【組織を変えるマインドセット】心理的安全性と挑戦の文化の育み方:リーダーが実践すべきウェルネス戦略
梅雨のジメジメを吹き飛ばす!坂本的マインドセット講座
組織の活力を生むマインドセット~心理的安全性と挑戦の文化~
皆さん、こんにちは。坂本です。
梅雨の季節、私たちは連日、マインドセットが個人の感情や行動、そして変化への適応にいかに大きな影響を与えるかを探ってきました。昨日までの記事では、個人の「心のOS」であるマインドセットを「成長型」へとアップデートすることの重要性をお伝えしましたが、その力は個人の枠を超え、組織全体に波及する大きな可能性を秘めています。
今日のテーマは、まさにその「組織のマインドセット」です。なぜ、ある組織は常にイノベーションを生み出し、困難な時代でも成長を続けることができるのでしょうか?そして、なぜ別の組織は、新しいアイデアや挑戦が生まれにくいのでしょうか?その鍵は、組織全体に根付く「マインドセット」と、それが生み出す「心理的安全性」という文化にあると言えるでしょう。
個人がどんなに優秀な成長マインドセットを持っていても、組織の文化がそれを抑圧するものであれば、その潜在能力は十分に発揮されません。私たちは、個人と組織のマインドセットが共鳴し合い、挑戦を歓迎し、学びを奨励する文化をどう育んでいくべきか、具体的な視点とリーダーシップの役割について深掘りしていきます。
1. 組織の「ウェルネス」とは何か?~単なる健康以上の意味~
近年、「ウェルネス(Wellness)」という言葉が注目されています。単に病気ではない状態(ヘルス)を超え、身体的、精神的、社会的、さらには経済的な側面を含め、個々人が充実した状態であることを指します。組織におけるウェルネスは、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、生き生きと働くことができ、その結果として組織全体の活力が向上している状態を指します。
この組織のウェルネスを実現するためには、単に福利厚生を充実させるだけでなく、従業員が安心して働ける心理的な土壌、すなわち「心理的安全性」が不可欠です。そして、その心理的安全性を醸成する根底には、組織全体のマインドセットが深く関わっています。
2. 「心理的安全性」が組織のマインドセットを変える
「心理的安全性」とは、組織行動学者エイミー・C・エドモンドソン教授によって提唱された概念で、「チームのメンバーが、対人関係のリスクを恐れることなく、安心して発言したり行動したりできる状態」を指します。簡単に言えば、「バカな質問をしても大丈夫」「失敗を報告しても責められない」「異論を唱えても疎外されない」と感じられる環境です。
この心理的安全性が、なぜ組織のマインドセットに決定的な影響を与えるのでしょうか?
2.1. 固定マインドセットの組織:内向きの思考と停滞
心理的安全性が低い組織では、メンバーは「失敗したら評価が下がる」「異論を唱えたら反発される」といった恐れを抱きがちです。これにより、以下のような固定マインドセット的な行動が組織全体に蔓延します。
- 問題の隠蔽: 自分のミスや課題を報告せず、隠蔽しようとする。
- 現状維持バイアス: 新しいアイデアや改善提案が出にくく、既存のやり方に固執する。
- 責任のなすりつけ: 問題発生時に、他者や外部環境に責任を転嫁する。
- 「上司の顔色をうかがう」文化: リーダーの意見に異を唱えず、従順な姿勢を取ることで、健全な議論が生まれにくい。
このような状態では、組織は自己成長の機会を失い、外部環境の変化に適応できず、やがては停滞へと向かいます。まさに、個人における固定マインドセットが組織全体に拡大した状態と言えるでしょう。
2.2. 成長マインドセットの組織:外向きの思考と挑戦の文化
一方、心理的安全性が高い組織では、メンバーは「失敗は学びの機会」「率直な意見が組織を強くする」という成長マインドセットを共有できます。これにより、以下のようなポジティブな行動が組織全体に浸透します。
- 積極的な情報共有: ミスや課題も包み隠さず共有され、チーム全体で解決策を探求する。
- イノベーションの創出: 自由な発想で新しいアイデアや改善提案が活発に出され、挑戦が奨励される。
- 建設的なフィードバック: メンバー同士がお互いに率直かつ建設的なフィードバックを交わし、共に成長しようとする。
- 当事者意識の醸成: 問題に対して自分事として捉え、自律的に解決に貢献しようとする。
