善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

【4つの役割を越境せよ】「貢献の戦略」でチームを自走させる6日間
Day 1:チーム貢献度を測る「4つのレンズ」:あなたは今、どの役割に偏っているか?

こんにちは、坂本です。皆さんのキャリアと組織の成長を応援しています。

今日から始まる6日間の連載は、私、坂本が長年、多くの企業やビジネスパーソンと向き合ってきた中でたどり着いた、「真に成果を生み出すチームの秘密」を解き明かす旅です。

「うちのチームはリーダー待ちだ」「メンバーの当事者意識が足りない」「マネジメントが現場を知らない」—そんな悩みは尽きませんよね。

この問題の根源は、私たちがリーダーシップ(L)、フォロワーシップ(F)、マネジメント(M)、セルフマネジメント(SM)の4つの機能を、「誰か特定の役職が担うもの」として分断してしまっていることにあります。今日、私と一緒に、その古い認識をリセットし、チームへの貢献を「科学」的に捉え直しましょう。6日後、あなたは必ず「貢献者」として一歩踏み出せるようになりますよ!

役職という「メガネ」を外そう:4つの機能の再定義

この連載の核となる定義を確認しましょう。私たちは、L・F・M・SMを「貢献の機能」として捉え直します。これは、チームの目標達成という最終的なアウトプットに向け、誰もが状況に応じて使いこなすべき「道具」なのです。なぜ、この再定義が必要なのでしょうか?

ドラッカーが語る「貢献」の真の意味

私の専門とするピーター・ドラッカーは、『現代の経営』で、マネジメントの目的の一つは「成果をあげるために、個人の強みを組織の共通の目標に結びつけること」だと述べています。これがまさしく「貢献の哲学」です。あなたの会社でのあなたの役割は、あくまで貢献のためのスタート地点に過ぎません。真の貢献とは、「自分の仕事が、チーム全体の成果にどうつながっているか?」を常に問い、行動することです。

貢献機能の偏りが生むチームの「認知バイアス」

役割の偏りが集団全体に広がると、チーム全体が非合理的な意思決定をしてしまう「集団思考(Groupthink」という認知バイアスに陥る危険性があります。リーダーの意見に誰も異論を唱えない、特定の役割の視点(例:リーダー視点)ばかりが優先される状態です。チームの生産性を最も下げるのは、「見えているものが違う」ことによる認識のズレなのです。

L・F・M・SMは「誰もが使う道具」である

イメージしてみてください。L・F・M・SMは、大工さんの持っているノコギリ、トンカチ、メジャー、鉛筆のようなものです。自走できるチームとは、全員がこれら4つの道具を使い分けられるチームのこと。特定の道具(役割)に固執すれば、現場は必ずぐちゃぐちゃになります。

真のリーダーシップ機能は「環境デザイナー」

真のL機能とは、「支配」や「命令」ではありません。それは、ドラッカーが言う「実行」につながる、目標達成に必要なリソースや、障害物を取り除く「環境をデザインする」機能です。フォロワーが動きやすい土壌を整える役割なのです。

貢献とは「自分の役割を超える」こと

「フォロワーの私が、リーダーのやり方に意見するのはおこがましい」「管理職ではない私が、チームのルールに口出しするのは越権行為だ」—こうした考えは、チームの成長を止めるブレーキになります。この連載で目指す「越境」とは、あなたの立場の線を飛び越えて、欠けている機能を見極め、それを埋める行動を取ることです。

なぜ、私たちは自分の役割に「固執」してしまうのか?

頭では分かっていても、なぜ私たちは「自分の立場」から抜け出せないのでしょうか?「越境」を阻む心理的な壁の正体を、心理学の知見を使って解説します。

交流分析で知る心の偏り(PACモデル)

ここで登場するのが、交流分析(Transactional Analysis)の知見です。人の心を3つの自我状態(P:Parent/親、A:Adult/成人、C:Child/子ども)で捉えます。私たちが役割に固執するとき、それは多くの場合、PかCの自我状態に心のエネルギーが偏っているサインです。

PモードのリーダーがCモードのフォロワーを生む

Pモードに偏ったリーダーやマネージャーは、「私が全部決める」という姿勢になり、メンバー(フォロワー)をCモード(依存)に追いやります。一方、Cモードに偏ったフォロワーは、「言われたことだけやっていればいい」と感じ、自律的な貢献機能を停止してしまいます。PとCのエネルギーの衝突は、チームを硬直化させます。

【H3】フォロワーの視点がないリーダーの「独り相撲」

フォロワーシップ機能(F機能)を理解しないリーダーは、メンバーの現場の肌感覚や懸念点を無視しがちです。これは、メンバーの「これはうまくいかないだろう」という健全な異論を潰し、最終的には計画の失敗を招きます。リーダーの仕事は、メンバーが高いモチベーションで貢献に参加できる「心理的コスト」を理解することです。

