善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

「いいチーム」って、結局どんなチーム?組織開発のプロが語る、成果を生むチームの真の定義

皆さん、こんにちは!坂本です。

さて、突然ですが、皆さんの会社や部署には「いいチーム」ってありますか?

「ある!」と即答できる方もいれば、「うーん…どうだろう」と首を傾げる方もいらっしゃるかもしれませんね。

私たちを取り巻く環境は、本当に目まぐるしく変化しています。IT技術の進化、グローバル化、働き方の多様化…まさにVUCA(ブーカ)時代」と呼ばれる、予測不能で不安定、複雑で曖昧な時代です。(※VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉で、現代社会やビジネス環境の特性を表す際に使われます。)

こんな時代だからこそ、個人の能力だけでは乗り越えられない壁がたくさん出てきます。だからこそ、今、組織にとって何よりも求められているのが、「いいチーム」の存在なのです。

でも、「いいチーム」って、一体どんなチームのことを指すのでしょう?単に「仲が良いチーム」でしょうか?それとも「目標を達成すればそれでいい」というチームでしょうか?

今回の連載では、3週間にわたって「いいチーム」とは何かを徹底的に深掘りしていきます。そして、この初回記事では、まず「いいチーム」の真の定義と、なぜ今その存在がこれほどまでに重要なのか、その本質に迫っていきたいと思います。

「いいチーム」とは何か?~目指すべき理想のチーム像~

「いいチーム」と聞いて、皆さんはどんな光景を思い浮かべますか?

ある人は、カフェで楽しそうにランチをしている同僚たちを思い浮かべるかもしれません。またある人は、夜遅くまで残業して、黙々と作業するメンバーの姿を想像するかもしれません。どちらもチームの日常の一コマですが、果たしてそれが「いいチーム」と言い切れるでしょうか?

私が考える「いいチーム」の真の定義、それはズバリ、

「組織の目標達成に貢献しながら、メンバー一人ひとりが主体性を発揮し、共に成長し、活き活きと働くことができる、相互作用に満ちた集団」です。

なんだか、ちょっと長くて難しそうに聞こえましたか?もう少し砕いてご説明しましょう。

「成果」と「人」の両輪が回るチーム

「いいチーム」は、決して「仲良しクラブ」ではありません。もちろん、チーム内の人間関係が良いことは非常に大切ですが、それだけでは「いいチーム」とは言えません。なぜなら、会社は成果を出すために存在し、チームもその一部だからです。

かといって、ただ成果だけを追求し、メンバーが疲弊していくチームも「いいチーム」とは言えませんよね。短期的には成果が出たとしても、長期的にはメンバーのモチベーションが低下したり、離職者が増えたりして、結局は組織全体のパフォーマンスを損ねてしまうでしょう。

つまり、「いいチーム」とは、「成果」と「人」という二つの要素が、まるで車の両輪のようにバランス良く機能している状態を指すのです。

「成果」を出すとは?~単なる目標達成を超えて~

「成果を出す」というと、売上目標達成やプロジェクトの成功といった、目に見える数字をイメージするかもしれません。もちろんそれらは重要です。しかし、それだけではありません。

いいチームが追求する成果には、以下のような側面も含まれます。

  • 顧客価値の創造: ドラッカーが言うように、事業の目的は「顧客の創造」にあります。「いいチーム」は、常に顧客のニーズを深く理解し、その期待を超える価値を生み出すことに情熱を注ぎます。単に指示されたものを作るだけでなく、「どうすればもっと顧客に喜んでもらえるか?」をメンバー全員で考え抜くのです。
  • 継続的な改善と革新: 常に現状に満足せず、より良い方法はないか、新しいサービスは生み出せないかと、チーム全体で改善と革新を追求します。これによって、変化の激しい時代でも組織が持続的に成長する土台が作られます。
  • 効率性と生産性の向上: 無駄をなくし、限られたリソースで最大限の成果を出すための工夫を凝らします。これは、個人の努力だけでなく、チーム全体での情報共有やプロセスの見直しによって実現されます。

