善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

価値観の羅針盤を磨く!「幸福の基準」は自分で決める

こんにちは、坂本です。皆さんのキャリアと組織の成長を応援しています。

これまでの連載で、私たちは人生脚本という古い台本を特定し、その「禁止令」や「ゲーム」のパターンを見てきました。しかし、古い台本を捨てるだけでは、新しい物語は始まりません。新しい物語を書き始めるには、どこへ向かうべきかを示す「羅針盤」が必要です。

今回は、その羅針盤の針、すなわち「価値観」に焦点を当てます。価値観とは、あなたが人生で最も大切にしたい「幸福の基準」です。人生脚本に隠された他者基準の「成功の定義」を再確認し、本当にあなたが大切にしたい価値観を見つけ出す方法を、スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』の知見も交えて解説します。

1. あなたの羅針盤は「誰」が握っているのか?

多くの人が抱えるキャリアの迷いや不満は、自分の羅針盤の針が、他人の価値観や社会の常識に振り回されていることに起因します。

人生脚本に隠された「成功の定義」

私たちが無意識に従っている「人生脚本」には、「成功とは、高い地位に就くことである」「幸福とは、他人より多くのお金を持つことである」といった、親や社会から刷り込まれた「成功の定義」が隠されています。私たちはこの定義を自分のものだと信じ込み、そのゴールに向かって懸命に走ります。しかし、ゴールに到達した瞬間、「何か違う」「心から満たされない」という空虚感に襲われることがあります。

コヴィーが説く「目的を持って始める」重要性

スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』の第二の習慣は「終わりを思い描くことから始める(Begin with the End in Mind)」です。これは、人生の最後に振り返ったときに、「何が重要だったか」という根本的な価値観を最初に明確に定義することの重要性を説いています。人生の目的を明確にすることが、あなたの羅針盤の針を「真北」に設定する作業なのです。

推薦図書:7つの習慣』(スティーブン・コヴィー)

他人の基準で測られた「成功」の脆さ

他人の成功基準や、一時的なブームに合わせた目標は、砂上に建てられた城のように脆いものです。社会の波が来ればすぐに崩れ去ってしまいます。あなたのキャリアを永続的なものにするためには、外的基準ではなく、あなた自身の内的基準、つまり揺るがない「価値観」を羅針盤の真北としなければなりません。

2. 本当の「価値観」を見つけ出す3つの試練

では、人生脚本の暗闇に隠されてしまった、あなた自身の「真の価値観」をどうやって見つけ出すのでしょうか。これは、自分自身に深く問いかける「3つの試練」を通じて明らかになります。

試練1:「人生の棚卸し」で違和感を特定する

過去のキャリアや人生を振り返り、「達成したけれど、なぜか嬉しくなかったこと」と「達成できなかったけれど、心惹かれ続けたこと」を書き出してください。この「違和感」こそが、あなたの人生脚本が追っていた古い価値観と、あなたの心が本当に求めている新しい価値観のズレを示しています。特に、「やりたくないのにやっていること」の裏側には、あなたが本当に大切にしたいことのヒントが隠れています。

試練2:ドラッカーの問い「貢献すべきものは何か?」

ピーター・ドラッカーは、知識労働者に対し「貢献すべきものは何か(What should I contribute?)」という問いを投げかけました。この問いは、あなたの「強み」を、あなたの「価値観」と結びつける役割を果たします。単に「お金を稼ぐ」だけでなく、「どのような価値を社会に提供したいか」を考えることで、あなたの価値観はより深く、利他的なものへと昇華されます。

試練3:最期の瞬間を想像するコヴィーの「葬儀の試練」

コヴィーが説く最も強力な方法の一つが、「自分の葬儀を想像する」ことです。葬儀で、家族、友人、同僚、地域社会の人々から、あなたはどのような言葉をかけてもらいたいですか?「あなたはどんな人だったか」という弔辞の内容こそが、あなたの人生において、あなたが最も大切にしたい「価値観」を浮き彫りにします。

3. 「幸福の基準」を自分で決めるための羅針盤調整術

価値観を明確にしたら、次にその価値観を指針として、あなたの「幸福の基準」を自分で定義し、羅針盤を調整します。これは、キャリアの決定において、明確な判断基準を持つことを可能にします。

基準は「他者との比較」から「自己との整合性」へ

真の幸福の基準は、「どれだけ他人より上か」ではなく、「どれだけ自分の価値観に正直に生きているか」という自己との整合性にあります。例えば、あなたの価値観が「自由」であるなら、高収入でも拘束時間の長い仕事よりも、収入は少なくても時間的な自由がある仕事の方が、あなたにとっての「幸福の基準」を満たします。この基準を明確に言語化し、壁に貼るなどして常に意識しましょう。

羅針盤は「緊急性」ではなく「重要性」を指すべき

コヴィーは、時間を管理するマトリクスで、「緊急ではないが重要なこと」(第二領域)に集中することの重要性を強調しました。あなたの羅針盤も、日々の「緊急な仕事」ではなく、あなたの「価値観」(重要性)が指し示す方向を優先すべきです。価値観に合致した活動を意識的に行うことが、自己の充実感を高め、キャリアの安定につながります。

価値観は「成長」とともに進化する

価値観は不変のものですが、その「表現の仕方」はキャリアのフェーズによって進化します。若い頃は「自己成長」という価値観が強いかもしれません。経験を積むと、「後進の育成」や「社会への貢献」へと表現が変化します。定期的に羅針盤を点検し、あなたの成長とともに進化しているかを確認することが、長期的なキャリア満足の鍵です。

4. 最終メッセージ:あなたの基準で人生を成功させる

この連載で、あなたは自身の内面を深く探求し、古い脚本から自由になる準備ができました。そして今回、あなたのキャリアの舵取りに必要な「価値観の羅針盤」が明確になりました。

あなたの人生は、あなたの基準が創る

あなたの「幸福の基準」は、誰にも決めさせるべきではありません。あなたの価値観が指し示す方向に、あなたのキャリアを進めてください。それが、あなたにとって最も意味のある、真の成功です。

まとめ

「価値観の羅針盤」を磨き、「幸福の基準」を自分で決めること。これこそが、他者に依存しない、自律したキャリアを築くための最強の土台です。

コヴィーの教えに従い、あなたの人生という旅の「終わり」を明確に描き、その目的と価値観に沿って、日々を勇敢に進んでください。

お読みいただきありがとうございました。皆さんのキャリアと組織の成長にお役に立てれば幸いです。

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