善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

6日間で手に入れる「GRIT(やり抜く力)」~困難を乗り越え、自己実現を叶える成長戦略~

第1回:GRIT(やり抜く力)とは何か?~成功を掴むための最強の武器~

皆さん、こんにちは。坂本です。

前回の連載「気づく力」では、自分自身や周囲、そして社会の変化に「気づく」ことの重要性について、6日間にわたり深く掘り下げてきました。多くの方から「モヤモヤの正体が分かった」「視野が広がった」といった嬉しい反響をいただき、私自身も大変励みになりました。

しかし、どんなに素晴らしい「気づき」を得ても、それを行動に移し、粘り強く継続しなければ、残念ながら望むような成果は得られません。そして、その行動を困難な状況下でも諦めずにやり抜く力こそが、今回から6日間で探求していくテーマ「GRIT(グリット)」です。

「目標を立てても、いつも途中で挫折してしまう…」

「新しいスキルを身につけようとしても、なかなか長続きしない…」

「困難な課題に直面すると、つい諦めそうになる…」

もし、あなたがそう感じているなら、今回の連載はきっと、あなたのキャリアや人生を力強く前進させるきっかけになるはずです。

私自身、長年にわたり人材育成やキャリアコンサルティングに携わる中で、数多くのビジネスパーソンやリーダーと向き合ってきました。その中で確信したのは、成功を収める人々に共通するのは、突出した才能や知能だけではないということ。むしろ、情熱を持って目標に取り組み、どんな困難にも粘り強く立ち向かい、試行錯誤を続けられる「やり抜く力」こそが、彼らを支える最強の武器だということです。

このGRITは、決して特別な才能を持つ人だけのものではありません。心理学の知見によれば、誰でも後天的に鍛え、高めることができる力なのです。

今日の記事では、まずこの「GRIT」が一体どのような力なのか、なぜそれが現代社会でこれほどまでに重要視されるのかを、具体的なエピソードも交えながら分かりやすく解説していきます。私坂本は、皆様にとっての「よきメイベン」として、このGRITという強力なツールを、あなたの手に届く形で提供できるよう努めます。

この6日間で、あなたの中に眠る「やり抜く力」を呼び覚まし、自己実現を叶えるための確かな一歩を踏み出しましょう!

1. GRIT(グリット)とは何か?~成功を掴むための2つの核~

「GRIT」という言葉、最近耳にする機会が増えたと感じるかもしれません。これは、ペンシルベニア大学の心理学者 アンジェラ・ダックワース氏 が提唱し、世界中で大きな注目を集めている概念です。彼女は、何万人もの学生や兵士、ビジネスパーソン、アスリートなどを長期間にわたって調査した結果、「成功に最も貢献するのは、才能ではなく『GRIT』である」という驚くべき結論に達しました。

おすすめやり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける/アンジェラ・ダックワース 

GRITは、主に以下の2つの強力な要素で構成されています。

  1. 情熱(Passion:
    • これは単なる「好き」や「熱中」ではありません。特定の長期的な目標に対する、ゆるぎない「興味」と「コミットメント(責任感)」を指します。
    • 例えば、あなたが新しい語学を学ぶと決めたとします。最初のうちは「面白そう」という気持ちで始めるかもしれません。しかし、「情熱」がある人は、途中で壁にぶつかっても、「どうしてもこの言語を習得したい」「この言語を使って〇〇を成し遂げたい」という強い思いがあるため、簡単には諦めません。その目標が、あなた自身の価値観や目的と深く結びついているほど、情熱は燃え続けます。
  2. 粘り強さ(Perseverance:
    • これは、目標達成に向けて困難や失敗に直面したときに、諦めずに努力を継続し、工夫を重ねる力です。
    • 例えば、新しいプロジェクトで予期せぬトラブルが発生したとします。粘り強さがある人は、落ち込んだり、他人のせいにしたりするのではなく、「どうすればこの状況を打開できるか?」「次の一手は何だ?」と前向きに考え、解決策を探し続けます。失敗を恐れず、むしろそこから学びを得ようとする姿勢が特徴です。

ダックワース氏は、GRITを「極めて長期的な目標に対する情熱と、その目標を達成するための粘り強さ」と定義しています。つまり、GRITとは、まるでマラソンランナーのように、一時の成功や失敗に一喜一憂せず、遠くに見えるゴールを目指して、ひたすら走り続けられる精神的なスタミナなのです。

1.1. GRITが低いことによる「もったいない」弊害

もしGRITが不足していると、どんなに素晴らしい才能やアイデアがあっても、その可能性を十分に開花させることが難しくなります。具体的には、こんな「もったいない」状況に陥りがちです。

  • 目標が絵に描いた餅で終わる: 高い目標を掲げても、具体的な行動が伴わなかったり、困難にぶつかるたびに方向転換してしまったりするため、結局何も達成できない。
  • 「あと一歩」でチャンスを逃す: 成功の寸前で諦めてしまうため、本来得られるはずだった成果や成長機会を逃してしまう。まるで、目の前に宝の地図があるのに、あと数メートル掘り進めれば見つかる宝を諦めてしまうようなものです。
  • 自信が育たない負のスパイラル: 物事が長続きしない経験が重なると、「自分は何をやってもダメだ」という自己肯定感の低下に繋がり、新しい挑戦への意欲も削がれてしまいます。
  • キャリアの可能性が狭まる: 困難な課題や新しい分野への挑戦を避けるようになるため、自身の成長が停滞し、キャリアの選択肢が限定されてしまうリスクがあります。

