中小企業の役割分担と協働!チームで成果を出す秘訣
「これ、誰の仕事?」はもう終わりにしよう!チームで「圧倒的な成果」を出す役割分担と「協働」の秘訣
皆さん、おはようございます!坂本です。
この連載では、「いいチーム」が持つ「実践力」を磨き、その「成長」を加速させるための要素を一つひとつ深掘りしています。前回の記事では、情報共有を「最強」にするコミュニケーションの仕組みについてお話ししました。
どんなに情報が共有されていても、「誰が」「何を」「どこまで」やるのかが曖昧だと、チームはスムーズに動きません。
こんな経験はありませんか?
- 「この業務、AさんとBさんのどっちが担当なんだろう…?」
- 「自分の仕事じゃないと思って放置したら、後でトラブルになった」
- 「部署間の連携が悪くて、いつもお客様にご迷惑をかけてしまう」
- 「忙しいのは分かるけど、もっと助け合えないものか…」
中小企業においては、人材リソースが限られているからこそ、一人ひとりの役割を明確にし、さらにその役割を超えて互いに連携し、助け合う「協働(きょうどう)」の力が不可欠です。それが、チーム全体の生産性を最大化し、どんな課題も乗り越える原動力となります。
今回は、曖昧な役割分担をなくし、チームを「私たちの仕事」という意識で動かす、「協働」を促進するための秘訣について、私の経験と共にお伝えしていきますね。
なぜ「誰の仕事?」問題が起きるのか?~中小企業にありがちな背景~
「誰の仕事?」問題や、協働が進まない背景には、いくつかの組織特有の課題が潜んでいます。
1.役割が「暗黙の了解」になっている
中小企業では、創業期や成長過程で、特定の業務が「なんとなく〇〇さんの仕事」といった形で、暗黙のうちに割り振られていくことがよくあります。これは柔軟性がある反面、業務が属人化しやすく、担当者が不在の時や、新しい業務が発生した時に「誰がやるの?」という問題が生じやすくなります。
2.「自分の業務範囲」に固執しすぎる意識
役割が明確でないことの裏返しとして、「これは私の仕事ではない」と、自分の担当範囲外の業務には手を出さない、あるいは関心を持たないメンバーも出てきます。これは、責任感の表れであることもありますが、時にはセクショナリズム(部署間の縄張り意識)を生み出し、チーム全体の連携を阻害します。
3.リソース不足による「余裕のなさ」
多くの中小企業が人手不足に悩んでいます。個々のメンバーが常に自分の業務で手一杯な状況では、たとえ目の前で困っている人がいても、「助けたいけど、自分の仕事が終わらない…」と、心理的にも時間的にも「協働する余裕」が持てなくなってしまいます。
4.リーダーの「全体像」を示す力の不足
リーダーが、チーム全体の目標や各メンバーの役割がどう繋がっているのかという「全体像」を明確に示せていないと、メンバーは自分の仕事が「点」としてしか見えず、他のメンバーとの連携の必要性を感じにくくなります。
これらの課題が絡み合うことで、せっかくのチームの「実践力」が十分に発揮されず、成果を最大化できない状況が生まれてしまうのです。
「私たちの仕事」に変える3つの実践術~チームの協働力を最大化する~
それでは、「誰の仕事?」をなくし、チームを「私たちの仕事」という意識で動かす、「協働」を促進するための具体的な仕組みと実践術をご紹介します。
実践術1:役割と責任を「見える化」し、定期的に「棚卸し」する
「暗黙の了解」をなくし、全員が自分の役割と、周囲の役割を理解することから始めましょう。
1.役割分担表(RACIチャートなど)を作成する
- RACI(ラシー)チャートは、特定の業務やプロジェクトにおいて「誰が責任者か」「誰が実行するか」「誰が承認するか」「誰に情報共有するか」を明確にするツールです。
- Responsible(実行責任者):その業務を実際に実行する人
- Accountable(最終責任者):その業務の最終的な責任を負う人(通常はRの指示者)
- Consulted(相談相手):実行前に意見を求められる人
- Informed(報告相手):実行後に情報提供を受ける人
- すべての業務で作成する必要はありません。「誰の仕事か曖昧になりがちな業務」や「部署をまたぐ業務」に絞って作成し、チーム全員で認識を合わせましょう。
2.業務の「目的」と「全体像」を共有する
単に「〇〇の業務はAさんが担当」と割り振るだけでなく、その業務が「なぜ必要なのか」「チーム全体や顧客にどう影響するのか」という目的と全体像を共有しましょう。
- 「この書類作成は、営業部の〇〇さんに情報がスムーズに渡るために重要なんだよ」
- 「君が毎日行っている棚卸しは、欠品を防ぎ、お客様の信頼を維持する上で不可欠な業務なんだ」
自分の仕事が「点」ではなく「線」となり、チーム全体の成果にどう貢献しているかを理解することで、メンバーの当事者意識とモチベーションが高まります。
3.定期的な「役割の棚卸し」を行う
業務内容やチーム構成は常に変化します。半年に一度など定期的に、チーム全員で「今の役割分担で問題はないか?」「重複している業務はないか?」「誰も担当していない業務はないか?」を話し合う場を設けましょう。
これは、メンバーが自身のキャリアパスを考える機会にもなり、新たな挑戦へのきっかけにもなります。

実践術2:「助け合い」が自然に生まれる関係性と仕組みを作る
役割分担が明確になった上で、さらにチームの「実践力」を高めるのが「助け合い」の文化です。