「人」が活き活きと働くとは?~成長と幸福感の循環~

一方、「人が活き活きと働く」という側面も非常に重要です。これは、単に「残業が少ない」とか「給料が高い」といった表面的なことだけを指すのではありません。

いいチームでメンバーが活き活きと働く状態とは、具体的には次のようだと考えられます。

  • 主体性の発揮とオーナーシップ: メンバーが「やらされている」のではなく、「自分ごと」として業務に取り組み、自ら考え、行動します。自分の仕事に責任と誇りを持つ状態です。
  • 成長実感と自己実現: 新しいスキルを習得したり、困難な課題を乗り越えたりする中で、自身の成長を実感できる環境があります。自分の強みを活かし、チームに貢献することで、自己実現の喜びを感じられます。
  • 心理的安全性と信頼: チーム内で安心して意見を言えたり、失敗を恐れずに挑戦できたりする環境が整っています。メンバー同士が互いを信頼し、助け合える関係性が基盤にあります。これは、まさに次回以降の記事で深掘りするテーマですね。
  • 適度な挑戦と承認: メンバーが少し背伸びをすれば届くような、適度な挑戦が与えられ、その努力や成果が適切に承認されることで、モチベーションが維持・向上します。
  • ワーク・ライフ・バランス: 仕事と私生活の調和が取れていることも、長期的に活き活きと働くためには不可欠です。チームとして、効率的な働き方を追求し、過度な負担がかからないように配慮する文化があります。

この「成果」と「人」の両輪がスムーズに回っているチームこそが、私が考える「いいチーム」の理想像なのです。

なぜ今、「いいチーム」がこれほど重要なのか?

さて、ここまでの話で「いいチーム」の姿が少しイメージできたでしょうか。では、なぜ今、私たち組織にとって「いいチーム」の存在が、これほどまでに重要なのでしょうか?その理由をいくつか見ていきましょう。

理由1:複雑化する課題への対応力

現代のビジネス課題は、一人の天才や、一部の専門家だけで解決できるほど単純ではありません。市場の変化は速く、顧客のニーズは多様化し、競合は常に新しい手を打ってきます。

例えば、新しいデジタルサービスを開発する際を考えてみましょう。エンジニア、デザイナー、マーケター、営業、カスタマーサポート…様々な専門性を持った人々が、それぞれの知識やスキルを持ち寄り、密接に連携しなければ、質の高いサービスは生み出せません。

こんな時、「いいチーム」であれば、メンバーそれぞれが持つ異なる視点や専門知識をオープンに共有し、建設的な議論を通じて、複雑な問題を多角的に分析し、最適な解決策を導き出すことができます。まるで、様々なピースが組み合わさって初めて完成する、巨大なパズルのようですね。

理由2:イノベーションの創出

皆さんの会社で、画期的な新商品やサービスが生まれた瞬間を思い出してみてください。それは、きっと一人のひらめきだけでなく、多くの人々の意見交換や試行錯誤の末に生まれたものではないでしょうか。

「いいチーム」は、メンバーが安心して自由に発言できる心理的安全性があるため、多様なアイデアが生まれやすい土壌があります。たとえ突拍子もないアイデアであっても、「馬鹿にするな!」と一蹴されることはなく、「面白いね、それ!」と受け止められ、さらに発展させるための議論が活発に行われます。

さらに、失敗を恐れない文化があるため、新しい挑戦や実験が奨励されます。イノベーションは、成功の影に多くの失敗があるものです。「こうすれば失敗するのか!」という学びをチーム全体で共有し、次の挑戦へと活かすことができるのです。

これは、まさに「セレンディピティ」(思いがけない幸運な発見)が起こりやすい環境だと言えるでしょう。

理由3:従業員エンゲージメントの向上と定着

「エンゲージメント」という言葉を聞いたことがありますか?これは、社員が会社や組織の目標達成に貢献しようとする意欲や、組織への愛着を示す概念です。エンゲージメントが高い社員は、仕事に対して情熱を持ち、積極的に行動し、困難な状況でも粘り強く取り組む傾向があります。

