善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

新任マネジャーとして、チーム文化を意図的に築こうと決意したあなたへ。

チーム文化は、思いや理念だけでは生まれません。「具体的な行動」によって、日々積み重ねられ、やがてチームの血肉となっていきます。

では、どのような行動を日常に取り入れれば、善く働くチームを育てられるのでしょうか?

今回は、国家資格キャリアコンサルタント・組織開発コンサルタントの立場から、すぐに実践できる3つのアクションをご紹介します。

この記事を読み終えたとき、あなたの手元には、明日から使える「文化づくりの武器」がそろっているはずです。

1章:行動が文化をつくる──あるマネジャーの失敗と気づき

かつて私が支援したC社では、若手リーダーが新たに10名チームのマネジャーとなりました。

彼は熱意にあふれ、ビジョンも高らかに掲げましたが、なかなかチームに変化が現れませんでした。

原因は、「言葉だけで行動が伴っていなかった」ことにありました。

どれほど素晴らしい理想を語っても、日々の行動がそれを裏切っていれば、チームはついてきません。

文化とは、リーダーの「行動の積み重ね」によって形づくられるものなのです。

だからこそ、具体的なアクションに落とし込むことが何より大切なのです。

2章:アクション① 「小さな成功を称える文化」をつくる

まず最初に取り組みたいのは、「小さな成功を見つけ、称える」ことです。

善く働くチームは、成果だけでなく、努力や成長プロセスも価値あるものとして扱います。

これは、心理的安全性とモチベーションを同時に高める強力なアプローチです。

たとえば、

• 「この間の提案、とてもよかったよ」

• 「あのトラブル対応、迅速だったね」

• 「新人へのサポート、ありがとう!」

といった声かけを、できるだけ具体的に・素早く行うことがポイントです。

成功体験を称賛することで、チーム内に「挑戦を歓迎する空気」が生まれます。

3章:アクション② 「フィードバックを日常化する」

次に重要なのは、フィードバックを当たり前の文化にすることです。

フィードバックは、成長と信頼関係を深めるための「栄養」です。

にもかかわらず、多くの現場では「フィードバックは評価面談のときだけ」という状態になっています。

善く働くチームでは、

• ポジティブフィードバック(良い点を強化する)

• コンストラクティブフィードバック(改善を促す)

の両方が、日常の中で自然に交わされています。

ここでのポイントは、

「すぐに、具体的に、感情を交えずに伝える」こと。

たとえば、

• 「あの資料、要点が絞られていてわかりやすかった」

• 「次回はもう少し背景情報も加えるとさらに良くなるね」

のように、具体例を添えて伝えることで、相手も受け取りやすくなります。

4章:アクション③ 「対話の場」を意図的につくる

三つ目のアクションは、定期的に「対話の場」を意図して設けることです。

善く働くチームでは、メンバー同士が自然に対話を重ねていますが、

その自然さも最初はリーダーの意図と工夫から生まれます。

【具体的な対話の場づくりステップ】

① 場の目的を明確にする

まず、集まる目的を明確にします。

例えば、

• 「業務の進め方について振り返る」

• 「最近の小さな成功を共有する」

• 「課題を出し合って一緒に考える」

など、目的に応じてテーマを設定しましょう。

② 時間と頻度を決める

最初は短時間・高頻度がおすすめです。

例えば「月1回30分」「週1回10分のミニ対話タイム」など、

「話すのが当たり前」になるリズムを作ります。

③ 安全なルールを設定する

安心して意見を言えるように、ルールを共有しておきましょう。

例えば、

• 否定しない

• 最後まで聴く

• 違う意見を歓迎する

といった、シンプルなルールを冒頭で伝えます。

④ 問いかけを工夫する

自由な対話が生まれやすい問いを用意します。

例えば、

• 「今、どんなことを感じていますか?」

• 「チームとしてもっと良くなるためにできることは?」

• 「最近うれしかったこと、感謝したいことは?」

など、答えに正解がないオープンクエスチョンを使うと効果的です。

⑤ マネジャー自身が率先して開く

マネジャーが率先して自分の感想や意見を開示することで、場の安心感が高まります。

特に最初は、リーダー自身が「失敗談」や「迷っていること」を話すと、メンバーも心を開きやすくなります。

このように、意図的に・具体的に場を設計することで、

単なる「会議」とは違う、信頼と共感を育む対話の場を作ることができます。

対話を重ねるたびに、メンバー同士の理解と絆が深まり、

やがてチーム全体が「対話を通じて成長する文化」へと変わっていくのです。

5章:小さな行動が大きな文化を育てる

これら3つのアクション──

• 小さな成功を称える

• フィードバックを日常化する

• 対話の場を意図的につくる

これらは、どれもシンプルで地味に見えるかもしれません。

しかし、毎日積み重ねることで、確実にチームの空気が変わります。

そして、半年、1年と経ったとき、

あなたのチームは、確かな信頼と挑戦心に満ちた「善く働くチーム」へと成長していることでしょう。

📚おすすめの一冊

『1兆ドルコーチ――シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え』

(著:エリック・シュミット 他)

チーム文化を育てるうえで欠かせない「日々の行動」に焦点を当てた一冊として、この本をおすすめします。

GoogleやAppleを支えた伝説のビジネスコーチ、ビル・キャンベル氏の教えは、

人とチームを動かすうえで、最も本質的な「行動」と「対話」の大切さを教えてくれます。

特に、フィードバックの与え方や、チームへの信頼の寄せ方など、

新任マネジャーにとって今すぐ役立つ実践的なヒントが満載です。

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