善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

「キャリア自律」とは何か?~仕事で「自分らしさ」を見つける羅針盤~

こんにちは、坂本です。皆さんのキャリアと組織の成長を応援しています。

今日から、新しい連載「『キャリア自律』時代を生き抜くための実践ガイド」を始めます。

全6回にわたり、変化の激しい時代でも、自分らしいキャリアを主体的に創り上げていくためのスキル、思考法、そして具体的な行動指針を、一緒に探求していきましょう。

さて、連載の第1回目となる今日は、すべての土台となる「キャリア自律」という考え方について、深く掘り下げていきたいと思います。

  • 「キャリア自律って、言葉は聞くけど、具体的にどういうこと?」
  • 「会社に言われたことをやっていればいいんじゃないの?」
  • 「自分の将来、どうなっちゃうんだろう…」

もし、あなたが今、こんな風に漠然とした不安を抱えているなら、今日の記事は、その霧を晴らすための「羅針盤」を手に入れる、大切な一歩になるはずです。

私たちは、つい「キャリアは会社が用意してくれるもの」と思いがちです。しかし、終身雇用の前提が揺らぎ、技術の進化が目覚ましい現代において、その考え方はもはや通用しません。

この連載で目指すのは、「誰かにキャリアを委ねる」のではなく、「自分自身がキャリアのハンドルを握り、自分だけの航路を描く」力を身につけることです。

さあ、私たち自身のキャリアという大海原を、共に冒険する準備はできましたか?

「キャリア自律」とは何か?~仕事で「自分ごと」にするマインドセット~

「キャリア自律」という言葉を聞くと、「自分で全部やらなきゃいけないの?」「会社に頼らず一人で生きろってこと?」と、少し身構えてしまう方もいるかもしれません。でも、ご安心ください。

キャリア自律とは、決して「孤立」することではありません。

「会社に与えられるもの」から「自分で創るもの」へ

キャリア自律とは、一言で言えば、「自分のキャリアのオーナーシップを自らが持つ」ことです。

これまでの日本では、「会社が決めた部署で働き、会社が与えてくれた仕事をこなし、会社が用意してくれたキャリアプランに従う」というモデルが一般的でした。しかし、現代は「VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)」の時代と呼ばれ、未来の予測は非常に困難です。

企業も、社員一人ひとりのキャリアパスを生涯にわたって保証することは難しくなりました。だからこそ、私たち自身が自分のキャリアに対して主体的な意識を持ち、自ら考え、行動していくことが求められるのです。

例えるなら、あなたはこれまでのキャリアでは、予め決められた観光バスに乗っている乗客でした。窓の外の景色は楽しめますが、立ち止まることも、寄り道することも、行き先を変えることもできません。

しかし、キャリア自律を志すあなたは、この瞬間から自分で運転する車のドライバーになります。

どの道を進むか、どこで休憩するか、どこでどんな景色を見るか。すべての選択はあなた自身に委ねられます。もちろん、時には道に迷うこともあるでしょう。でも、そのすべてが、あなただけのオリジナルな旅の物語を紡いでいくのです。

これが、「会社に与えられるもの」として受け身でいる状態から、「自分で創るもの」として主体的に関わる状態へのマインドシフトです。

なぜ今、「キャリア自律」が必要なのか?

では、なぜ今これほどまでに「キャリア自律」が重要視されているのでしょうか?その背景には、以下のような現代特有の事情があります。

  1. テクノロジーの進化と仕事の変化:
    AIやデジタル技術の進化により、これまで人間が担ってきた仕事が急速に自動化されています。一方で、AIには代替できない、人間ならではの「創造性」「共感性」「課題発見能力」などがより重要になってきました。新しいスキルや知識を自ら学び続けなければ、時代の変化に取り残されてしまうリスクが高まっています。
  2. 人生100年時代の到来:
    私たちの人生はかつてよりもずっと長くなりました。定年後も働き続けることが当たり前になる時代において、一つの会社や仕事だけに依存する働き方では、心身ともに充実したキャリアを築くことは難しいかもしれません。
  3. 個人の価値観の多様化:
    「仕事=お金を稼ぐ手段」という価値観だけでなく、「社会貢献したい」「自分の好きなことで生きていきたい」「家族との時間を大切にしたい」など、仕事に求める価値観が多様化しています。画一的なキャリアプランではなく、自分の価値観に合った働き方を自分で見つけることが、幸福度を高める上で不可欠なのです。

これらの変化の波を、ただ「大変な時代になったな」と眺めているだけでは、未来に漠然とした不安を抱え続けてしまいます。

しかし、この変化の波を「自分を成長させるチャンスだ!」と捉え、主体的にキャリア自律に取り組むことで、私たちは自分だけの羅針盤を手に入れ、どんな荒波にも進んでいける強い船を操縦できるようになります。

そしてその先に待っているのは、「何となく」ではなく、「自分らしく」生きる、納得感のあるキャリアと人生です。

「キャリア自律」を始めるための3つのステップ

では、「キャリア自律」を始めるには、具体的に何をすれば良いのでしょうか?

