善くはたらくための考察

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理想の未来を「再決断」!物語を書き換える勇気

こんにちは、坂本です。皆さんのキャリアと組織の成長を応援しています。

皆さんは、目標を設定しても、なぜかいつも同じ場所に戻ってしまうような感覚を覚えたことはありませんか?それはまるで、人生の「心のGPS」に、あなたが気づかないうちに幼い頃の目的地が設定されているかのようです。

これまでの連載で触れた「人生脚本」は、まさにその初期設定のルートマップ。幼少期の「決断」によって作られたルールです。しかし、朗報です。人生の旅路において、あなたはいつでも立ち止まり、そのGPSを「再設定」する権利と力を持っています。

今回は、人生脚本を根底から変える「再決断(リ・デシジョン)」という概念に焦点を当て、新しいルートを確実に「完走」するために必要なマインドセットと具体的な行動についてお話しします。

1. あなたの「心のGPS」にセットされた初期設定

私たちの心の奥深くに組み込まれた「人生脚本」は、幼い頃に自分自身を守るために下した無意識の決断、つまり「初期設定」から成り立っています。この設定こそが、大人になったあなたの行動やキャリアの選択を無意識に支配しています。

幼少期の「安全」優先ルート

幼い頃のあなたは、世界を生き抜くために「安全」を最優先しました。例えば、親の期待に応えることで安心感を得た子は、「私は常に他者の期待に応えなければならない」という決断を下すかもしれません。この決断は、大人になったあなたを、自分自身の本当の目標ではなく、常に他人のゴールへ向かわせるルートに縛りつけてしまいます。

意識下に隠された「禁止目的地」

人生脚本に組み込まれたルールの中には、「成功してはいけない」「目立ってはいけない」といった、あなた自身の可能性を制限する「禁止目的地」も含まれます。この設定は、昇進や成功が近づくと、無意識にミスをしたり、チャンスを辞退したりといった自己破壊的な行動を誘発する原因となります。まるで、成功直前で「初期設定の安全地帯」に戻るよう、GPSが強制的にルートを変更するかのように。

新しい目的地を設定する「再決断」の重要性

スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』の第二の習慣は「終わりを思い描くことから始める」です。しかし、私たちの多くは、本当に望む「終わり」ではなく、過去に設定された「終わり」に向かって走り続けています。この初期設定のループから抜け出し、本当に望む未来を自ら選び取る行為こそが、今回のテーマである「再決断」なのです。

2. 「再決断」:目的地を大人として再入力する

「再決断(リ・デシジョン)」とは、過去に無意識に下した決断を、情報と責任を持った大人として改めて決定し直すことです。これは、あなたの心のGPSの「リセットボタン」を押し、新しい目的地を明確に入力する行為に他なりません。

過去の呪縛を解く「リセットボタン」

再決断は、過去に下した「私は能力がない」という決断を、「私は、継続的に学び、成果を出す力がある」という新しい決断に上書きすることです。これは、あなたの行動原理を根本から変えます。「幼少期の決断は、当時の環境下で生き延びるための最善策だったが、大人になった今、より良い選択肢がある」と、自分自身に明確に伝えることが、再決断の第一歩です。

新しい目的地を決める「勇気」

新しい目的地を設定するには「勇気」が必要です。なぜなら、これまで慣れ親しんだ古いルートから外れることは、一時的に大きな不安を伴うからです。しかし、あなたのキャリアの舵取りは、あなた自身が行うべきです。ドラッカーが言うように、リーダーシップとは「目標を設定し、それを実現するための決断を下すこと」です。自分の人生の主人公であり、リーダーであるあなたは、新しい決断を下す「勇気」を持つべきなのです。

再決断は「言葉」と「行動」のセット

再決断は、単に心の中で「明日から頑張る」と誓うだけでは成立しません。TA(交流分析)では、再決断は過去に発せられた「禁止令」を打ち消す、大人としての明確な「決意の言葉」と、それに続く「新しい行動」がセットになって初めて、強固なものになると考えます。言葉と行動の両方で、新しいGPS設定を確定させる必要があります。