1.2. GRITが高い人に見られる「なるほど!」な特徴

一方、GRITが高い人々は、私たちの身の回りにも多く存在し、その行動には共通する「なるほど!」と納得する特徴が見られます。

  • 逆境をバネにする力: 困難な状況を単なる障害と捉えるのではなく、「これは自分を強くする試練だ」「新しい解決策を見つけるチャンスだ」と前向きに捉え、困難を乗り越えるたびに成長します。
  • 失敗から学び、次に活かす: 失敗は「終わり」ではなく「学びの機会」だと考えます。何がうまくいかなかったのかを徹底的に分析し、次の行動に活かすことで、同じ過ちを繰り返しません。
  • 揺るがない目標意識: 目先の小さな成功や失敗に一喜一憂せず、常に長期的な目標を明確に持ち、そこに向かって着実に進むことができます。まるで、霧の中を進む船が羅針盤を頼りに目的地を見失わないように。
  • 自己肯定感と自信に満ちている: 困難を乗り越え、目標を達成していく経験を通じて、「自分にはできる」という強い自己効力感を持ち、それがさらなる挑戦への原動力となります。
  • 周囲を巻き込む推進力: その情熱と粘り強さは、周囲の人々にも良い影響を与え、協力や支援を引き出す力となります。リーダーシップにおいても、このGRITはメンバーを鼓舞し、チームを困難な目標へと導く上で不可欠な要素です。

2. GRITの土台となる「成長マインドセット」

GRITを語る上で、もう一つ重要な概念があります。それが、スタンフォード大学の心理学者 キャロル・ドゥエック氏 が提唱した「成長マインドセット(Growth Mindset」です。

成長マインドセットとは、「人間の能力や知性は、努力と経験、学習によっていくらでも伸ばすことができる」という考え方です。これに対し、「固定マインドセット(Fixed Mindset)」は、「能力や知性は生まれつき決まっていて、変わることはない」という考え方です。

おすすめマインドセット「やればできる! 」の研究/キャロル・ドゥエック

GRITが高い人がなぜ粘り強く努力を続けられるのか、その根底にはこの成長マインドセットがあると考えられます。

  • 固定マインドセットの人は、失敗を「自分の能力の限界」だと捉え、すぐに諦めてしまいがちです。
  • しかし、成長マインドセットの人は、失敗を「まだやり方が足りないだけ」「もっと良い方法があるはずだ」と捉え、努力すれば必ずできると信じているため、粘り強く挑戦し続けることができるのです。

まるで、筋トレと同じです。「私は生まれつき力がないから」と諦めるのではなく、「努力すれば筋肉はつく」と信じているからこそ、きついトレーニングも続けられるのです。

3. GRITを高めることの「これからのあなた」へのメリット

GRITは、人生のあらゆる場面であなたを助ける、まさに「最強の武器」となり得ます。GRITを高めることで、あなたは次のようなメリットを享受できるようになります。

  • 目標達成の確率が飛躍的に上がる: どんなに困難な目標でも、諦めずに最適な方法を探し続けることで、達成への道が拓けます。
  • 新しい挑戦へのハードルが下がる: 失敗を恐れず、成長の機会と捉えられるようになるため、未経験の分野や難しい課題にも臆することなく飛び込めます。
  • ストレスやプレッシャーに強くなる: 困難な状況でも精神的な回復力(レジリエンス)が働き、冷静に対処できるようになります。
  • 自己肯定感が向上し、自信がみなぎる: 試練を乗り越えるたびに「自分はやれる!」という確かな自信がつき、充実した毎日を送れるようになります。
  • キャリアの可能性が無限に広がる: 粘り強く学び続け、新しいスキルを習得することで、市場価値の高い人材となり、望むキャリアを自ら創造できるようになります。これは、私のキャリアコンサルティングにおいても、最も重視する点の一つです。

4. GRITを高めるための第一歩は「知ること」から

GRITは、生まれ持った才能ではありません。トレーニングによって誰でも高めることができる「スキル」のようなものです。

その第一歩は、今のあなたがどれだけGRITを持っているのか、そしてどんな時にGRITが発揮され、どんな時に途切れてしまうのかを、「知る」ことから始まります。

次回の記事では、あなたのGRITを診断するための具体的なワークをご用意します。質問に答えるだけで、自身のGRITレベルを客観的に把握し、強みと課題を明確にできます。自分の現在地を知ることで、GRITを効果的に高めるためのロードマップを描く準備ができるはずです。

さあ、あなたの中に眠る「やり抜く力」を呼び覚まし、自己実現を叶えるための確かな一歩を、共に踏み出しましょう!

明日は、「第2回:GRIT診断~あなたの『やり抜く力』を可視化する~」です。どうぞお楽しみに!

皆さんが困難を乗り越え、自身の最高の未来を切り拓けるよう、全力で応援いたします。

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