善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

6日間で手に入れる「GRIT(やり抜く力)」~困難を乗り越え、自己実現を叶える成長戦略~

第5回:成長マインドセットを育む~失敗を糧に、進化し続ける~

皆さん、こんにちは。坂本です。

これまでの連載で、私たちは「情熱」という目標達成の「燃料」を見つけ、そして「粘り強さ」という「心の筋肉」を鍛えることで、困難を乗り越える術を学んできました。情熱があなたを目標に誘い、粘り強さが道のりでの嵐からあなたを守ってくれます。

しかし、この二つの力を最大限に活かすためには、その土台となる、非常に重要な「心のあり方」が必要です。それが今日のテーマ「成長マインドセット(Growth Mindset」です。

「失敗すると、もうダメだと諦めてしまう…」

「自分には才能がないから、これ以上は無理だ…」

「新しいことに挑戦するのは怖い…」

そう感じたことはありませんか?これらの思考は、あなたの「やり抜く力」を無意識のうちに妨げているかもしれません。

私が長年、人材育成やキャリアコンサルティングの現場で見てきたのは、成功を収める人々が、例外なくこの「成長マインドセット」を持っているということです。彼らは、失敗を恐れるどころか、それを「最高の学びの機会」と捉え、自身の成長の糧として積極的に活用します。これは、私が学んだ際にも、常に議論の中心にあった、極めて重要な概念です。

今日の記事では、世界的な心理学者 キャロル・ドゥエック教授が提唱する「成長マインドセット」とは何かを深く掘り下げ、いかにしてこの強力な心のあり方を育み、あなたの「やり抜く力」を盤石なものにしていくかを、具体的なワークを通して解説します。皆さんが失敗を恐れず、常に進化し続けられるよう、その心の土台作りをお手伝いいたします。

さあ、失敗を力に変え、あなたの無限の可能性を解き放ちましょう!

1. 「成長マインドセット」とは何か?~あなたの可能性を決定づける心のあり方~

「マインドセット」とは、私たちが世界をどう捉え、どう行動するかを決定づける「心の枠組み」や「考え方の癖」のようなものです。このマインドセットには、大きく分けて二つの種類があります。

  1. 固定マインドセット(Fixed Mindset:
    • 「人間の才能や知能は生まれつき決まっていて、努力しても変わらない」と考える心のあり方です。
    • このマインドセットの人は、失敗を「自分の能力の限界」だと捉え、それを避ける傾向があります。挑戦を恐れ、簡単な道を選びがちです。なぜなら、失敗すれば「自分には能力がない」と証明されてしまうと考えているからです。
  2. 成長マインドセット(Growth Mindset:
    • 「人間の才能や知能は、努力や学習、経験を通じていくらでも伸ばすことができる」と考える心のあり方です。
    • このマインドセットの人は、失敗を「成長のための貴重な機会」と捉えます。挑戦を恐れず、むしろ困難な課題にこそ喜びを感じ、そこから学びを得て、自身の能力を向上させようとします。

キャロル・ドゥエック教授は、このマインドセットが、学業成績、仕事での成功、人間関係、そして幸福感にまで、大きな影響を与えることを長年の研究で明らかにしました。特にGRIT(やり抜く力)にとって、この成長マインドセットは、まさに「土台」であり「燃料」を供給し続ける「供給源」のような役割を果たします。

1.1. 成長マインドセットがGRITを強くする理由

なぜ、成長マインドセットがGRITを支える土台となるのでしょうか?

  • 失敗への向き合い方: 固定マインドセットの人が失敗を避けるのに対し、成長マインドセットの人は失敗を「まだやり方が足りないだけ」「もっと良い方法があるはずだ」と捉えます。この「次がある」という考え方が、粘り強く再挑戦する原動力となります。
  • 努力の捉え方: 固定マインドセットの人は努力を「能力がない証拠」と考えがちですが、成長マインドセットの人は努力を「能力を伸ばすための手段」と捉えます。努力すること自体に価値を見出すため、困難な道のりも前向きに進めます。
  • 挑戦への意欲: 「自分は成長できる」と信じているからこそ、未知の領域や難しい課題にも臆することなく挑戦できます。これが、新たな情熱の発見や、粘り強さの発揮の場を与えます。

おすすめ書籍

 ➡︎ マインドセット「やればできる! 」の研究/キャロル・ドゥエック

2. あなたの「成長マインドセット」を育むための具体的なワーク

では、どのようにすれば、この強力な「成長マインドセット」を意識的に育むことができるのでしょうか?3つの具体的なワークを通じて、あなたの心のあり方を変えていきましょう。

2.1. STEP1:あなたの「心の声」に耳を傾けるワーク

私たちは皆、心の中で自分自身に語りかける「心の声」を持っています。その声が、固定マインドセットのものか、成長マインドセットのものかを見極めることが第一歩です。

ワーク:あなたの「心の声」を書き出す

最近、あなたが何か困難に直面した時や、新しいことに挑戦しようとした時、心の中でどんな言葉が聞こえましたか?以下の場面を想像し、率直に書き出してみましょう。

  • (例1)新しいプレゼン資料作成ツールを学ぶ時
    • 固定マインドセットの声: 「どうせ新しいツールなんて覚えられないよ。いつも使ってるやつでいいじゃん。」
    • 成長マインドセットの声: 「最初は難しいけど、これを覚えればもっと効率よく資料が作れるようになるぞ。試してみよう。」
  • (例2)仕事で大きなミスをしてしまった時
    • 固定マインドセットの声: 「やっぱり私はダメだ。こんなミスをするなんて、向いてない。」
    • 成長マインドセットの声: 「今回のミスから何を学べるだろう?次はどうすれば防げるか、改善策を考えよう。」
  • (例3)新しいスキルを学ぶ機会が来た時
    • 固定マインドセットの声: 「私には才能がないから、やっても無駄だ。」
    • 成長マインドセットの声: 「新しいことに挑戦するのはワクワクする。このスキルを身につけたら、どんなことができるようになるだろう?」

