善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

新入社員応援連載|第3回

「信用」と「信頼」は、どこで分かれる?

社会人生活が始まって2週間――

少しずつ職場の空気に慣れてきた一方で、戸惑いや緊張が抜けない毎日を過ごしている方も多いことでしょう。

「仕事の内容はまだ覚えきれていないし、成果も出せていない」

そんな時期に、先輩や上司が新入社員に最も期待していることは何だと思いますか?

それは、「小さな信頼の積み重ね」です。

特別なスキルがなくても、すぐに実行できる行動があります。

それが今回のテーマ、「5分前行動」です。

5分前行動は、信頼の“種まき”

「5分前行動」とは、単なる“早く来る習慣”ではありません。

それは、相手の時間を大切にする姿勢であり、自分の責任意識の現れでもあります。

なぜ「5分前」が信頼をつくるのか?

• 準備の姿勢が見える

 時間に余裕をもって行動する人は、「何があっても間に合わせよう」とする覚悟が伝わります。

• 相手に安心感を与える

 約束の時間ギリギリや、毎回遅れる人には「任せて大丈夫かな?」という不安が生まれがちです。

• 仕事のリズムを整える

 時間を守る習慣は、自分の集中力・段取り力にもつながり、結果として業務効率もアップします。

社会人にとって「時間」とは、信用と信頼の両方の土台

学生時代、多少の遅刻やスケジュール変更は柔軟に許容される場面も多かったかもしれません。

しかし、ビジネスの現場では、「時間=信頼の通貨」とも言えるほど重みがあります。

「信用」と「信頼」の違い

• 信用…与えられた立場や肩書きによって、最初に“仮で”持たせてもらえる期待値

• 信頼…日々の言動の積み重ねによって、「この人なら任せても大丈夫」と思ってもらえる状態

→ 「信頼」は、小さな約束や時間の使い方のなかで磨かれていくものです。

5分前行動が生み出す、“見えない好印象”

たとえば、朝の始業前に5分早く着席している人がいると、

その職場には自然と「おっ、やる気あるね」というポジティブな空気が生まれます。

上司の視点で見ると…

• 「この人は“段取り”を大事にするタイプだな」

• 「時間にきちんとしているから、任せても大丈夫そう」

• 「1分前でもなく“5分前”というところにプロ意識を感じる」

もちろん、たった5分早いからといって急に昇進するわけではありません。

しかし、その小さな行動の積み重ねが、「信頼貯金」を少しずつ増やしていくのです。

時間・約束に強くなる3つのポイント(具体解説+事例付き)

①「予定」ではなく「準備時間」をカレンダーに入れる

▷ なぜ準備時間を入れるのか?

多くの新入社員が、スケジュール帳やGoogleカレンダーに「会議:13:00~14:00」のように記録しています。

しかし、実際には資料を確認したり、移動したり、心を整えたりと“準備時間”が必要な場面は少なくありません。

予定=行動の「開始」ではなく、その前から行動は始まっているという認識を持つことが、時間感覚を変える第一歩です。

✔ 事例:準備時間を確保したAさんのケース

Aさん(新卒1年目)は、最初の1か月、打合せのたびに「資料を探していて遅れました」「急いで入室して緊張して話せませんでした」ということが何度か続きました。

先輩からのアドバイスで、「会議時間の15分前に“準備”という予定を入れる」工夫を始めたところ、次第に余裕をもって行動できるように。

今では「Aさんは話が分かりやすくて頼れる」と、先輩たちからの信頼も厚くなっています。

対策ポイント:

• カレンダーアプリに、「◯◯の準備」「資料確認」「ログインチェック」など具体的に入れる

• 「会議」は13:00、「準備」は12:45~13:00という形で、バッファ時間も含めて管理する

②「自分のため」ではなく「相手のため」に動く意識

▷ 時間を守る意味は、“信頼”と“敬意”を表すこと

「あと5分寝たい」「まだ間に合う」――

そう考えてしまうのは自然なことです。ですが、自分が時間を守らないことで、相手の時間を奪っているかもしれないという視点に立つと、時間への意識が大きく変わります。

ビジネスの現場では、“相手のため”に時間を守ることが当たり前の信頼行動として見られます。

✔ 事例:5分の遅刻が関係性を崩したBさんのケース

Bさん(社会人2年目)は、毎回打合せに1~2分遅れてくる癖がありました。

「たいした遅れではない」と思っていたBさんに、ある日、取引先の担当者から言われました。

「あなたと話す時間は、私が他の業務を止めて使っている“貴重な時間”なんです」

その一言をきっかけに、Bさんは時間=信頼の表れであることに気づき、それ以降は10分前行動を徹底。信頼関係も回復しました。

対策ポイント:

• 「この時間は、誰かが自分のために空けてくれた時間」という意識を持つ

• 1分の遅れでも、「相手の信頼を削るナイフ」になり得ると肝に銘じる

• 約束を守る=相手への“リスペクト”を示すことだと捉える

③「1回遅れたら、3回で取り返す」と決める

▷ 遅れた事実より、「どう挽回したか」が見られている

時間や締切に遅れてしまった経験、誰にでもあります。

しかし大切なのは、「もう遅れない」ではなく、「どう取り返すか」という行動」です。

人は誰しも失敗します。

でも、「リカバリーしよう」とする姿勢には、誠意と責任感がにじみ出ます。

そこに、信頼を回復する力が宿ります。

✔ 事例:信頼を取り戻したCさんの行動

Cさん(新入社員)は、ある日、社内プレゼンで10分の遅刻をしてしまいました。

先輩や上司からは厳しい指摘があり、Cさんもかなり落ち込んでいましたが、翌日から以下のような行動をとりました。

• 全社朝礼には10分前着席

• 同じミスを他の新人がしないよう注意喚起のメモを全体にシェア

• その後3回連続で「先に準備完了・資料配布」などを自発的に実施

「ミスをどう受け止め、どう変化したか」が見えたことで、逆に「信頼できる人」と評価が上がりました。

対策ポイント:

• 遅れたら、必ず「次の行動で返す」という意識をもつ

• 「3回で信頼を取り戻す」を自分のルールにする

• 反省は必要だが、自己否定せず“行動で示す”ことが大切

総まとめ:時間は、見えない“信頼スコア”を動かしている

時間や約束をどう扱うかは、言葉以上に「人となり」を表します。

それは、日常のちょっとした行動の積み重ね――

• 会議に5分前に入室する

• 打合せの資料を前日夜には準備する

• 「〇日までに提出」と言われたら1日前に出す

こうした一つひとつが、“信頼できる人”という印象を静かに積み上げてくれるのです。

「信用」されるのは最初だけ。

そこから「信頼」されるには、自分の行動でコツコツ証明していくしかありません。

小さな信頼の積み重ねが、やがて大きな信頼をつくる。

そのスタートは、「あと5分、早く動いてみる」ことから始まります。

今日の自分にできる“5分前行動”は何か?

ぜひ、明日の朝から実践してみてください。

あなたの“信頼貯金”は、すでに始まっています。

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