善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

チームを動かす「巻き込み力」:小さな一歩から始める影響力の育て方

こんにちは、坂本です。皆さんのキャリアと組織の成長を応援しています。

皆さんは、「あの人、すごいな」と感じる人はいますか?

もしかしたら、その人は、特別な役職や肩書きがなくても、周囲の人々を自然と動かし、素晴らしい成果を出しているかもしれません。

そう、私はこれまで多くの組織を見てきて、真の影響力は、役職や肩書きではなく、「巻き込み力」にあると確信しています。

「巻き込み力」とは、自分のアイデアやビジョンに、周囲の人々を自発的に参加させ、共に目標に向かっていく力のこと。これは、特定の人だけが持つ特殊能力ではなく、誰もが磨くことのできる、とても実践的なスキルです。

今日は、「人を動かす」の著者デール・カーネギーの思想にも触れながら、この「巻き込み力」をどうやって育んでいけばいいのか、その具体的な方法を皆さんにお伝えします。

1. なぜ今、「巻き込み力」が求められるのか?

現代のビジネスは、複雑な課題を一人で解決できる時代ではありません。多様な知識やスキルを持った人々が協力し、知恵を出し合うことで、初めて革新的なアイデアや解決策が生まれます。しかし、ただ集まるだけでは、チームは機能しません。そこで不可欠になるのが、一人ひとりがチーム全体に良い影響を与え、互いを「巻き込み合う」力なのです。

リーダーシップは「巻き込む」ことで発揮される

連載の最初にお伝えしたように、リーダーシップは「役職」ではありません。自分の人生の舵を取り、周囲に良い影響を与える力です。そして、その影響力は、他人を強制的に動かす「統率」ではなく、相手の心を動かす「巻き込み」によってこそ、最も効果的に発揮されます。

心理学では、人間は「自分で決めたこと」に対して、最もモチベーションが高まると言われています。つまり、リーダーが「これをやれ」と一方的に指示するよりも、「これを一緒にやりませんか?」と協力を促す方が、はるかに高いパフォーマンスを引き出すことができるのです。

フォロワーシップと「巻き込み力」

前回お話しした「フォロワーシップ」(信頼は技術で築ける!)も、「巻き込み力」と密接に関わっています。信頼関係がなければ、誰もあなたの話に耳を傾け、協力しようとは思わないでしょう。フォロワーシップを育むことで、あなたの言葉に説得力が生まれ、人々は自発的にあなたのビジョンに賛同し、行動を共にしてくれるようになります。

これは、リーダーシップとフォロワーシップが車の両輪であるのと同じように、信頼と巻き込み力もまた、互いに高め合う関係にあると言えるでしょう。

ピーター・ドラッカーが説く「貢献」

マネジメントの父、ピーター・ドラッカーは、「自らの強みを知り、他者の強みを活かす」ことの重要性を説きました。これはまさに、巻き込み力の核心をついています。

自分の得意なことでチームに貢献し、同時に、他者の強みを見抜き、それを引き出すコミュニケーションを取る。この相互作用によって、チーム全体が活性化し、一人では成し得ない大きな成果を生み出すことができるのです。

2. 「巻き込み力」を育む3つの鉄則

それでは、具体的にどうすれば「巻き込み力」を育てることができるのでしょうか? 今すぐ実践できる3つの鉄則をお伝えします。

鉄則1:「なぜ、これをするのか?」を熱く語る

人は、単に「何をやるか」だけでは動きません。「なぜ、これをやるのか?」「これによって、どんな未来が待っているのか?」という、行動の背景にある「目的」や「ビジョン」が分かって初めて、心を動かされます。

例えば、新しい業務フローを導入する場合。「このフローでやってください」と指示するだけでは、誰もが納得しません。しかし、「このフローによって、お客様へのサービス提供スピードが30%短縮され、より喜んでいただけるようになります。そのために皆さんの協力が必要です」と、その目的を熱意を持って語れば、メンバーは「なるほど、それなら頑張ろう!」と自発的に協力してくれる可能性が高まります。

鉄則2:「あなただからこそ」と伝える

デール・カーネギーの著書『人を動かす』の中には、「人を動かす最大の秘訣は、相手の心の中に強い欲求を起こさせること」とあります。そして、その欲求の一つが、「自分の存在を認められたい」というものです。

例えば、

  • 「この企画のデータ分析は、〇〇さんが一番得意なので、ぜひお力をお借りしたいです
  • 「このプロジェクトの成功には、あなたの〇〇という視点が必要不可欠なんです

このように、相手の強みや専門性を具体的に挙げ、「あなただからこそ」と伝えることで、相手は自分の存在価値を認められ、貢献したいという意欲が湧いてきます。これは、単に「手伝って」と頼むよりもはるかに強力な「巻き込み」のテクニックです。

鉄則3:まずは「小さな一歩」を共に踏み出す

大きな目標を掲げても、「自分には無理だ…」と尻込みしてしまう人は少なくありません。巻き込みの達人は、いきなり大きな成果を求めません。まずは、誰でもできる「小さな一歩」を共に踏み出すことから始めます。

例えば、新しい社内システムを導入する際、いきなり全社に浸透させようとするのではなく、「まずは私たちの部署だけで、この機能だけ試してみませんか?」と提案する。そして、実際に使ってみて「ああ、便利になったね!」という成功体験を共有する。この小さな成功体験が、やがて大きな波となり、周囲の人々を自然と巻き込んでいくのです。

まとめ:小さな「影響力」を日々の習慣に

いかがでしたでしょうか?

「巻き込み力」は、カリスマ性や役職に頼るものではなく、「なぜやるのかを語り」「相手の強みを尊重し」「小さな一歩を共に踏み出す」という、誰でも実践できる技術です。

これらのスキルを日々の習慣として身につけることで、あなたは特別な肩書きがなくても、周囲から信頼され、協力を引き出し、チームや組織にポジティブな変化をもたらすことができるようになります。

あなたの人生も、周りの人たちとの関わりの中で、より豊かに拓かれていきます。小さな一歩から「巻き込み力」を発揮し、あなた自身の、そしてあなたの周りの人々の未来を、共に創造していきましょう!

お読みいただきありがとうございました。皆さんのキャリアと組織の成長にお役に立てれば幸いです。

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