善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

【4つの役割を越境せよ】「貢献の戦略」でチームを自走させる6日間
 Day 4:マネジメント:管理ではなく「心理的安全性」という土壌づくり

こんにちは、坂本です。皆さんのキャリアと組織の成長を応援しています。

Day 2でリーダーシップ機能(L機能)を「環境デザイナー」として、Day 3でフォロワーシップ機能(F機能)を「建設的な異論者」として捉え直しました。今日はいよいよ、このL機能とF機能がスムーズに連携するための「土壌」を耕す役割、マネジメント機能(M機能)に焦点を当てます。

M機能の役割は、「失敗を恐れずに挑戦できる文化を醸成する」ことです。つまり、「心理的安全性」という目に見えない土壌を耕し、メンバー全員の貢献の種を育てる「農家」のような存在なのです。今日の記事で、あなたのM機能を「管理」から「環境整備」へとシフトさせましょう!

M機能の古い定義がチームにもたらす弊害

M機能が「管理」に偏ってしまうと、チームの創造性や自律性が失われ、結果としてメンバーのF機能(建設的な異論)やSM機能(セルフマネジメント)が委縮してしまいます。

管理型M機能が奪う「挑戦権」

管理型のM機能は、すべてを予測し、完璧な計画と手順をメンバーに要求します。過度になると、メンバーから「挑戦する権利」を奪い、メンバーは「失敗したら怒られる」というプレッシャーから、最も安全で、最も変化のない行動を選び始めます。M機能の仕事は、人が自ら動きたくなるような環境を作ることです。

心理的安全性という「目に見えない土壌」の価値

M機能の最重要タスク、それが「心理的安全性」の確立です。心理的安全性とは、「チームの中で、自分の考えや懸念を、対人関係上のリスクを恐れることなく発言できる状態」を指します。この土壌がなければ、F機能(建設的な異論)は決して機能しません。M機能は、メンバーが安心して「失敗」という肥料を使える環境を作るのです。

M機能は「管理者の孤独と期待値」を理解させる機能

M機能のもう一つの重要な役割は、メンバーに「管理者の立場」を理解させることです。メンバーにM機能の視点を持たせ、「このタスクの遅延が、マネージャーの背負うリスクにどう影響するか」を理解させることで、メンバーは「自分ごと」として責任(SM機能)を負いやすくなります。これが「役割の越境」による貢献です。

「管理者の孤独」を越境視点で乗り越える

管理職の方々は、意思決定の責任から孤独を感じることが多いものです。M機能のあなたは、積極的にF機能(メンバーの現場視点)やL機能(経営層のビジョン)を求め、自分の決定の裏付けとして活用しましょう。孤独を感じるときこそ、自分の役割の壁を越え、他者の視点という「貢献」に頼ることが、マネージャーとしての最良のセルフマネジメントとなります。

心理的安全性を高めるM機能の「環境整備」

M機能が「心理的安全性」という土壌を耕すために、具体的に何をすべきでしょうか。それは、メンバーの「期待値」を明確にし、彼らが安心して挑戦できるプロセスと文化を設計することです。

失敗を「プロセス」に帰属させる文化

M機能は、失敗が発生した際、決して「個人」を責めてはいけません。失敗を「知識の獲得プロセス」に帰属させましょう。「誰が失敗したか」ではなく、「次に同じことが起こらないためには、プロセスやルールをどう改善すべきか?」という問いに集中することで、失敗の報告は「処罰」ではなく「チームの成長への貢献」へと意味が変わります。

明確な「期待値設定」が不安を取り除く

不安の多くは、「何を期待されているか分からない」ことから生まれます。M機能は、メンバー一人ひとりに対し、仕事の結果(アウトプット)だけでなく、その行動(プロセス)や成長についても明確な「期待値」を設定すべきです。期待値理論が示すように、人は「努力が報われる」と信じられるときに、最も高いモチベーションを発揮します。

【H3】「質問を推奨する」ルールを導入する

M機能は、「質問は知性の証である」という文化を意図的に作りましょう。会議の冒頭や、プロジェクトの開始時、「この場で最も馬鹿げていると思われる質問を歓迎します」というフレーズをM機能の責任で発言するのです。これは、質問することへの心理的なハードルを劇的に下げます。

L機能のビジョンを「実行可能なプロセス」に翻訳する

L機能(リーダー)が掲げる壮大なビジョンを、現場のメンバーにとっては遠く、抽象的に聞こえないよう、M機能は「いつまでに」「誰が」「何を」行うかという具体的で実行可能なプロセスに翻訳する役割を担います。L機能が「Why」を語り、M機能が「How」と「When」を語る。

F機能の異論を「組織知」に昇華させる

F機能(フォロワー)から上がってきた建設的な異論や失敗の報告を、単なる「情報」で終わらせてはいけません。M機能は、その異論を分析し、「失敗から得られた教訓」という組織の知恵(組織知)として、将来のメンバーやプロセスに組み込む役割を担います。

6日間でコミットメントを生む「心理的安全性診断」ワーク

最後に、今日の学びを実践に変えるための、あなたのチームの「土壌」を測るワークです。M機能として、このワークを積極的に実行することで、チームの貢献度を高めることができます。

チームの「心理的安全性」を匿名で評価する

【チームワーク】

チーム内のメンバー間で、「心理的安全性」が今、何点か匿名で評価し合ってください。(10点満点)

この際、最も低い点数の理由を、「個人の問題」ではなく、「チームのルールや慣習」に焦点を当てて分析し、改善策を話し合いましょう。

メンバーの「期待値」を再確認する問い

M機能のあなたが、明日から実行すべき「ナッジ」です。

メンバー一人ひとりに、「このプロジェクトで、私(マネージャー)に最も期待していることは何ですか?」と質問してみましょう。ここで得られた答えが、「メンバーの貢献意欲を高めるために、あなたが今すぐ整えるべき環境」です。

今日のコミットメント:M機能として「失敗報告のルール」を変える

あなたが今日からM機能を発揮するために、チームの「失敗報告」に関するルールを一つだけ変更することをコミットしましょう。

例:「失敗を報告した際、最初に問いかけるのは『原因』ではなく、『失敗から得られた学び』に限定する」。

Day 5への橋渡し:セルフマネジメントの重要性

L・F・Mというチームへの貢献機能を発揮するためには、土台となる**セルフマネジメント機能(SM機能)**が不可欠です。明日、Day 5では、「成果を『自動化』する非合理な自分との対話」をテーマに、行動経済学と交流分析を駆使したSM機能の極意を学びます。

M機能は「農家」の視点を持つ

M機能は、種を植えるL機能、実を守るF機能、そして土壌を耕すM機能、という「農家」の視点を持ちましょう。成果はコントロールするものではなく、育て、見守るものです。

まとめ:M機能は、チームの「可能性」を育てる機能です

マネジメント機能は、メンバーを支配する機能ではなく、彼らの貢献の可能性を最大化する「環境整備」の機能です。心理的安全性という土壌を耕し、失敗を「学び」に変える文化を作ることで、チームは自律的に成長し、目標達成に向けて力強く自走を始めます。

あなたのM機能が「管理」から「土壌づくり」へとシフトしたとき、あなたはチームの可能性を無限に広げる真の育成者となります。あなたの献身的な貢献が、チームの未来を形作ります!

お読みいただきありがとうございました。皆さんのキャリアと組織の成長にお役に立てれば幸いです。

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