善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

時務学 実践力シリーズ |第3回

「言いたいことがあるのに、うまく言葉にできない」

「プレゼンや報告の場で、自分の意図が伝わっていない気がする」

「上司やクライアントの反応が、どこか曖昧…」

こんな経験、ありませんか?

実は、これらのモヤモヤの多くは、“伝え方の技術”を知らないことが原因です。

内容そのものが悪いわけではなく、「伝える力」が足りていないために損をしているケースは、ビジネスの現場に数えきれないほど存在します。

本記事では、時務学の実践スキルとしての「伝える力」=プレゼン力・文章力を取り上げ、

すぐに使える“型”と、地道に磨く方法をご紹介します。

プレゼンも資料作成もメールも、「伝わる」ことで仕事が変わります。

なぜ、ビジネスに「伝える力」が不可欠なのか?

あらゆる仕事には、「人に伝える場面」が存在します。

• 上司への報告

• 顧客への提案

• 会議での説明

• チームメンバーへの共有

• 企画書・報告書・メール・チャット

どんなに優れたアイデアや実績も、適切に伝わらなければ“ない”のと同じです。

そして現代は、文字・音声・映像など多様な情報が飛び交う中で、“明快で伝わる表現”がますます価値を持つ時代になっています。

伝える力=3つの技術の掛け合わせ

「伝える力」は才能ではなく、磨ける“技術”です。

以下の3つを意識することで、誰でも着実にレベルアップできます。

① 論理の構成力(ロジカルに整理する)

相手に伝えるには、「順番」と「筋道」が命です。

どんな内容でも、次のような構成の型を使うだけでグッと分かりやすくなります。

📌 PREP法:

• P(Point)=結論

• R(Reason)=理由

• E(Example)=具体例・データ

• P(Point)=もう一度結論で締める

✏️ 例:「私はこの企画に賛成です。なぜなら…〇〇という理由があり、過去の実績でも□□の成果が出ています。したがって、推進すべきと考えます。」

② 言葉の選び方(わかりやすく、具体的に)

抽象的・長すぎる・専門用語だらけの文章は、理解を妨げます。

伝える相手に合わせて、シンプルで、噛み砕かれた表現を選びましょう。

❌ 悪い例:

「本プロジェクトはシナジーを高め、イノベーションを促進する意義がございます。」

✅ 良い例:

「このプロジェクトは、お互いの強みを活かして、新しいアイデアを生み出せるチャンスです。」

③ 表現の工夫(図・箇条書き・抑揚)

文章やスライドだけで伝えるのが難しいときは、視覚的な整理や話し方の工夫が有効です。

• 資料では「図解」「マトリクス」「箇条書き」を活用

• 話すときは「声のトーン・間の取り方・視線」で印象が変わる

• 大事な言葉は繰り返して強調する

実践!伝える力を磨く3つのトレーニング法【深掘り版】

① 「60秒スピーチ」を習慣にする

目的:情報の“圧縮力”と“構成力”を鍛える

▶ やり方

• テーマを1つ決める(例:今日の気づき・会議のまとめ・学んだこと)

• PREP法に従って、30秒で構成をメモ

• スマホで録音しながら60秒で話す

• 聞き返して「伝わったか?」「間延びしていないか?」をチェック

✏️ 構成例:

「私は朝読書をおすすめします。理由は、1日の集中力が高まるからです。実際に朝15分読書を始めてから仕事の効率が上がりました。だからこそ、忙しい人ほど試してみる価値があると思います。」

▶ 継続のコツ:

• 毎日同じ時間帯に実施(朝、昼休み、退勤後など)

• 成長を感じたい人は、1週間後に録音を聞き返してみてください

• 職場の朝礼などで、実際に披露できる機会を設けてみましょう

② 「1スライド1メッセージ」で資料を作る

目的:視覚的に情報を整理する力と“話しやすさ”を高める

▶ やり方

• まず「誰に、何を伝えるか」を明確にする

• スライドごとに“伝える主メッセージ”をひとつに絞る

• 情報は文章でなく「図・マトリクス・表」で見せる

📝 Before(悪い例):

1枚に情報を詰め込みすぎて、何を伝えたいのか分からない。

✅ After(改善例):

• スライド1:プロジェクトの目的

• スライド2:進捗状況

• スライド3:現在の課題と対応策

→ ストーリーが整理され、話す人も聞く人も迷わなくなります。

▶ 実践のポイント

• 作成後、「この1枚で何が伝わる?」と自問

• プレゼン前に“スライドを見ずに説明できるか”を確認

• 同僚に「この資料、分かりやすい?」とレビューを依頼してみましょう

③ 書いた文章を「声に出して読む」

目的:文章の“ねじれ・曖昧さ・くどさ”を“自分の耳”で見つける

▶ やり方

• 書いたメール・報告書・提案書を声に出して読む

• 引っかかった箇所にマークを付けて、言い直してみる

• 読み終えたら「どこが聞きづらかったか」をチェックして修正

❗ 音読で気づくポイント:

• 一文が長すぎて息が続かない

• 論理が飛躍していて意味が通らない

• 曖昧な表現がある(例:「しっかり」「適切に」など)

✏️ 改善例:

「丁寧に対応しました」→「3営業日以内に返信し、必要事項を網羅する文面を作成しました」

▶ 習慣化のコツ:

• プレゼン資料やスピーチ原稿も「音読前提」で書く

• 他者に読んでもらって“伝わるか”を確認するのも◎

• 日常のチャットやメールでも「読んで確認→修正」のループを回しましょう

独学で磨くためのおすすめ書籍

📘 『伝える力』(池上彰 著)

シンプルで、わかりやすい表現の極意。対人コミュニケーションの土台に。

📘 『考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント 著)

ピラミッド構造で論理を整理し、説得力を高めるライティング技法の決定版。

📘 『1分で話せ』(伊藤羊一 著)

短く、相手に刺さるプレゼン・話し方を鍛える実践的メソッドが学べます。

まとめ:「伝える力」は“磨くことで人を動かす力”になる

伝える力とは、あなたの思考や想いを、相手の行動につなげる力です。

• 上司との信頼関係を築く

• 顧客の納得と共感を得る

• チームの足並みを揃える

これらすべては、“伝え方”ひとつで変わります。

難しいスキルのように感じるかもしれませんが、

話す・書く・構成するという行動を日々少しずつ意識すれば、着実に変化は起こせます。

あなたの一言が、誰かの行動を変える日が、すぐそこにあるかもしれません。

小さな実践から、伝える力を育てていきましょう。

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