善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

時務学 実践編|第5回

「選ぶのに時間がかかってしまう…」

「決めた後に、あっちの方がよかったのではと迷う…」

「判断のスピードや質をもっと上げたい」

そんなふうに感じているビジネスパーソンにこそ、身につけてほしいのが「意思決定力」です。

時務学が重視するのは、「時を知り、行うべきことを決め、実行する力」。

つまり、“何を、いつ、どう選ぶか”ができる人が、組織を動かし、チームの未来をつくります。

この記事では、意思決定力を高めるための3つの視点と、今すぐできる日常的なトレーニング方法を、実践的に解説します。

今、なぜ「意思決定力」が問われているのか?

現代の職場では、以下のような変化が進んでいます。

• 情報過多で「選ぶ」場面が増えている

• 正解のない状況が常態化している(VUCA時代)

• 働き方やキャリアが多様化している

• 上司に丸投げではなく、「自分で判断」が求められる場面が増えている

つまり、誰かに決めてもらう“指示待ち”から、自分で決めて動く“自律型”へのシフトが起きているのです。

この変化に対応するためにも、納得して選び、責任を持って動ける“意思決定の力”を養うことが求められています。

意思決定力を高める3つの思考習慣

① 「迷いの正体」を分解する

意思決定で迷うのは、「何を基準にすべきか」が整理できていない状態です。

そんなときは、迷っている内容を紙に書き出して“分解”することから始めましょう。

▶ 3分自問ノート(簡易ワーク)

1. 今、迷っている選択肢は何か?

2. それぞれの「メリット」と「不安(リスク)」は?

3. 最終的に、自分が後悔しない判断とは何か?

✏️ 例:

✔️ A案(無難な提案)→ 失敗リスクは低いが、インパクトが弱い

✔️ B案(チャレンジ提案)→ 失敗のリスクはあるが、提案者として成長できそう

→ 書き出すことで「優先したいもの」が明確になります。

「失敗の回避」か、「経験による成長」か――自分にとって大切な基準が見えてくるのです。

② 判断基準を“事前に持っておく”

迷いがちな人ほど、日常的な選択に判断基準がなく、毎回“ゼロから考える”状態になっています。

そこで大切なのが、自分なりの「判断軸」を前もって持っておくこと。

▶ 自分なりの3つの判断軸をつくろう

📌 例:

• 「成長につながる方を選ぶ」

• 「相手との信頼関係を重視する」

• 「3か月後に後悔しない方を選ぶ」

→ 判断基準があれば、選択肢が多くても“ブレずに選ぶ力”が高まります。

③ 完璧を求めすぎない

「もっと良い選択があるかも」と考えすぎて動けなくなるのは、“完璧主義のワナ”です。

意思決定は、「70点でOK」という気持ちで進めて、動きながら軌道修正する方が成果につながりやすいのです。

▶ キーワード:「行動しながら考える」

• 判断は完璧でなくていい

• 行動の中で学び、修正しながら進める

→ 意思決定=「思考+行動+振り返り」のループだと理解しましょう。

✅ 日常でできる!意思決定力トレーニング【実践強化版】

1. 「今日の決断」を毎晩3分で記録する

▶ 目的:

小さな判断に気づき、自分の“選び方のクセ”を見える化する

▶ 方法:

1. 1日の終わりに、次の3つをノートやスマホに書き出します:

フォーマット例:

● 4月11日「今日の意思決定ログ」

① 午後の作業を“報告書優先”にした  

→ 理由:集中力が必要なタスクを先に終わらせたかった

② 会議でB案に賛成  

→ 理由:A案よりも短期間で実現可能だったから

③ Slackで即返信せず、夕方まとめて対応  

→ 理由:今は深掘りタスクに集中したかったため

→ この記録を週に1度見返すだけで、判断のパターンや偏りが見えてきます。

2. 「なぜそうした?」と自問するクセをつける

▶ 目的:

意思決定を“感覚”で終わらせず、理由を言語化する思考トレーニング

▶ 方法:

何かを選んだ後、必ず「なぜそれを選んだのか?」を自分に問いかけ、1文で理由を言う練習をします。

📌 例:

• 「この資料構成にしたのは、相手に伝わりやすくなると思ったから」

• 「A社よりB社に先に連絡したのは、納期が厳しい案件だったから」

→ 自分の思考の筋道を“言葉にする”ことで、判断が整理され、再現性が生まれます。

3. ロールモデルの判断を“観察・模倣”してみる

▶ 目的:

自分にはない“判断の型”を学び、選択力の幅を広げる

▶ 方法:

1. 判断が的確・早いと感じる上司・同僚を1人決める

2. 次の3つを日々観察する:

📌 観察ポイント:

• どんな情報で判断しているか?

• 判断のスピードは?(即決?熟慮?)

• 判断後、どう伝えて、どう動いているか?

📝 メモ例:

• 部長は「顧客視点で見たらどうか?」を常に判断軸にしている

• 完璧を目指さず、「今できるベスト」で動いている

• 決断後にチームへの説明が論理的でブレがない

→ 観察だけで終わらせず、「自分に取り入れる1つ」を週1で実践することで、学びが行動になります。

まとめ|“決められる人”がチームを動かす

意思決定力とは、

「正しい選択を探す力」ではなく、「納得して進む力」です。

• 迷ったときは、まず書き出して“見える化”する

• 判断軸を持つことで、ブレない選択ができる

• 完璧を求めず、行動と修正のループで前進する

• 小さな判断を振り返り、自分の思考パターンを知る

“自分で決められる人”は、信頼され、任され、育ちます。

時代がどんなに変わっても、意思決定できる人が未来を切り開いていきます。

まずは今日、あなたが下す「ひとつの判断」を、言葉にしてみることから始めてみてください。

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