人間力を高める:貢献が自分を成長させる
人間力を高める:他者への貢献が自分を成長させる
こんにちは、坂本です。皆さんのキャリアと組織の成長を応援しています。
前回の記事では、「善くはたらく」ために不可欠な「仕事力」をどう磨くべきか、3つの視点からお話ししました。専門性を深め、異なる分野を繋ぎ、AIを使いこなす。これらは、現代のビジネスパーソンにとって、欠かせないスキルです。
しかし、どれほど高い仕事力を持っていても、それだけでは不十分です。一流のプロフェッショナルと呼ばれる人たちは、高いスキルを持っているだけでなく、それ以上に「人間力」が高いという共通点があります。
人間力とは、仕事を通じて他者と円滑な関係を築き、より良い社会を創り出すための力です。そして、この人間力を磨くことこそが、仕事の成果を最大化し、あなた自身の人生を豊かにする最も重要な鍵となります。
この第3回では、「仕事力」と並行して磨くべき「人間力」の重要性を掘り下げ、「他者への貢献」がどのようにしてあなた自身の成長に繋がるのか、具体的な3つの要素からお伝えしていきます。
1:「人間力」が仕事の成果を最大化する理由
「人間力」は目に見えないため、その重要性が軽視されがちです。しかし、どれほど優れたスキルや知識を持っていても、人間力が伴わなければ、その力を最大限に発揮することはできません。この章では、人間力があなたの仕事に与える絶大な影響について解説します。
信頼の獲得:人間力は最高の営業ツール
ビジネスにおいて最も重要な資産は「信頼」です。どんなに素晴らしい製品やサービスも、それを提供する人への信頼がなければ、顧客に選ばれることはありません。そして、この信頼は、あなたの人間力によって築かれます。
ある有名なIT企業のセールスマネージャーは、高い営業成績を誇っていましたが、彼は決して強引な売り込みはしませんでした。彼は、お客様が抱える課題を深く理解するために、仕事の話だけでなく、趣味や家族のことまで丁寧に耳を傾けました。その結果、お客様は彼を「単なる営業担当者」ではなく、「心から信頼できるパートナー」として見てくれるようになり、彼の提案を快く受け入れるようになったそうです。
このエピソードが示すように、人間力とは、相手の立場に立ち、心を通わせる力です。この力があれば、あなたは顧客だけでなく、チームメンバーや上司、ひいては社会全体からの信頼を獲得することができます。そして、信頼という土台の上にこそ、持続的な成果が生まれるのです。
人間力はチームの「空気」をつくる
個人の仕事力が高くても、チーム全体の人間力が低ければ、組織は機能しません。チームメンバーが互いに信頼し、協力し合うためには、一人ひとりが高い人間力を持つことが不可欠です。
例えば、私が組織開発の研修で出会った、ある企業の開発チームは、メンバー個々の技術力は非常に高いにもかかわらず、プロジェクトがなかなか前に進まないという課題を抱えていました。その原因は、メンバー同士のコミュニケーション不足と、お互いへのリスペクトの欠如でした。
そこで私は、「相手の意見を最後まで聞く」「感謝の気持ちを言葉にする」といった、人間力を高めるためのワークショップを実施しました。すると、最初は戸惑っていたメンバーたちも、次第に心を開き、お互いの強みや弱みを共有するようになりました。結果、チーム全体の雰囲気が劇的に改善し、以前は考えられなかったような革新的なアイデアが生まれるようになったのです。
人間力は、チームを円滑に動かす「潤滑油」であり、チーム全体を活性化させる「空気」のようなものです。この空気が良ければ、個々の仕事力は相乗効果を生み出し、組織のパフォーマンスは飛躍的に向上します。
2:人間力を構成する3つの要素:「貢献の心」を育む
では、具体的に「人間力」はどのようにすれば高められるのでしょうか。私が考える人間力は、以下の3つの要素から成り立っています。そして、これらはいずれも「他者への貢献」という心のあり方から育まれます。
要素1:「共感力」:相手の感情に寄り添う力
共感力とは、相手の立場に立って物事を考え、その感情や状況を理解しようとする力です。これは、お客様の潜在的なニーズをくみ取ったり、チームメンバーの悩みに気づいたりする上で、最も重要な能力です。
私が尊敬するある経営者は、「お客様の声は聞くものではなく、感じ取るものだ」と語っていました。彼は、製品に対する直接的な意見だけでなく、お客様がどんな生活を送っていて、どんなことに困っているのか、といった背景まで想像する習慣を持っていました。この深い共感力のおかげで、彼は市場のニーズを一歩先読みし、他社にはない画期的なサービスを生み出すことができたのです。
共感力を高めるためには、日々の仕事の中で、意識的に「この人は今、どう感じているだろう?」と問いかけてみましょう。相手の言葉だけでなく、表情や声のトーン、しぐさなど、非言語的な情報にも注意を払うことで、あなたの共感力は磨かれていきます。

要素2:「倫理観」:正しい行いを追求する力