このような組織は、変化の激しいVUCA時代においても、その変化を恐れることなく、むしろ成長のチャンスとして捉え、持続的な発展を遂げることができます。心理的安全性は、単に「仲良しグループ」を作るのではなく、健全な衝突や議論を可能にし、組織がより賢く、より強く、よりしなやかになるための土台なのです。

3. リーダーが実践すべき「マインドセット」と「心理的安全性」の育み方
組織のマインドセットを「成長型」へと導き、心理的安全性を醸成するためには、特に管理職・リーダー層の意識と行動が決定的な役割を担います。リーダーの姿勢が、そのまま組織の文化を形作るからです。
3.1. 「失敗への向き合い方」を自ら示す
リーダー自身が、失敗を恐れず、そこから学ぶ姿勢を体現することが何よりも重要です。
- 自身の失敗談を共有する: 自身の過去の失敗や苦い経験を正直に話し、そこから何を学んだかを共有することで、部下は「失敗しても大丈夫なんだ」と安心感を抱きます。
- 「責任のなすりつけ」をしない: 問題が発生した際に、個人を責めるのではなく、プロセスやシステムに目を向け、「どうすれば次回から防げるか?」という建設的な議論を促しましょう。
- 「まずやってみる」を奨励する: 完璧を求めすぎず、小さく試行錯誤することを奨励しましょう。「実験」という言葉を使うことで、失敗への心理的ハードルを下げることもできます。
3.2. 傾聴と問いかけで「声」を引き出す
心理的安全性は、メンバーが「自分の声が聞いてもらえる」と感じることで醸成されます。
- 積極的な傾聴: 部下の話に真摯に耳を傾け、途中で遮らず、最後まで聞く姿勢を示しましょう。相手の意見や感情を「受け止める」姿勢が重要です。
- オープンな問いかけ: 「何か困っていることはない?」「この件について、どう思う?」「もし失敗しても、そこから何を学べると思う?」など、答えやすいオープンな質問を投げかけ、部下が自ら考え、発言する機会を増やしましょう。
- サイレンス(沈黙)を許容する: 部下が発言をためらっている場合、すぐに答えを促すのではなく、考えるための沈黙の時間を許容することも大切です。
3.3. 成果だけでなく「プロセス」と「努力」を承認する
成長マインドセットを育む上で、結果だけでなく、そこに至るまでの努力や挑戦、プロセスを承認することが非常に重要です。
- 具体的かつタイムリーな承認: 「よくやった!」だけでなく、「あの時、〇〇という課題に対して、あなたは〇〇という工夫をして粘り強く取り組んだね。その努力があったから、今回の結果に繋がったんだと思う」と具体的に伝えましょう。
- 「挑戦」そのものを称賛する: 結果が伴わなかったとしても、新しいことに挑戦した勇気や、そこから得られた学びを積極的に評価しましょう。これにより、メンバーは「失敗を恐れずにまた挑戦しよう」という意欲を持つことができます。
- **心理的安全性研究で有名なGoogleの調査「Project Aristotle」**では、チームの生産性を高める最も重要な要素は「心理的安全性」であると結論づけられました。これは、チームメンバーが安心してリスクを取り、互いに助け合い、率直に意見を出し合える環境が、結果的に最高のパフォーマンスを生み出すということを明確に示しています。リーダーがこの安全な場を作ることにコミットすることが、組織のマインドセット変革の出発点となるのです。
おわりに:マインドセットは、組織を動かす「見えない力」
今日の記事では、組織のウェルネスと生産性を高める上で不可欠な「マインドセット」と「心理的安全性」の関係について深く掘り下げてきました。固定マインドセットが組織の停滞を招く一方で、成長マインドセットと心理的安全性が浸透した組織は、変化を恐れず、常に新しい価値を生み出すことができるということをご理解いただけたのではないでしょうか。
リーダーの皆様、あなたのリーダーシップが、チームメンバー一人ひとりのマインドセット、ひいては組織全体の文化を形作ります。失敗を許容し、率直な対話を促し、努力と挑戦を承認する。これらの行動を積み重ねることで、あなたのチームは、梅雨のジメジメとした気分をも吹き飛ばすほどの、明るく、活気に満ちた、そして何よりも「強い」組織へと変貌を遂げるはずです。
さあ、今日からあなたのチームで、小さくても確かな一歩を踏み出してみませんか?その一歩が、組織全体のウェルネスと生産性を向上させる大きな波となることを信じています。
明日は、「あなたの「価値観」を見つけよう!~ブレない軸を作るマインドセット~」と題して、マインドセットのさらに深い部分にある「価値観」について深掘りしていきます。どうぞお楽しみに!
あなたがリーダーとして、組織の活力を最大限に引き出すためのマインドセット変革を全力で支援いたします。








