善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

自分の「強み」は宝物!ドラッカーとTAが語る人生の役割

こんにちは、坂本です。皆さんのキャリアと組織の成長を応援しています。

前回の記事では、自分の「人生脚本」に気づき、それに縛られてきた過去の感情を癒す方法についてお話ししました。過去と向き合うことは、未来を創造するための大切な準備です。

さあ、羅針盤の向きが定まったら、いよいよ本格的な航海に出る時間です。

今回の旅のテーマは、「自分が最も輝く『役割』を見つけること」。

この旅の羅針盤となるのは、経営学の父と称されるピーター・ドラッカーの「強み」の概念と、心理学の一分野であるTA(交流分析)の「自我状態」です。この二つの偉大な知見を組み合わせることで、あなたは自分の潜在的な能力を再発見し、人生の「勝ち筋」を創るための最高の役割を見つけ出すことができます。

1. 「人生の役割」を見つけることの重要性

多くの人は、「あれもこれも、全部できるようにならなければいけない」という脚本を無意識のうちに演じています。しかし、これは限りあるエネルギーを消耗させ、あなたを疲れさせてしまうだけの「負け筋」です。人生の「勝ち筋」は、あなただけの「強み」に焦点を当て、それを活かせる役割を見つけることから始まります。

ドラッカーが語る「強み」の概念

「強み」と聞くと、多くの人は「人よりも優れている点」を思い浮かべるかもしれません。しかし、ドラッカーは「強みとは、あなたが最高の成果を挙げ、他者に貢献できる能力である」と定義しました。彼は「弱みは克服するな、強みを活かせ」と説いています。

つまり、完璧な人間になる必要はありません。あなたがすべきことは、自分の弱点を平均点まで引き上げる努力ではなく、あなたがすでに持っている「宝物」である強みを見つけ、それを磨き上げ、最大限に活用することなのです。

自分の強みが「誰かの役に立つ」という幸福

ドラッカーは、企業の目的は「顧客の創造」であり、働く人の目的は「貢献」であると説きました。この考え方は、私たちの人生にも当てはまります。あなたの強みは、それ自体が素晴らしいものではありません。その強みを使って「誰かの役に立つこと」ができたときに、初めて真の価値と幸福が生まれるのです。

TAの「自我状態」から見るあなたの役割

TA(交流分析)は、私たちの心の状態を「親(Parent)」「大人(Adult)」「子ども(Child)」の3つに分けて考えます。これを「自我状態」と呼びます。

  • 親(P): 厳格さや優しさ、常識といった「~べき」という価値観
  • 大人(A): 事実に基づき、論理的に状況を判断する冷静な自分
  • 子ども(C): 感情的で、好奇心旺盛な自由な自分

私たちは、この3つの自我状態を無意識に使い分けています。あなたが最も輝く「役割」は、この自我状態の中で最も自然に、そして建設的に発揮できる部分と深く関係しているのです。

2. 過去の成功体験から「強み」を掘り起こす

自分の強みを見つける一番の方法は、過去の成功体験を振り返ることです。あなたはすでに、無意識のうちに自分の強みを活かしてきたはずです。その「宝探し」の方法を、具体的に見ていきましょう。

成功体験の「脚本」を読み解く

まずは、あなたの人生で「これはうまくいったな!」「楽しかったな!」と感じた経験を、3つほど思い出してみてください。仕事でのプロジェクト成功、サークル活動での企画、友人との旅行計画など、大小は問いません。

  • そのとき、あなたは具体的に何をしましたか?
  • どんな風に感じましたか?
  • 周りの人は、あなたのことを何と言いましたか?