3. 新ルートを「完走」する力、それがGRIT

新しい目的地を設定したとしても、そこに至るまでの道のりは平坦ではありません。私たちは、慣れた古いルートに戻ろうとする心の揺らぎに、何度も直面します。この新しいルートを最後まで粘り強く進むために不可欠なのが、アンジェラ・ダックワースの提唱するGRIT(グリット)」です。

成功への粘り強さ「GRIT」の定義

「GRIT」とは、「目標達成に向けた情熱と、粘り強くやり抜く力」のことです。才能やIQではなく、長期的な目標に対する揺るぎないコミットメントです。再決断が「行先」を決めることだとすれば、GRITは、途中の困難や誘惑に負けず、目的地までたどり着くための「燃料」であり「エンジンの耐久性」だと言えます。

なぜ「再決断」後にGRITが必要か

再決断後、しばらくは意欲に満ち溢れていますが、必ず心の揺らぎが訪れます。それは、過去の人生脚本の「快適ゾーン」に戻ろうとする心の引力です。この誘惑に打ち勝つために、GRITが必要です。新しい習慣が定着するまで、「新しい私」としての行動を、意識的に、粘り強く継続することで、古いGPS設定を上書きし続けることができます。

GRITを支える「小さな成功体験」

大きな再決断を成功させる秘訣は、小さな行動の継続にあります。ダックワースは、才能よりも努力の積み重ねを重視します。これは、新しい物語の成功も、日々の小さな「再決断」と、それをやり抜く「小さなGRITの積み重ねでしかないことを示しています。例えば、「会議で発言する」という小さな目標を達成するたびに、あなたのGRITは少しずつ強化されていくのです。

推薦図書:やり抜く力 GRIT』(アンジェラ・ダックワース)

4. 「心のGPS」を調整し続ける実践ステップ

再決断は、一度きりのイベントではありません。あなたのキャリアと人生を常に理想の方向へ導くための、継続的なメンテナンスプロセスです。以下の3つのステップで、あなたの「心のGPS」を調整し続けてください。

現在地(現状の行動パターン)の特定

まず、自分が現在どのルートを走っているのか、冷静に特定します。仕事や人間関係で繰り返している「なぜかいつも」のパターンを書き出し、それが幼少期のどの「決断」に起因しているのかを分析します。客観的な自己認識が、ルート変更の第一歩です。

新しい目的地(理想の未来)の明確化

あなたが本当に到達したい「理想の未来」のイメージを、可能な限り具体的かつ鮮明に描いてください。この「新しい目的地」は、過去の誰かの期待ではなく、あなた自身の価値観に基づいている必要があります。曖昧な目的地では、GPSはすぐにエラーを起こしてしまいます。

日々の「進路修正」を習慣にする

大きな再決断を達成目標とするのではなく、新しい決断に基づく小さな行動を、毎日続けることを習慣にしましょう。今日、この瞬間に、新しい物語の「一文」を書くことを意識してください。進路から外れそうになったら、すぐにGPSを再確認し、目標に向かって進むという「再決断」を繰り返すことが、人生という長距離運転の成功の鍵です。

まとめ:再決断は、未来へのパスポート

いかがでしたでしょうか?

あなたの人生脚本は、決して変えられないものではありません。それは、幼い頃に下した決断によって作られたものであり、大人になった今、あなたはそれを改めて「再決断」する力を持っています。

この再決断には、勇気と、やり抜く力(GRIT)が必要です。しかし、その一歩を踏み出せば、あなたのキャリアと人生は、他者から与えられた物語ではなく、あなた自身が書く、心からの満足に満ちた物語へと変わっていくでしょう。

あなたのキャリアが、あなた自身の意志で描かれる素晴らしい物語となるよう、心から応援しています。

お読みいただきありがとうございました。皆さんのキャリアと組織の成長にお役に立てれば幸いです。

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