善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

新たにマネジャーとなった皆さんにとって、最も大切な最初の仕事は、チームとの「信頼関係の構築」です。

組織開発の現場でも、成果を出すチームは例外なく、メンバー同士が信頼で結ばれています。

しかし、信頼は簡単に生まれるものではありません。ましてや、上司と部下という関係性のなかでは、意識的に「場」をつくる努力が欠かせません。

そこでカギになるのが、「オープンな対話」です。

対話を通じてこそ、互いの理解が深まり、信頼が育まれ、チームが本当の意味で一つにまとまります。

今回は、人材育成コンサルタント・組織開発の専門家、そして国家資格キャリアコンサルタントとしての実践経験から、

「新任マネジャーが最初に取り組むべき対話づくり」について、ストーリーを交えながら具体的にご紹介していきます。

1章:「信頼のないチーム」が抱える3つのリスク

私が以前担当した企業の例です。

新任マネジャーBさんが率いるチームは、表面上は穏やかに見えました。しかし、いざプロジェクトが動き出すと、

・進捗報告が滞る

・問題が発覚しても隠される

・意見が出ず、会議が沈黙する

といった課題が次々に噴出しました。

その原因は、「信頼関係の欠如」にありました。

信頼がないチームでは、

• ミスを隠す

• 意見を遠慮する

• 表面的なコミュニケーションしかしない

という行動が蔓延し、結果的に生産性もイノベーションも低下します。

信頼は、チームの血流です。血が巡らない組織は、いずれ力を失ってしまいます。

2章:「オープンな対話」が信頼のスタートライン

信頼関係を築くためには、まずマネジャー自身が心を開く必要があります。

オープンな対話とは、単に雑談を増やすことではありません。

「本音で語れる関係性をつくること」がゴールです。

ここで重要なのは、

• 正解を求めない

• 相手の意見を否定しない

• 自分の弱さや迷いもシェアする

というスタンスです。

マネジャーが「完璧な上司」を演じようとすればするほど、部下は本音を言いづらくなります。

「自分も間違うかもしれない。だから一緒に考えたい」という姿勢を見せることこそ、信頼構築への近道です。

3章:オープンな対話を生む「3つの工夫」

それでは、具体的にどのようにオープンな対話を生み出せばいいのでしょうか?

ここでは、実際に私がコンサルティングや研修で提案している3つの工夫をご紹介します。

① 1on1ミーティングを定例化する

1対1の時間を、定期的に必ず設けましょう。

特に新任マネジャーの場合、最初の3ヶ月間は「週1回30分」など、こまめに設定するのがおすすめです。

この場では、業務進捗だけでなく、

• 最近感じていること

• 不安やモヤモヤ

• 小さな成功体験

など、本人の内面にフォーカスして聴くことがポイントです。

② 自己開示を恐れない

マネジャー自身が、

• 自分が悩んだ経験

• 失敗から学んだこと

• 不安や期待していること

を素直に語ることで、相手も心を開きやすくなります。

「自分も完璧ではない。でも一緒に成長したい」

というメッセージを、態度と言葉で伝えていきましょう。

③ 質問の質を高める

「最近どう?」だけでは本音は引き出せません。

具体的な質問を工夫することが重要です。

たとえば、

• 「最近、嬉しかったことは?」

• 「今、仕事で一番チャレンジだと感じていることは?」

• 「サポートが必要だと感じる場面はある?」

オープンクエスチョン(自由回答型)で聴くことで、相手の考えや感情を自然に引き出すことができます。

4章:「心理的安全性」がチーム文化を変える

ここでキーワードとなるのが、「心理的安全性」です。

ハーバード・ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が提唱したこの概念は、

「チームの中で、リスクを取っても安心できる状態」

を意味します。

心理的安全性が高いチームでは、

• ミスや疑問を素直に言える

• 新しい提案が歓迎される

• 異なる意見を尊重し合える

といった文化が育まれます。

オープンな対話を積み重ねることで、チームに心理的安全性が根付き、

結果として、成果を出し続ける強い組織へと進化していきます。

5章:信頼構築には「小さな一歩」の積み重ねが必要

最後に、大切なことをお伝えします。

信頼は一度に築けるものではありません。

毎日の小さな対話、何気ないフィードバック、感謝の言葉、共に悩む姿勢――

これらを一歩一歩、丁寧に積み重ねることによって、初めて本物の信頼が育っていきます。

そして、信頼関係ができたチームは、困難な状況でも粘り強く、創造的に乗り越える力を持つようになります。

マネジャーとして、焦らず、でも諦めず。

今日、まずひとつ、部下に問いかける勇気から始めてみましょう。

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『チームが機能するとはどういうことか──「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』

(著:エイミー・C・エドモンドソン)

信頼構築とオープンな対話の重要性をさらに深く理解するためにおすすめしたいのが、この一冊です。

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