これらの問いに答えることで、あなたの成功体験の裏に隠された「脚本」が浮かび上がってきます。この脚本に書かれている行動や感情こそ、あなたの「強み」の証拠です。

「簡単すぎて気づかない」強みの落とし穴

多くの人は、「自分にとって簡単すぎることは、強みではない」という思い込みを持っています。たとえば、「人の話を聞くのが得意」な人は、それが当たり前すぎて強みだと気づきません。

これはまるで、水の中で泳ぐ魚が「自分は泳ぎが得意だ!」と認識しないのと同じです。あなたの「当たり前」の中にこそ、他者にはない、そしてあなたが最も輝ける「宝物」が隠されているのです。

過去の役割が未来の「勝ち筋」を示す

過去の成功体験を振り返ることで、あなたは無意識のうちに演じてきた「役割」に気づきます。

  • 「問題を解決する人」
  • 「みんなをまとめる人」
  • 「アイディアを出す人」
  • 「みんなの心に寄り添う人」

これらの役割こそ、あなたが最も自然に、そして心地よく演じられる「人生の舞台」です。この過去の役割が、未来の「勝ち筋」を教えてくれる道しるべとなります。

3. 強みを「人生の役割」に昇華させる

自分の強みを知ることは、旅の始まりにすぎません。本当に大切なのは、その強みをどう活かし、人生の「役割」として確立していくかです。

役割を言語化する「言葉の力」

あなたの「強み」を具体的な「役割」にまで昇華させましょう。

例えば、強みが「分析力」だとしても、それが「データを深く読み解き、隠れた機会を見つけ出す戦略家」という役割になった瞬間、あなたの行動は大きく変わります。役割を言葉にすることで、それは単なる能力から、未来を創造するための「アイデンティティ」に変わります。

ドラッカーの「貢献」とTAの「自我状態」の融合

あなたの強みと自我状態は、人生の役割を創る上で車の両輪のようなものです。

例えば、あなたの強みが「指導力」だとします。

  • 親(P)の自我状態: 厳格にルールを教え込む指導者
  • 大人(A)の自我状態: データと論理に基づき、最適な戦略を教える指導者
  • 子ども(C)の自我状態: 自由な発想で、楽しさを通して教える指導者

あなたは、どの自我状態を使って「貢献」したいでしょうか? この問いに答えることで、あなたが最も心地よく、そして最高の成果を出せる「人生の役割」が見えてきます。

4. 人生は、強みを活かす「役割」の積み重ね

人生の「勝ち筋」は、一度きりの大きな成功ではありません。それは、あなたが自分の強みを活かし、誰かのために「貢献」する役割を、一つひとつ積み重ねていく旅なのです。

「完璧な自分」を目指す必要はない

ドラッカーは、私たちに「完璧な人間」になることを求めませんでした。彼は、「人が完璧になるのは不可能だ」という事実を受け入れ、その上で「強み」に焦点を当てることの重要性を説きました。私たちは、自分の弱みを無理に克服しようとせず、自分の得意なことで勝負すればいいのです。これは、私たちに与えられた最大の福音です。

推薦図書:マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則』(ピーター・ドラッカー)

強みは「動詞」で語られる

あなたの強みを、名詞ではなく「動詞」で考えてみてください。

「リーダーシップ」ではなく、「人々を巻き込み、目標達成へと導く」

「分析力」ではなく、「複雑な状況を整理し、解決策を見つけ出す」

動詞で考えることで、あなたの強みは、具体的な行動となり、新しい人生の脚本に書き込まれるのです。

人生は「役割」という旅

人生は、一つの役割で終わるものではありません。私たちは、キャリアの段階や人生のステージに合わせて、様々な役割を演じていきます。大切なのは、それぞれの役割で、あなたの「宝物」である強みを最大限に活かすことです。そうすることで、あなたは、いついかなる時も、あなたらしく、物心両面で豊かな人生を歩むことができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、ドラッカーとTAの知見を組み合わせ、自分の「強み」を活かす「人生の役割」を見つける方法についてお話ししました。

自分の強みは、努力して身につけるものではなく、すでにあなたの心の中に眠っている「宝物」です。その宝物を探し出し、あなたの人生という舞台で、最高の役割を演じることが、あなたが最も輝く「勝ち筋」となります。

次回の第4回では、いよいよ理想の人生脚本を書き換えるための「言葉の力」について解説します。コミュニケーションスキルを磨き、未来を力強く語る方法をお伝えしますので、どうぞお楽しみに。

お読みいただきありがとうございました。皆さんのキャリアと組織の成長にお役に立てれば幸いです。

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