倫理観とは、善悪を判断し、公正かつ誠実に行動する力です。これは、短期的な利益よりも、長期的な信頼関係を重視する上で不可欠な要素です。
SNSの普及により、個人の行動がすぐに拡散される現代において、一人の不誠実な行動が、会社全体の信頼を失わせることも珍しくありません。逆に、高い倫理観に基づいた行動は、社会からの評価を高め、新しいビジネスチャンスを生み出すこともあります。
ある企業の経営者は、会社の利益を損なうことになっても、顧客に不利益な情報を正直に伝えることを徹底していました。彼は「目の前のお客様を裏切る行為は、会社の未来を裏切ることだ」と語っていました。この誠実な姿勢が顧客の心を動かし、その企業は一時的に売上を落としながらも、最終的には強固なファンベースを築き、V字回復を遂げたのです。
高い倫理観は、あなたの行動を支える羅針盤です。「この行動は、誰かを楽にしているか?」と常に自問自答することで、あなたはより正しい選択をすることができるようになります。
要素3:「感謝の心」:貢献の連鎖を生み出す力
人間力を高める上で最も大切な要素の一つが、感謝の心です。あなたの仕事は、決して一人で成り立っているわけではありません。上司の指導、同僚のサポート、顧客からのフィードバック、そして家族の支え…。数えきれないほどの「他者からの貢献」によって、あなたは仕事をすることができています。
この「貢献の連鎖」に気づき、感謝の気持ちを表現することで、あなたの周りには、より多くの協力を得られるポジティブなサイクルが生まれます。
私が以前関わった、ある企業のプロジェクトマネージャーは、プロジェクトの成功後、メンバー一人ひとりに手書きの感謝の手紙を送っていました。手紙には、「〇〇さんのあの時の助言がなければ、このプロジェクトは成功しませんでした」といった、具体的なエピソードが書かれていました。これを受け取ったメンバーたちは、大きな喜びと達成感を感じ、次のプロジェクトでも彼を支えたいと強く思ったそうです。
「ありがとう」という一言は、単なる社交辞令ではありません。それは、相手の貢献を認め、尊重する、人間力を示す最高の言葉です。
3:貢献が自己成長に繋がる「成長の循環」
「他者への貢献」と「自己成長」は、一見、相反するように見えるかもしれません。しかし、実はこの二つは密接に結びついています。この章では、他者への貢献がどのようにしてあなた自身の成長に繋がるのか、そのメカニズムについてお話しします。
貢献は「成長課題」を教えてくれる
「善くはたらく」ことを意識し、他者に貢献しようと努める中で、あなたは自分の「成長課題」を自然と見つけることができます。
例えば、「もっとお客様の期待に応えたい」と思うからこそ、新しい知識やスキルを学ぶ必要性に気づきます。「チームの役に立ちたい」と思うからこそ、コミュニケーション能力の不足を自覚し、改善しようと努力します。このように、貢献への意欲が、あなたの成長への道筋を明確にしてくれるのです。
「内発的動機」が学びを加速させる
「貢献」を通じて得られる喜びや満足感は、あなたを内側から突き動かす「内発的動機」となります。内発的動機とは、「好きだからやる」「楽しいからやる」といった、報酬や評価とは関係のない、純粋な好奇心や喜びから生まれるモチベーションのことです。
「お客様を楽にしたい」という強い思いがあれば、あなたは誰に言われなくても、自ら進んで学び、行動するようになります。この内発的動機こそが、仕事におけるパフォーマンスを向上させ、継続的な成長を可能にする最も強力なエンジンとなります。
貢献は「人生の目的」を創り出す
仕事を通じて他者に貢献することは、あなたに「人生の目的」を与えてくれます。自分の仕事が、誰かの役に立ち、社会をより良くしているという実感は、あなたの存在意義を肯定し、深い充足感をもたらしてくれます。
心理学の世界では、「人は、他者や社会に貢献することで、最も深い幸福を感じる」ということが言われています。お金や名声だけを追い求めても、心の底からの充足感は得られません。しかし、貢献という視点を持つことで、あなたの仕事は「お金を稼ぐ手段」から「人生の目的を果たす場」へと変わります。
まとめ:仕事力と人間力の両輪で人生を豊かに
「善くはたらく」という旅は、仕事力と人間力という二つの羅針盤が必要です。
人間力は、あなたのキャリアを照らす光
仕事力は、あなたのスキルや知識を磨き、キャリアを前進させる力です。一方、人間力は、あなたの行動を正しい方向へと導き、周囲からの信頼と協力を引き出し、あなたの人生を豊かにする光です。この両輪をバランス良く磨くことで、あなたはどんな時代でも輝き続けることができます。
貢献の先に、真の成長がある
あなたの成長は、誰かを楽にし、幸せにすることから始まります。そして、その貢献の先に、あなたが本当に求めていた自己成長と自己実現が待っています。今日から、目の前の人に対して、ほんの少しでも「自分にできる貢献」を探してみてください。
お読みいただきありがとうございました。皆さんのキャリアと組織の成長にお役に立てれば幸いです。








