善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

「人生の羅針盤」を再起動!自分の感情と向き合うセルフコンパッションの力

こんにちは、坂本です。皆さんのキャリアと組織の成長を応援しています。

昨日は、「人生脚本」という、私たちが無意識のうちに書き上げた人生のシナリオについてお話ししました。読者の皆さんの中には、「ああ、もしかしたら自分の人生は、あの時の脚本通りに進んでいたのかもしれない…」と、どこかモヤモヤした感情を抱いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その「モヤモヤ」こそ、過去の感情があなたの羅針盤に与えている「磁気の乱れ」です。

人生脚本に気づいた後、本当に前に進むためには、その脚本に深く結びついた過去の感情と向き合い、それを力に変えることが不可欠です。

今回は、心理学の中でも特に脳のトリセツとも呼ばれているNLP(神経言語プログラミング)の知見を使い、ネガティブな感情を「癒し、力に変える」具体的な方法について、一緒に探っていきましょう。

1. 人生の羅針盤を狂わせる「過去の感情」

人生脚本に気づいても、それまで積み重ねてきた失敗や後悔の感情が、私たちの心の中に重くのしかかっていることがあります。この感情の重みこそ、人生の羅針盤を狂わせ、新たな一歩を踏み出すのをためらわせる原因になります。人生を「より良くしたい」と願うなら、この感情という名の「重石」を外す作業から始める必要があります。

「あの時、こうしていれば…」が羅針盤を止める

「あの時、もっと勇気を出して、自分の意見を言えばよかった…」

「どうして、あんなにひどいことを言ってしまったんだろう…」

私たちは、こうした過去の後悔や罪悪感の感情に、気づかないうちに縛られています。NLPでは、こうした感情の定着を「アンカーリング」と呼びます。アンカー(錨)が船を岸に固定するように、特定の感情が特定の出来事や場所、さらには音や匂いと結びつき、あなたを過去に引き戻すのです。このアンカーが、あなたが本来進むべき方向を見失わせる原因になります。

なぜ感情は定着するのか?NLPの「アンカーリング」

NLP(神経言語プログラミング)において、アンカーリングとは、ある特定の刺激と、それによって引き起こされる感情や状態が結びつく現象を指します。例えば、ある曲を聴くと、別れた恋人との思い出が蘇り、胸が締め付けられるような感覚を覚える。これもアンカーリングの一種です。

過去の失敗やネガティブな体験は、強烈な感情のアンカーとして私たちの無意識に定着し、新しい挑戦をしようとすると「どうせまた失敗する」という感情を呼び起こし、あなたの羅針盤を過去に向けたままにしてしまうのです。このアンカーに気づかなければ、どんなに未来を望んでも、あなたは過去の呪縛から逃れることはできません。

感情の羅針盤を再起動する勇気

人生の「勝ち筋」を見つけるためには、まず、この「過去に繋がれた錨」を解き放つ必要があります。それは、過去の感情を無視することではありません。むしろ、勇気を持ってその感情と向き合い、対話することです。このプロセスが、あなたの感情の羅針盤を再起動し、未来へと向かわせる力となります。

2. 負の感情を「癒し、力に変える」方法

過去の感情と向き合うことは、決して簡単なことではありません。しかし、感情を癒し、それを未来へのエネルギーに変えるための強力なツールが、心理学には存在します。それが、セルフコンパッション(自己への思いやり)という概念です。自分を大切にするこの考え方が、あなたの羅針盤を力強く動かす鍵となります。

セルフコンパッションとは?自分への「思いやり」という力

セルフコンパッションとは、一言で言えば、「困難に直面したときに、友人を励ますように自分自身を思いやる態度」のことです。多くの人は、友人が失敗したときには優しく慰めますが、自分が失敗したときには厳しく自己批判してしまいます。セルフコンパッションは、この自己批判の声を静かにさせ、自分を許し、受け入れる力を与えてくれます。

これは決して「甘やかす」ことではありません。むしろ、自分を受け入れることで、冷静に状況を分析し、より建設的な行動へと繋げるための土台となります。自己批判はあなたのエネルギーを奪いますが、セルフコンパッションはあなたにエネルギーを与えてくれます。

失敗を「成長の種」に変えるセルフコンパッション

セルフコンパッションを実践することで、あなたは失敗を「恥ずべきこと」ではなく、「成長のための貴重なデータ」として捉えられるようになります。

例えば、新しいプロジェクトで失敗したとします。自己批判の強い人は「私はなんてダメな人間なんだ…」と落ち込みますが、セルフコンパッションを実践する人は、こう考えます。「この失敗はつらいけれど、これは成長する過程で誰もが経験することだ。今回の学びを次にどう活かそうか。」