「いいチーム」は、メンバーが自分の仕事に意味や価値を見出し、貢献感を味わえる場所です。また、尊敬し合える仲間がいることは、仕事の満足度を大きく高めます。

「私はこのチームの一員だ」「このチームで働くことが楽しい」そう思える環境は、従業員のエンゲージメントを自然と高め、結果として離職率の低下にも繋がります。優秀な人材が定着し、長く活躍してくれることは、組織にとって何よりの財産ですよね。

理由4:変化への適応力とレジリエンス

VUCA時代において、変化は避けられないものです。予期せぬトラブルや市場の急変、新たな競合の出現など、次々と課題が押し寄せます。

そんな時、「いいチーム」は、変化を恐れず、むしろそれを成長の機会と捉えます。メンバー同士で迅速に情報を共有し、柔軟に役割を調整し、協力して新しい戦略を立てることができます。

さらに、困難な状況に直面した際の「レジリエンス」(回復力・しなやかさ)も非常に高いのが特徴です。誰かが挫けそうになっても、他のメンバーがサポートし、励まし合うことで、チーム全体で困難を乗り越えることができます。まるで、一本の木では折れてしまいそうな強風も、何本もの木が手を取り合う「森」であれば耐えられる、そんなイメージです。

いいチームを創ることは、組織の未来を創ること

ここまで、「いいチーム」の定義とその重要性についてお話ししてきました。

「いいチーム」は単に心地よい場所であるだけでなく、組織の持続的な成長と発展のエンジンとなることがご理解いただけたかと思います。

現代の経営環境では、優秀な個人をいくら集めても、それが「いいチーム」として機能しなければ、その力を最大限に発揮することはできません。むしろ、個人能力の総和以上のシナジーを生み出す「いいチーム」をどれだけ多く創れるかが、企業の競争力を左右すると言っても過言ではないでしょう。

私たちの役割と、これからの旅路

「でも、どうしたらそんな『いいチーム』を創れるんだろう?」

そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。ご安心ください。まさに、その具体的な方法論こそが、この連載で皆様にお伝えしていきたいことです。

次回からは、第1週のテーマである「リーダーとメンバーの関係性、心理的安全性、信頼の構築」に焦点を当てて、より深く掘り下げていきます。

  • リーダーシップは、支配から「支援」へとどうシフトすべきか?
  • メンバーが「やらされ感」なく、主体的に動くには?
  • どうすれば、チーム内で本音を語り合える「心理的安全性」を築けるのか?
  • 真の信頼関係は、どのように育まれるのか?

これらの疑問に対し、私の長年のコンサルティング経験や、キャリアコンサルタントとしての実践知、そして最新の組織開発の理論に基づいた具体的なヒントやワークを提供していきます。

一つ一つの記事が、皆さんのチームをより良くするための、具体的な「行動のきっかけ」となれば幸いです。

まとめ:いいチームは「目的」と「人」の幸福を追求する旅

いかがでしたでしょうか?

今回の記事では、私が考える「いいチーム」の定義を、「成果」と「人」の両輪がバランス良く回る状態としてご紹介しました。そして、なぜ今、これほどまでに「いいチーム」が組織にとって重要なのかを、以下の4つの理由から解説しました。

  1. 複雑化する課題への対応力
  2. イノベーションの創出
  3. 従業員エンゲージメントの向上と定着
  4. 変化への適応力とレジリエンス

「いいチーム」を創ることは、決して簡単なことではありません。それは、まるで奥深い森を探索するような、時に困難も伴う旅路かもしれません。しかし、その先に待っているのは、組織の確かな成長と、そこで働く一人ひとりの幸福です。

この旅は、決して孤独なものではありません。PROGRESS Labが、皆さんの「いいチーム」創りの羅針盤となり、共にその旅を歩む伴走者となれることを心から願っています。

さあ、私たちと一緒に、未来を拓く「いいチーム」を創りに行きましょう!次回の記事もどうぞお楽しみに!

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