1.「弱さの開示」を奨励する
前回の「信頼」の記事でも触れましたが、「今、困っている」「助けてほしい」と素直に言える心理的安全性がなければ、真の助け合いは生まれません。
リーダー自身が、困りごとや迷いをオープンに共有する姿勢を見せることで、メンバーも安心して「弱さ」を開示できるようになります。
2.「困りごと共有会」や「ヘルプデスクタイム」を設ける
定期的に(例:週に一度30分など)、チーム全体で「今、自分が困っていること」「誰かの助けが必要なこと」を共有する時間を設けましょう。
- 「〇〇の業務で、△△のところで詰まっている」
- 「新しく任されたタスクで、知識が足りなくて進められない」
これにより、困っている人が早期に助けを求められ、他のメンバーも「自分にできること」を見つけやすくなります。
3.「越境する機会」を意識的に作る
自分の役割や部署の垣根を越えて、他の業務や部署の仕事に触れる機会を意識的に作りましょう。
- ジョブローテーション: 短期間でも、他の部署の業務を体験する。
- 部門横断プロジェクト: 異なる部署のメンバーが協力して課題解決に取り組む。
- 「シャドーイング」: 他のメンバーの仕事に同行し、観察する。
これにより、お互いの業務の大変さや面白さを理解し、「自分たちの仕事」という全体意識が育まれます。
実践術3:「相互フィードバック」で協働を「学習」する
協働は、一度仕組みを作ったら終わりではありません。互いにフィードバックし合い、改善を重ねることで、チーム全体の協働力が「学習」し、進化していきます。
1.「協働」に関するフィードバックの機会を設ける
業務の進捗レビューやプロジェクトの振り返りの際に、単なる成果だけでなく、「今回の協働はどうだったか?」という視点でのフィードバックを取り入れましょう。
- 「〇〇さんが、部署間の調整役を積極的にやってくれたおかげでスムーズに進んだね」
- 「情報共有のタイミングがもう少し早ければ、もっと効率的だったかもしれない」
- 「Aさんが困っている時に、Bさんがすぐにサポートに入ってくれて助かったよ」
良い点も改善点も具体的にフィードバックすることで、メンバーは「協働」の質を高めるための学びを得られます。
2.「感謝」を具体的な言葉で伝える文化
協働は、日々の小さな「助け合い」の積み重ねです。「ありがとう」を具体的に伝え合う文化を育みましょう。
- 「〇〇さん、あの時△△を手伝ってくれてありがとう。本当に助かったよ」
- 「あの資料、急ぎで作成してくれて助かりました!」
感謝の気持ちを伝えることで、ポジティブな感情が循環し、次なる協働への意欲が生まれます。
3.「協働の成功事例」を共有し、称賛する
「あの部署間の連携がうまくいったのは、なぜだろう?」「あのプロジェクトの助け合いは素晴らしかった!」
協働が成功した事例を積極的にチーム全体で共有し、関わったメンバーを称賛しましょう。これにより、「協働することの価値」がチーム全体で認識され、模範となる行動が広がります。
まとめ:「私たちの仕事」が、チームを最強の「協働体」にする
いかがでしたでしょうか?
今回は、「誰の仕事?」問題をなくし、チームを「私たちの仕事」という意識で動かす、「協働」を促進するための3つの実践術をお伝えしました。
- 役割と責任を「見える化」し、定期的に「棚卸し」する
- 「助け合い」が自然に生まれる関係性と仕組みを作る
- 「相互フィードバック」で協働を「学習」する
明確な役割分担は、個々の「実践力」を高めます。そして、その上に築かれる「協働」の文化は、チーム全体の力を単なる個人の足し算ではなく、掛け算で最大化します。
特に中小企業のように限られたリソースで戦う組織にとって、この「協働」の力は、どんな困難も乗り越えるための最強の武器となります。
ぜひ今日から、あなたのチームで「私たちの仕事」という意識を育み、強固な「協働体」へと進化させるための一歩を踏み出してみてください。それが、貴社のチームが持つ潜在能力を最大限に引き出し、持続的な成長を実現するための、確かな道となるでしょう。
最後に、役割分担がどれだけ明確になっているかは、チームの機能性と生産性を左右する、極めて重要な要素です。そして、おっしゃるように多くの中小企業では、その役割が「明文化されていない」部分が少なくありません。
長年の経験や阿吽の呼吸で成り立っている部分があるため、一見すると問題ないように見えても、その「不透明な部分」にこそ、業務のボトルネックになったり、重要な情報が埋もれてしまったりするリスクが潜んでいます。新しいメンバーが加わった際や、突発的なトラブルが発生した際に、「誰がやるの?」「誰に聞けばいい?」となるのは、この「暗黙の了解」が原因であることがほとんどです。
規模の大小に関わらず、組織運営において「緻密さ」が求められる時代になっていると強く感じています。特に、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代においては、変化に素早く適応し、柔軟に対応していくためには、曖昧さを排し、全員が自分の役割を理解し、必要に応じて流動的に対応できる「緻密な骨格」が不可欠です。
今回の記事が、そうした「見えない部分」に光を当て、中小企業の皆様が「緻密さ」を追求するきっかけとなれば幸いです。
次回の記事では、チームの根幹を支える「チーム文化の醸成」について深掘りしていきます。どうぞお楽しみに!