この思考の転換が、ネガティブな感情を未来への「種」に変え、あなたの羅針盤を力強く動かすエネルギーとなるのです。

自己批判の声と決別する「言葉の魔法」

NLPは、言葉の力が私たちの思考や感情に深く影響すると考えます。自己批判の強い声に気づいたら、「どうせ私には無理だ」という言葉を「今はまだ無理かもしれないけれど、挑戦する価値はある」のように、意識的にポジティブな言葉に置き換えてみましょう。この「言葉の魔法」は、あなたの無意識に新しいプログラムをインストールし、新しい人生脚本の土台を築きます。これは、あなたが新しい人生を歩むための最初の「再決断」となります。

3. 「人生の羅針盤」を再設定する実践ステップ

頭で理解するだけでは不十分です。ここからは、NLPとセルフコンパッションを組み合わせた、羅針盤を再設定するための具体的なステップをお伝えします。この実践を通じて、あなたは過去の感情から解放され、より自由に未来を選択する力を手に入れることができます。

ステップ1: 感情の「アンカー」を意識する

まずは、あなたの人生に潜むネガティブなアンカーに気づくことから始めます。

  • どのような出来事や場所が、あなたを不安にさせますか?
  • どんな言葉を言われたときに、あなたは自己嫌悪に陥りますか?
  • その時、あなたの体はどのように感じていますか?(胸が締め付けられる、肩が重いなど)

これらの感情の「トリガー」を意識的に見つけ出すことで、あなたは無意識の支配から一歩抜け出すことができます。まるで、羅針盤に干渉している磁石の場所を探し出すように、丁寧に探ってみてください。

ステップ2: 感情に「OK」を出すワーク

ネガティブな感情に気づいたら、それを無理に消そうとせず、「OK」を出して受け入れてみましょう。

  • 静かな場所に座り、目を閉じます。
  • 心に湧き上がる感情に気づき、「ああ、私は今、悲しいんだな」と心の中でつぶやきます。
  • その感情を、まるで空に浮かぶ雲のように、ただ眺めます。
  • 「悲しいと感じてもいい。これが今の私だ」と、ありのままの自分を受け入れます。

このシンプルなワークが、あなたの心を静かに落ち着かせ、感情の羅針盤をリセットしてくれます。感情を否定せず、ただ受け入れることが、癒しへの第一歩です。

ステップ3: 新しい「勝ち筋のアンカー」を打つ

最後に、新しい、ポジティブな感情のアンカーを打ち込みましょう。

  • 成功体験を思い出す: 過去に小さな成功を収めたときのことを具体的に思い出してください。その時の感情、体の感覚、周りの音などを五感で感じ直します。
  • アンカーを打つ: その感情が最も高まった瞬間に、親指と人差し指を合わせる、手を胸に当てる、といった特定のジェスチャーをします。
  • 意図的に使う: 不安になった時や、新しい挑戦をするときに、このジェスチャーを意図的に行い、ポジティブな感情を呼び起こします。

この作業を繰り返すことで、あなたの羅針盤は、過去の感情に縛られることなく、未来の「勝ち筋」へと力強く動き始めます。

4. 過去の感情は「弱さ」ではなく「道しるべ」になる

この旅の終わりに、もう一度お伝えしたいことがあります。

過去のネガティブな感情は、決してあなたの「弱さ」を示すものではありません。それは、あなたの人生をより良くするための、貴重な「道しるべ」になるのです。

感情は「弱さ」ではなく「センサー」

感情は、あなたの心と体が発している大切なサインです。不安を感じるのは、「危険を回避せよ」というセンサーが働いているからです。怒りを感じるのは、「自分の大切なものが脅かされている」というセンサーが働いているからです。これらの感情は、あなたの人生を守り、より良い選択をするための「センサー」なのです。このセンサーの感度を上げることが、あなたの羅針盤の精度を高めます。

過去の経験を「知恵」に変える

私たちが経験した失敗や後悔は、決して無駄なものではありません。それは、あなたが人生という名の海を航海するための「航海図」に、危険な岩礁や嵐の場所を書き込んだようなものです。過去の感情に囚われるのではなく、その経験から何を学べるかを考えることで、あなたはより賢く、力強く生きる知恵を身につけることができます。

羅針盤が指し示す「北」を見つける

TAの創始者であるエリック・バーンは、人生の「再決断」の重要性を説きました。私たちは、過去の感情に囚われるのではなく、その感情が指し示す本当の「北」を見つけることができます。それは、あなたが本当に大切にしたい価値観や、目指したい未来です。感情を癒すことで、その「北」がより鮮明に見えてくるでしょう。

まとめ:未来を拓くのは、過去を癒す勇気だ

いかがでしたでしょうか?

今回は、人生脚本に縛られた過去の感情を癒し、力に変える方法についてお話ししました。

「人生の勝ち筋」を見つける旅は、決して過去を否定することではありません。

それは、過去の感情を受け入れ、自分自身に優しく向き合い、その経験を未来への力に変える旅なのです。

次回の第3回では、TAの「自我状態」とドラッカーの「強み」の概念を組み合わせ、あなたが最も輝く「人生の役割」を見つける方法について深掘りします。

お読みいただきありがとうございました。皆さんのキャリアと組織の成長にお役に立てれば幸いです。

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