マネージャーの視点がないメンバーの「無関心」

マネジメント機能(M機能)を理解しないメンバーは、チームのルールや慣習を「ただの制約」と捉え、「どうせマネージャーが決めたこと」と無関心になりがちです。M機能の真の役割が「失敗を恐れずに挑戦できる安全な土壌を整備すること」だと理解できれば、ルールが「チーム全体のガバナンスと安全性を守るための配慮」だと理解でき、自発的に協力できるようになります。

「成人(A)」の視点が貢献の鍵を握る

真の「貢献者」が目指すべき心の状態は、このA(成人)です。Aは、感情や過去の経験に流されず、「今、このチームにとって最も成果につながる行動は何か?」を論理的に判断できます。Aの視点に立つとは、自分自身を外から見つめるもう一人の自分を持つことです。この自問自答こそが、SM機能の土台となります。

L・F・M・SMが担うべき「越境の貢献機能」

この連載の旅で私たちが学ぶのは、L・F・M・SMの機能を「越境視点」で深く理解することです。それぞれの機能が持つべき真の定義を再確認し、貢献への第一歩を踏み出しましょう。

フォロワーシップ機能は「チームの健全な監視役」である

F機能は、「追従」ではありません。チームの意思決定が非合理性やバイアスに陥っていないか、建設的なデータや異論を持ってチームを「健全に監視する」機能です。これこそが、チームが正しい方向に進むための安全装置になります。

マネジメント機能は「挑戦できる土壌づくり」である

M機能は、「管理」や「チェック」ではありません。メンバーが失敗を恐れず、安心して新しい挑戦ができるよう、「心理的安全性」という目に見えない土壌を整備する環境整備と定義されます。

セルフマネジメント機能は「貢献行動の自動化」である

SM機能は、単なる自己管理ではなく、「非合理な自分」という最大の敵を乗りこなし、L・F・Mの貢献行動を「自動化」する技術です。意志力に頼るのではなく、行動経済学の知見を借りて、自分の行動を設計します。

貢献への第一歩は「視点のズレ」の認識から

L・F・M・SMの各機能は、互いに異なる視点を持っています。この視点のズレを理解することなく、自分の役割だけを遂行しても、それは自己満足に終わり、チームの成果にはつながりません。「相手の視点から、今の自分の行動はどう見えるか?」を問うことが、越境のスタート地点です。

Day 1の総括:真の貢献者とは

真の貢献者とは、自分の職務記述書を超え、チームの成果に最も必要とされている機能を見極め、それを勇気とロジックをもって提供できる人です。貢献の哲学は、あなたのキャリアにおける当事者意識のレベルを劇的に引き上げます。

6日間でコミットメントを生む「貢献度診断ワーク」

本日の記事を読んで、あなたは現在の自分の貢献の仕方について、どのような内省を得たでしょうか?この連載の価値を最大化するために、まずはあなたの現状を自己診断してみましょう。

貢献度の点数化がもたらす「内省」の力

【内省の問い】

現在のあなたの「チーム貢献度」を10点満点で採点してください。

その上で、なぜその点数になったのか、その根拠を、4つの機能(L, F, M,SM)の視点から説明できますか?

4つのレンズから自分の行動を見つめ直す

このワークを通じて、あなたが「自分の視点」だけで貢献度を測っていたことに気づくでしょう。自分の役割を超えて、他者の立場から自己評価を試みることで、明日からあなたが行うべき「貢献」のヒントが見つかります。ぜひノートに書き出してみてください。

最も欠けている「機能」の特定

あなたが現状最も貢献できていないと感じる「機能」(L、F、M、SMのいずれか)を一つ特定してください。そして、なぜその機能が欠けているのか、PACモデルで自己分析を試みてください。

Day 2への橋渡し:リーダーシップの真の姿

この診断で「リーダーシップ機能の貢献が足りないかも」と感じた方もいるでしょう。明日、Day 2では、真のリーダーシップの役割について掘り下げていきます。

今日のコミットメント:一つだけ「越境視点」を取り入れる

今日から一つだけ、自分の役割を超えた「越境視点」を取り入れる行動をコミットしましょう。例:「フォロワーの立場で、上司の決定の裏にある『マネジメント機能』としての懸念を想像してみる」。

まとめ:貢献は、あなたの「成長」そのものです

今日、私たちはL・F・M・SMの4つの機能は、特定の誰かのものではなく、「チーム全員が持つべき貢献のためのレンズ(道具)」であることを再定義しました。自分の立場に固執するP(親)やC(子ども)の自我状態から脱却し、A(成人)の論理的な視点を持つことが、真の貢献者への第一歩です。

貢献を学ぶことは、チームを良くするだけでなく、あなた自身のキャリアの成長そのものにつながります。自分の役割を超えて考えるとき、あなたの視野は劇的に広がり、ビジネスパーソンとしての市場価値も大きく高まるはずですす。貢献の道は、あなたの成長の道です。私たちと一緒に、6日間で変革を起こしましょう!

お読みいただきありがとうございました。皆さんのキャリアと組織の成長にお役に立てれば幸いです。

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