善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

6日間で養う「気づく力」~自分らしく善く働くための自己発見の旅~

第5回:社会・環境の変化に気づく~未来を読み解き、機会を掴む~

皆さん、こんにちは。坂本です。

「気づく力」を養う旅も、いよいよ5日目を迎えました。

これまでは、自分自身の「感情・思考」や「価値観・強み」といった内面の気づき、そして「無意識のバイアス」や「他者の視点・ニーズ」といった対人関係における気づきに焦点を当ててきました。これらは、日々の仕事や人間関係を豊かにする上で不可欠な、ミクロな「気づく力」です。

しかし、私たちは個人や組織だけでなく、常に変化し続ける社会や環境の中に身を置いています。

  • 「今の仕事は、あと何年安泰なのだろう?」
  • 「新しい技術やサービスが次々に出てくるけれど、自分に何ができるだろう?」
  • 「会社はどんな方向に向かおうとしているのだろう?」
  • 「世の中で本当に求められているニーズは何なのか?」

VUCA(Volatility:変動性, Uncertainty:不確実性, Complexity:複雑性, Ambiguity:曖昧性)と呼ばれる現代において、私たちは常に変化の波に晒されています。この変化を「脅威」として漠然とした不安を抱えるのか、それとも「機会」として捉え、自らのキャリアを戦略的にデザインしていくのか。その分かれ道となるのが、まさに「社会・環境の変化に気づく力」です。

私自身、リーダーシップ研修やコーチングを行う中で、変化への適応力が、個人の成長と組織の存続に直結すると強く感じています。ドラッカーもまた、「未来を予知すること」ではなく「現在の変化の兆候に気づき、それに対応すること」の重要性を説きました。特に、表明されていない「本音のニーズ」や「意図」を読み解く力は、これからの時代、個人も組織も成長していく上で不可欠なスキルだと考えます。

今日の記事では、皆さんがマクロな視点から社会や環境の変化に気づき、その兆候を読み解くことで、未来を自ら切り拓き、新たな機会を掴むためのヒントとワークをお届けします。

1. 変化の「表面」とその「深層」~建前と本音を読み解く視点~

社会や環境の変化は、往々にして表面的な現象として現れます。例えば、ニュースで報じられる技術革新、新たな法規制、消費トレンドの変化などがそれにあたります。しかし、本当に重要なのは、そうした「建前」や「表層」の裏に潜む「本音」や「本質的な意図」、そしてまだ言語化されていない「ニーズ」に気づくことです。

私がリーダーシップのコーチングを行う際も、クライアントが直面している課題の「表面的な問題」だけでなく、その背景にある組織の文化、メンバーの潜在的な不満、顧客のまだ満たされていないニーズなど、「深層」にあるものに気づくよう促します。

例えば、

  • 表面的な変化(建前): 「AI技術の進展で、特定の業務が自動化される」
  • その裏にある本質的な変化(本音・意図・ニーズ): 「単なる自動化ではなく、人間がより創造的な仕事に集中できる環境を求めるニーズの顕在化」や「企業の生産性向上という意図」があるかもしれません。

この「表面」と「深層」を見極める視点がなければ、私たちは変化に盲目的に反応するだけで、真の機会を見落としてしまう可能性があります。

1.1. 変化の兆候に気づくことのベネフィット

社会・環境の変化の兆候に意識的に気づくことは、皆さんのキャリアと人生に以下のような大きなベネフィットをもたらします。

  • 戦略的なキャリアデザイン: 自身の強みや価値観と、社会のニーズの接点を見つけ、将来性のある分野へとキャリアの方向性を調整できます。
  • 新しい事業・プロジェクトの創出: 顕在化していない顧客ニーズや社会課題に気づくことで、革新的なアイデアやサービスを生み出すヒントが得られます。
  • 競争優位性の獲得: 競合他社に先駆けて変化を察知し、対応することで、市場での優位性を築けます。
  • 不確実性の軽減: 未来への漠然とした不安が、具体的な行動への計画へと変わり、精神的な安定に繋がります。
  • リーダーシップの強化: 組織を未来へと導くために、先見性を持ち、変化を恐れず、適切に意思決定する力が養われます。これは、リーダーが「未来を創造する」上で不可欠な要素です。

2. 変化の兆候を「感知」するアンテナを磨く

では、どのようにして社会や環境の「本音」や「意図」に気づき、変化の兆候を捉えるアンテナを磨けば良いのでしょうか?重要なのは、情報収集の幅を広げ、多角的な視点から物事を分析する習慣を持つことです。

2.1. 意識すべき「変化の感知」ポイント

  1. 顧客の声の「裏側」に耳を傾ける:
    • 顧客が直接口にする要望だけでなく、「なぜその要望が出てきたのか?」「本当は何に困っているのか?」という潜在的なニーズを探ります。クレームの中にも、未来のヒントが隠されていることがあります。
    • (例:顧客が「もっと安くしてほしい」と言っている場合、その本音は「この製品の価値が価格に見合わないと感じている」かもしれませんし、「他社製品と比較して優位性が見えない」のかもしれません。)
  2. 競合他社の「沈黙」を読み解く:
    • 競合が新しい動きをしていない、あるいは特定の分野から撤退した時、その背後にどんな意図があるのかを考えます。単純な失敗だけでなく、新しい戦略への転換、あるいは市場自体の縮小の兆候かもしれません。
  3. 異業種・異分野の「小さな芽」に注目する:
    • 自身の業界だけでなく、全く異なる分野で起きている小さな変化が、やがて自らの業界に大きな影響を与えることがあります。例えば、SNSの流行がマーケティングに与えた影響のように、異質なものが結びつくことで新たな価値が生まれる兆候を見つけます。
  4. 社会の「空気感」を肌で感じる:
    • データや統計だけでは捉えきれない、人々の気分、価値観の移り変わり、社会的なムーブメントといった「空気感」に敏感になります。これは、読書、ニュース、人との対話など、様々なチャネルから情報を得ることで養われます。
    • ドラッカーも「顧客は常に正しいとは限らない。しかし、顧客は常に重要である」と述べ、顧客だけでなく市場や社会全体の変化に目を向けることの重要性を示唆しています。