難しく考える必要はありません。まずは、この3つのステップから始めてみましょう。

ステップ1:自分の「現在地」を知る

いきなり「未来の地図を描け!」と言われても、困ってしまいますよね。まずは、自分が今、どこに立っているのかを知ることが大切です。

「私は何が好きで、何が得意で、何を大切にしたいんだろう?」

この問いを、ぜひ自分自身に投げかけてみてください。

「今までどんな仕事にワクワクしたか?」「どんな時にやりがいを感じたか?」「逆に、どんなことにストレスを感じたか?」

これまでの経験を振り返り、自分の「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(すべきこと)」を正直に書き出してみましょう。

これは、自分の内なる声を聴く大切な作業です。この作業を通して、あなたは自分の強みや価値観、そして本当に大切にしたいことの「現在地」を把握することができます。

ステップ2:好奇心を持って「未来の地図」を描く

自分の現在地が分かったら、次は「未来の地図」を描いてみましょう。この時、大事なのは「完璧な地図」を描こうとしないことです。

「もし、時間やお金に制限がなかったら、どんなことをしてみたい?」

「どんなスキルを身につけたら面白そう?」「どんな働き方をしてみたい?」「どんな人と働きたい?」

そんな風に、子どもの頃のように好奇心を羅針盤にして、自由に未来を想像してみてください。

もちろん、現実と照らし合わせることも必要ですが、最初から「無理だ」と諦めるのではなく、まずはワクワクする未来をたくさん描き出してみることが重要です。そうすることで、あなたは「自分が本当に進みたい方向」のヒントを見つけることができます。

ステップ3:小さな一歩を「行動」に移す

地図を眺めているだけでは、目的地にはたどり着けません。最も重要なのは、「最初の一歩を踏み出す」ことです。

描いた未来の地図から、「今の自分に、明日からでもできる小さな一歩」を一つ見つけてみましょう。

  • 「〇〇という分野に興味がある」→「その分野のニュースを毎日5分チェックする」
  • 「〇〇なスキルを身につけたい」→「関連する書籍を1冊買ってみる」
  • 「新しい働き方をしたい」→「そういう働き方をしている人のブログを読んでみる」

小さな一歩でも構いません。その一歩を踏み出すことで、あなたは「行動する自分」という自信を手に入れることができます。この小さな行動の積み重ねこそが、やがて大きなキャリアの変化へと繋がっていくのです。

「キャリア自律」を成功させるためのマインドセット

「キャリア自律」を実践していく上で、ぜひ心に留めておいてほしい3つのマインドセットがあります。

失敗は「学びのチャンス」と捉える

新しいことに挑戦すれば、必ず失敗はつきものです。しかし、失敗は決して「悪いこと」ではありません。むしろ、「なぜうまくいかなかったのか?」という貴重な学びのチャンスです。失敗を恐れず、そこから得た気づきを次に活かすことで、あなたはさらに強く、しなやかになることができます。

完璧主義を手放す

「完璧なスキルを身につけてから」「完璧なプランを立ててから」と、行動を先延ばしにしていませんか?完璧を求めすぎると、最初の一歩が踏み出せなくなってしまいます。まずは「60点でいいや」くらいの気持ちで、気軽に始めてみましょう。走りながら考える、試しながら修正していく柔軟さが大切です。

誰かの意見ではなく、自分の「心の声」を聴く

「みんながそう言ってるから…」「親がそうしろって言うから…」と、誰かの意見に従ってキャリアを決めていませんか?もちろん、他者からのアドバイスも大切ですが、最終的にあなたの人生を生きるのはあなた自身です。「私はどうしたいんだろう?」という自分の心の声に、耳を傾ける習慣をつけましょう。

まとめ:自分らしいキャリアの「羅針盤」は、あなたの中にある

今回は、連載のDay1として「キャリア自律」という考え方と、その実践に向けたマインドセットについて解説しました。

  • キャリア自律は、変化への適応、自律的キャリア形成、自信、パフォーマンス向上に不可欠。
  • まずは、「現在地を知る」「未来を描く」「行動に移す」の3ステップから始めてみましょう。
  • 失敗を恐れず、完璧主義を手放し、自分の心の声を聴くことが、成功の鍵となります。

「キャリアの羅針盤は誰かが与えてくれるもの」ではありません。それは、あなた自身の「好き」「得意」「大切」なもの、そして「ワクワクする未来」の積み重ねから生まれる、あなただけのものです。

この連載を通じて、皆さんが自分だけの羅針盤を手に入れ、自信を持って自分らしいキャリアを歩んでいけるよう、これからも全力でサポートさせていただきます。

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