善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

私たちは無意識に「AかBか」で考えている

「白か黒か」「正しいか間違っているか」「成功か失敗か」—— 私たちは日常の中で、物事をこのように二項対立のフレームで考えがちです。これは、脳が複雑な情報を単純化し、素早く判断するための仕組みですが、時に誤った結論を生む原因にもなります。

例えば、ビジネスの場面で「このプロジェクトは成功か失敗か」と決めつけると、部分的に成果があった場合でも「失敗だ」と判断してしまうことがあります。しかし、実際には成功と失敗の間にはグレーゾーンが存在し、そこにこそ学びや成長の機会があるのです。

哲学者たちは、こうした二項対立の枠組みを超えた考え方を「非二元論」と呼びます。ブラッド・スタルバーグの著書『Master of Change 変わりつづける人』では、「これかあれか」ではなく、「これでもあり、あれでもある」という視点を持つことで、人生における変化に適応しやすくなると説かれています。

本記事では、非二元論の考え方とそのメリットを解説し、仕事や日常生活で実践するための5つのスキルを詳しく紹介します。

非二元論とは?二項対立に陥る心理的メカニズム

非二元論とは何か?

非二元論とは、「AかBか」ではなく、「AもBも」と考える思考法のことです。

例えば、リーダーシップにおいて「強いリーダーか、優しいリーダーか」と二択で考えるのではなく、「強さと優しさを兼ね備えたリーダーシップがある」と捉えるのが非二元論的な視点です。

なぜ人は二元論に陥るのか?

人間の脳は、情報を単純化し、素早く判断するために二項対立の枠組みを利用します。これは生存戦略として必要な機能ですが、現代社会の複雑な問題には適していない場合も多いのです。

例えば、「この人は味方か敵か」と即座に判断することで、危険を避けることができるのは本能的な防衛機能ですが、実際には人間関係はもっと複雑です。「考え方が違うけれど尊重できる相手」もいるはずです。

仕事や生活に活かせる「非二元論的思考」を鍛える5つのスキル

スキル1:グレーゾーンを受け入れる

私たちは無意識のうちに「正しい or 間違い」「成功 or 失敗」といった二項対立のフレームで物事を判断しがちです。しかし、現実世界はそれほど単純ではありません。多くの問題には、明確な答えがない場合が多く、「どちらが正しいか」ではなく、「どちらにも一理ある」という視点が求められます。

たとえば、ビジネスの意思決定において、「今すぐ拡大戦略をとるべきか、それとも慎重に進めるべきか」といった対立する考えがある場合、どちらか一方に決めつけるのではなく、状況に応じたバランスを考えることが重要です。

スキル2:反対意見を内面化する

意見が対立したとき、私たちはつい「自分が正しく、相手が間違っている」と考えがちです。しかし、非二元論的な思考を身につけるためには、「相手の立場に立って考える」ことが不可欠です。

実際に、心理学の研究でも、異なる意見を受け入れることで脳の認知能力が向上し、創造的な問題解決能力が高まることが示されています。たとえば、会議で異なる立場の意見が出たとき、それを否定するのではなく、「なぜその意見が生まれたのか?」を探ることが重要です。

スキル3:矛盾を許容し、バランスを取る

矛盾する要素を同時に受け入れることが、柔軟な思考の鍵となります。例えば、「変化に適応すること」と「安定性を保つこと」は一見すると矛盾していますが、実際には両者をバランスよく組み合わせることが成功の鍵となります。

心理学者のダニエル・カーネマンによると、人間は二重思考(両極端な考えを同時に保持する能力)を持つことで、より創造的な発想が可能になるとされています。

スキル4:二項対立を疑問視する

「本当にAかBしかないのか?」と自問する習慣をつけることで、より多様な解決策を見出すことができます。例えば、「この仕事を続けるか辞めるか」ではなく、「この仕事を続けながら新しいスキルを学ぶ」という選択肢も考えられます。

スキル5:長期的な視点を持つ

短期的な結果にこだわりすぎると、「成功か失敗か」の二元論に陥りやすくなります。長期的な視点を持つことで、一時的な失敗も「成長の過程」として捉えることができるようになります。

例えば、キャリア形成においても、「この会社で出世するか、転職するか」ではなく、「今の会社で学びながら、将来的な選択肢を広げる」といった柔軟な思考が求められます。

まとめ|柔軟な思考で変化に適応しよう

私たちは無意識のうちに「AかBか」という二項対立の思考に陥りがちですが、実際の世界はもっと複雑で、グレーゾーンが存在します。「AかBか」ではなく、「AもBも」という視点を持つことで、思考の柔軟性が向上し、人生の選択肢が広がります。非二元論的な考え方を取り入れることで、対立を減らし、変化に適応しやすくなります。ビジネスでもプライベートでも、この考え方を意識しながら、より豊かな人生を築いていきましょう。

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