3. 今日からできる!あなたの「変化の兆候」に気づくワーク

それでは、今日の学びを実践に移すための簡単なワークを試してみましょう。これは、皆さんが社会・環境の変化に意識的に気づき、その裏にある意図やニーズを読み解くための具体的な訓練となります。

ワーク:あなたの「モヤモヤ」を未来のヒントに変える

このワークでは、皆さんが最近感じている「漠然としたモヤモヤ」や「これはどうなるんだろう?」という疑問を、未来の機会を探るヒントとして活用する練習です。

このワークでは、皆さんが最近感じている「漠然としたモヤモヤ」や「これはどうなるんだろう?」という疑問を、未来の機会を探るヒントとして活用する練習です。

  1. STEP 1】最近、仕事や個人的な生活の中で「モヤモヤする」「気になるけれど、どう捉えていいか分からない」と感じている社会や業界のニュース、あるいは身近な変化(例:お店の閉店、新しいサービスの登場、職場のシステム変更など)を一つ書き出す。
    • (例:
      • A: 駅前の老舗百貨店が閉店すると発表された。
      • B: 職場に新しいAIツールが導入され始めた。
      • C: 若い世代の間で「〇〇離れ」という言葉をよく聞くようになった。)
  2. STEP 2】その「モヤモヤする変化」の「表面的な情報(建前)」を書き出す。
    • 実際に報じられていること、見えていること、言われていることを客観的に記述します。
    • (例:
      • A: 〇〇百貨店が売上不振で閉店。
      • B: AIが簡単な事務作業を代替している。
      • C: 若者のクルマ離れ、テレビ離れ、結婚離れ。)
  3. STEP 3】その「表面的な情報」の裏に潜む「本質的な意図」や「まだ満たされていないニーズ」を想像する。
    • もし自分が当事者(百貨店の経営者、AIツールの開発者、若い世代)だったら、その行動の背景には何があるだろう?どんな課題や願望が隠されているのだろう?と考えてみましょう。
    • (例:
      • A: 閉店の裏には、単なる売上不振だけでなく、消費者の「リアル店舗での体験」へのニーズ変化、オンラインショッピングの台頭、都市部の再開発計画といった複合的な要因があるのかもしれない。新しい「コミュニティ」や「体験型消費」のニーズが生まれているのかも。
      • B: AI導入の意図は、コスト削減だけでなく、社員がより創造的な仕事に時間を使えるようにすること、データに基づいた迅速な意思決定を促進することかもしれない。人間がより高度な判断や創造性を発揮できる職場へのニーズが高まっているのかも。
      • C: 「〇〇離れ」の裏には、経済的な理由だけでなく、価値観の多様化、所有から共有へのシフト、つながり方の変化、新しい形の豊かさへの模索があるのかもしれない。「自由な時間」「エコ」「ミニマリズム」「精神的な豊かさ」といったニーズがあるのかも。)
  4. 【STEP 4】この気づきから、あなた自身のキャリアや仕事において、どのような「機会」を見出せるか考える。
    • この変化の波に、自分の強みや価値観をどう重ね合わせられるだろう?
    • 新しいスキルを学ぶ機会?新しいプロジェクトを提案する機会?新しい働き方を模索する機会?
    • (例:
      • A: 体験型イベントの企画運営スキルを磨き、地域活性化に貢献できないか?
      • B: AIツールを使いこなし、データ分析に基づく戦略立案スキルを身につけ、提案力を高められないか?
      • C: 「所有しない豊かさ」をテーマにしたサービスやコミュニティの企画に携われないか?)

このワークを実践することで、皆さんは単なる情報に振り回されるのではなく、その背後にある本質的な変化やニーズを読み解き、自身の未来を切り拓くための「機会」を見つける力を養うことができます。

おわりに:変化の波を乗りこなし、未来を創造する主役へ

今日の記事では、社会・環境の変化に「気づく力」、特に「建前」の裏にある「本音」や「意図」を読み解くことの重要性とその実践方法についてお伝えしました。変化は、私たちの成長と進化を促す最大の機会です。

私がお伝えしているリーダーシップは、まさにこの変化の波を読み解き、組織やチームを未来へと導くためのものです。ドラッカーも「成果を上げる者は機会に焦点を合わせる」と述べており、変化の兆候に気づき、それを機会として捉えることが、卓越した成果を生み出す鍵となります。

さあ、今日から皆さんの「未来を読み解くアンテナ」を磨き、変化の波を乗りこなし、未来を創造する主役として活躍してみませんか?その気づきが、皆さんのキャリアと人生を、よりエキサイティングで充実したものへと変えていくことを、私は確信しています。

いよいよ明日は、連載最終回です。「第6回:仕事を通じた自己実現に気づく~天職を見つけ、輝く自分をデザイン~」と題して、これまでのすべての気づきを統合し、皆さんが「善く働く」ための具体的な行動計画に落とし込んでいきます。どうぞお楽しみに!

私は、皆さんが変化を味方につけ、最高の未来を創造できるよう、全力で応援いたします。

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