善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

「このまま今の会社で働き続けて、10年後も自分は納得していられるだろうか?」

こんな問いを、一度でも頭に浮かべたことのある方は少なくないはずです。

特に入社3~5年目のタイミングで、ふと我に返るように立ち止まる瞬間があります。

安定している会社。やさしい上司。そこそこの給与。

しかし、何か物足りない――。

そんな感覚を抱いたときこそ、「キャリアの主導権を誰が持っているのか?」を見直す良いタイミングです。

今回は全6回の連載で、「自立する働き方とは何か?」を深掘りしていきます。

初日の今日は、自分のキャリアを“会社任せ”にしないという姿勢がなぜ必要なのか、その背景と考え方を解説します。

◆ キャリアを“預けている”人たちの共通点

企業で人材育成やキャリア支援に関わっていると、「会社が何とかしてくれる」と考えている人が一定数いることに気づきます。

たとえばこんな声です:

• 「異動は上が決めることだから、自分は流れに任せるしかない」

• 「何年か働けば、自然とキャリアパスが見えるはず」

• 「自分で考えてもしょうがない。会社が必要としている方向に合わせるのが一番安全」

一見、謙虚にも思えるこれらの言葉。

しかし、実際にはキャリアを「外部任せ」にしている状態であり、自分の人生のかじ取りを放棄しているとも言えます。

◆ なぜ“自立”が必要なのか?社会の構造が変わったから

かつての日本社会では、「会社に入れば定年まで面倒を見てもらえる」ことが前提でした。

だからこそ、個人が明確なキャリアビジョンを持っていなくても、

年功序列や終身雇用という制度のなかで、徐々にステップアップできたのです。

しかし、今やその前提は大きく崩れました。

転職は当たり前、副業も合法化され、希望退職や早期退職の対象になる年齢も早まっています。

つまり今の時代、会社はあなたの将来を保証してくれません。

それは決して悪意ではなく、構造の問題です。

だからこそ、キャリアの主導権を自分で持つ「自立」が求められるのです。

◆ キャリア自立=“ひとりで何でもやる”ことではない

ここで誤解してほしくないのは、キャリアの自立とは「ひとりで完璧に仕事をこなす」ことではない、という点です。

組織で働く以上、他者との協働や役割分担は当然あります。

それでも、「自分が今の仕事にどんな意味を見出しているか」「どこに向かいたいのか」を、

“自分の言葉”で語れることが、自立したキャリアの出発点です。

キャリアコンサルティングの現場でも、

• 「この仕事が本当にやりたいことか分からない」

• 「今の働き方に疑問があるけれど、辞める勇気はない」

• 「いつか独立したいけれど、何から始めたらいいか…」

という声は後を絶ちません。

つまり、「キャリアの悩み」は、会社が何をしてくれるかよりも、自分が何を選びたいのかという内面の問題なのです。

◆ キャリアの主導権を“自分”に取り戻す3つの問い

では、自分のキャリアを自分の手に取り戻すには、何から始めればよいのでしょうか?

まずは以下のような「自問」からスタートすることをおすすめします:

① 今の仕事に、どんな意味を感じているか?

→ たとえば、「誰かを助けている」「将来のスキルにつながっている」など、自分なりの“意義”を明確にする。

② 5年後、10年後にどうなっていたいか?

→ 昇進・転職・起業・地域貢献…方向性がぼんやりでも、想像するだけで視野が広がります。

③ 今の延長線上で、それが実現できそうか?

→ ギャップを感じたら、それが行動を始めるサインです。

この3つの問いは、「今の自分のキャリアを外から俯瞰する」ための入り口です。

すぐに答えが出なくても構いません。考え続けることが、既に“自立”の第一歩なのです。

◆ 自立したキャリアの起点は、「選ぶ力」

自立したキャリアとは、会社を辞めることでも、独立起業することでもありません。

自分の人生を「選ぶ意志」を持って、日々の仕事に向き合うこと。

それが、環境に振り回されずに生きる力になります。

たとえ今の仕事が100%理想に合っていなくても、自分で選んだと感じられることが、納得感やモチベーションの源になるのです。

◆ 次回予告

2日目は、「自立する働き方を支える“3つの力”」をテーマにお届けします。

思考のクセを見つめ直し、行動に移すための視点を心理学的に解説します。

▶ あなたのキャリアに、主導権を。

仕事は人生の大切な一部。

「誰かに決められる」から「自分で選ぶ」へ。

次回も、働き方の未来を一緒に考えていきましょう。

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