定感を失いがちです。彼らは、変化をコントロールできない状況を自分の弱さと捉え、無力感や絶望感に囚われてしまうことがあります。梅雨のジメジメとした気分が、さらに深い憂鬱へと繋がっていくように、心の状態が悪循環に陥ってしまうのです。

3. VUCA時代を力強く生き抜く「しなやかなマインドセット」の秘訣

では、このVUCA時代において、私たちはどのように心のOSを「しなやか」にアップデートしていけば良いのでしょうか。その鍵となるのが、「成長マインドセット」を土台とした、変化に適応する心の習慣を育むことです。

3.1. 「失敗は学びの機会」と捉える

成長マインドセットの核心は、「失敗を恐れない」ことではなく、「失敗から学ぶ」という視点です。著名な発明家トーマス・エジソンは、「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ」と言いました。これはまさに、成長マインドセットの典型的な例です。

私たちは、往々にして失敗を「間違い」や「恥」と捉えがちですが、それはあくまで結果の一側面です。プロセスに目を向け、何がうまくいかなかったのか、次は何を試せばよいのかを分析することで、失敗は貴重な「データ」や「経験値」へと変わります。

今日からできること:

  • 小さな失敗をした時、「なぜうまくいかなかったのか?」と自分を責める代わりに、「この経験から何を学べるだろう?」と問いかけてみましょう。
  • 「失敗ノート」を作り、失敗した状況、その時の感情、そこから得られた教訓を記録してみるのも良いでしょう。

3.2. 「未知」を楽しむ好奇心を育む

変化の多いVUCA時代では、常に新しい情報や技術、価値観に触れることになります。固定マインドセットの人はこれを「面倒だ」「不安だ」と感じますが、しなやかなマインドセットを持つ人は、「これは何だろう?」「どうなっているんだろう?」と好奇心を持って未知の領域に踏み込みます

今日からできること:

  • 興味のある分野の最新情報や、普段読まないジャンルの本を手に取ってみましょう。
  • 自分の専門分野外のイベントやセミナーに参加してみるのも良い刺激になります。
  • 完璧を目指すのではなく、まずは「試してみる」という軽い気持ちで新しいことに挑戦してみましょう。Googleの「20%ルール」(業務時間の20%を自分の興味のあるプロジェクトに充てる)のように、探索の時間を設けることも有効です。

3.3. 変化を「課題」ではなく「チャンス」と捉えるリフレーミング

私たちの脳は、ネガティブな情報に反応しやすい性質を持っていますが、意識的に思考の枠組み(フレーム)を変えることで、感情や行動を変えることができます。これをリフレーミングと呼びます。

:

  • 「新しいシステム導入は面倒な作業だ」(固定)→「新しいシステムは、業務効率を格段に上げてくれるチャンスだ」(成長)
  • 「リモートワークはコミュニケーションが難しい」(固定)→「リモートワークは、場所にとらわれない新しい働き方や、自律性を高めるチャンスだ」(成長)
  • 梅雨の雨も、「憂鬱な雨」から「植物が育つ恵みの雨」「ゆっくり読書ができる時間」へとリフレーミングできます。

この「課題」を「チャンス」へと捉え直すマインドセットは、逆境を乗り越える大きな力となります。

リフレーミングの概念

4. 組織全体の「しなやかさ」を育むリーダーシップ

個人がしなやかなマインドセットを育むだけでなく、組織全体としてこのマインドセットを浸透させることが、VUCA時代を生き抜く上で不可欠です。管理職・リーダー層の方々には、特に以下の点を意識していただきたいと思います。

4.1. 心理的安全性の醸成と失敗への許容

リーダーが率先して心理的安全性の高い環境を築くことが、組織全体のしなやかさを育む第一歩です。

  • 失敗を歓迎する姿勢: メンバーが失敗を恐れずに挑戦できるよう、失敗を咎めるのではなく、そこから何を学んだかを問い、次へと繋げる対話を促しましょう。「失敗は成功のもと」という言葉を単なるスローガンではなく、実践の場に落とし込むことが重要です。Googleの有名な研究「Project Aristotle」でも、チームの生産性を高める最大の要因は「心理的安全性」であることが示されています。
  • 多様な意見の尊重: 異なる意見や視点を積極的に受け入れ、議論を促すことで、問題解決の多様なアプローチが生まれます。

4.2. 学習と成長の文化を奨励する

組織として継続的な学習を奨励し、メンバーが新しいスキルを習得する機会を提供しましょう。

  • 学びの機会の提供: 研修、セミナー参加、オンライン学習プラットフォームの活用などを奨励します。
  • ナレッジシェアの促進: 成功体験だけでなく、失敗体験やそこからの学びも積極的に共有する文化を育みます。
  • フィードバック文化の醸成: 建設的なフィードバックを日常的に行い、それが個人の成長に繋がるという認識を浸透させましょう。

4.3. 目的とビジョンの明確化

変化が激しい時代だからこそ、組織の存在意義(パーパス)や目指すべきビジョンを明確にし、メンバー全員で共有することが重要です。これにより、個々の行動がバラバラにならず、変化の中でもブレない軸を持つことができます。メンバーが「何のために働くのか」を理解している組織は、変化に対してより強靭に対応できます。

おわりに:変化を力に変える「あなたらしいしなやかさ」を

今日の記事では、VUCA時代における「しなやかなマインドセット」の重要性とその育み方について深く掘り下げてきました。変化は避けられない現実ですが、それにどう向き合うかは、私たち自身のマインドセット次第で大きく変わります。

固定マインドセットの「どうせ無理だ」という壁を打ち破り、成長マインドセットの「どうすればできるだろう?」という可能性に目を向けること。そして、失敗を恐れず、未知を楽しむ好奇心を育むこと。これらは、梅雨のジメジメとした気分を吹き飛ばし、心の晴れ間を取り戻すためにも、そして、不確実な未来を力強く歩むためにも、非常に強力な武器となります。

あなた自身の心のOSをアップデートし、変化を恐れることなく、むしろそれを力に変えていく。その「あなたらしいしなやかさ」を育むことで、あなたのキャリアも人生も、きっとこれまで以上に豊かなものになるでしょう。

明日は、「組織の活力を生むマインドセット~心理的安全性と挑戦の文化~」と題して、個人から組織全体へのマインドセットの波及効果と、それを育むためのリーダーシップに焦点を当てていきます。どうぞお楽しみに!

あなたが変化を恐れず、自分らしく輝ける未来を創造できるよう、全力で応援いたします。

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