坂本の視点:心の声を変える「セルフ・トーク」

自分の心の声を認識したら、次に「リフレーミング」(前回の「粘り強さ」のワークでも触れましたね)を使って、その声を意識的に成長マインドセットの声に「書き換え」ましょう。例えば、「私にはできない」と感じたら、「今はまだできないけれど、努力すれば必ずできるようになる」と言い換えるのです。この「セルフ・トーク(自分自身への語りかけ)」を変えることが、心の筋トレの第一歩です。

2.2. STEP2:「努力」を褒める文化を育むワーク

私たちは結果ばかりに目を向けがちですが、成長マインドセットを育むには、結果に至るまでの「努力」や「プロセス」を高く評価することが重要です。

ワーク:あなたの「努力」を記録する

  1. 今日、あなたが「努力した」と感じることを一つ、具体的に書き出してみましょう。どんな小さなことでも構いません。
    • 例:苦手な報告書作成にいつもより15分長く取り組んだ。
    • 例:新しい知識を得るために、関連する記事を3本読んだ。
    • 例:職場の人間関係で、相手の意見を普段より注意して聞いた。
  2. その努力に対して、「あなたは素晴らしい!なぜなら〇〇だから」と、具体的な言葉で自分を褒めてみましょう。
    • 例:「苦手な報告書作成に15分長く取り組んだあなたは素晴らしい!なぜなら、諦めずにやり遂げようとする粘り強さがあるからだ。」
  3. 周囲の人々(家族、同僚、友人など)に対しても、結果だけでなく、彼らの「努力」や「プロセス」を意識的に褒めるようにしてみましょう。

坂本の視点:フィードバックの質を高める

コンサルティングや教育の現場では、結果だけでなく、そのプロセスでどんな努力がなされたか、どんな工夫があったかを具体的にフィードバックすることが、相手の成長意欲を大きく引き出します。ご自身に対しても、そして周囲の人々に対しても、この「努力を褒める」視点を持つことで、成長マインドセットは強化されていきます。

2.3. STEP3:「挑戦」を習慣にするワーク

成長マインドセットは、安全地帯にいるだけでは育ちません。少しだけ背伸びをした「挑戦」を経験することで、私たちは「自分はできる」という確信を深めることができます。

ワーク:あなたの「プチ挑戦」リスト

  1. 今週、あなたが「ちょっとだけハードルが高いけれど、やってみたら学びがありそう」な「プチ挑戦」を3つリストアップしましょう。
    • 例:普段使わないプレゼン資料作成ツールの、新しい機能を一つ試してみる。
    • 例:苦手な先輩に、普段話さないような仕事以外の話題を振ってみる。
    • 例:専門分野のオンライン記事で、いつもは読まない難易度の高い論文を一つ読んでみる。
  2. その「プチ挑戦」が成功しても失敗しても、そこから「何を学んだか」を必ず書き出しましょう。
    • 例:新しい機能は思ったより簡単だった(意外な発見)。
    • 例:先輩との会話は最初は気まずかったけど、共通の趣味が見つかった(人間関係の進展)。
    • 例:論文は難解だったけど、専門用語の意味をいくつか覚えた(知識の獲得)。

坂本の視点:コンフォートゾーンの拡大

私たちが最も成長するのは、少しだけ居心地の悪い「学習ゾーン」に足を踏み入れた時です。この「プチ挑戦」は、その学習ゾーンへの入り口を開くものです。小さな挑戦を繰り返すことで、あなたの「コンフォートゾーン(慣れた快適な領域)」が徐々に広がり、より大きな挑戦にも臆することなく飛び込めるようになるでしょう。失敗を恐れない姿勢こそが、あなたの「心の筋肉」を鍛え、情熱の炎をさらに大きく燃やすのです。

おわりに:あなたは「進化する存在」

私たちは皆、生まれながらにして「進化する」力を持っています。成長マインドセットとは、その力を信じ、最大限に引き出すための心のあり方です。

今日のワークを通じて、皆さんが失敗を恐れず、努力を楽しみ、常に自身の可能性を信じて挑戦し続けられる心の土台を築き始めることができれば幸いです。この成長マインドセットこそが、あなたの情熱を永続させ、粘り強さを無限に引き出す、GRITの真髄なのです。

明日は、この連載の最終回「第6回:GRITロードマップ~自己実現を叶えるための行動計画~」です。これまでの学びを統合し、あなた自身のGRITを最大限に発揮し、自己実現を叶えるための具体的な行動計画を立てていきます。どうぞお楽しみに!

私は、皆さんが常に自身の可能性を信じ、進化し続ける「よきメイベン」として、自己実現の旅を力強く歩んでいかれることを心から応援いたします。

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