「時務学」とは何か?ビジネスパーソンの“実務力”を高める学びの極意
前日の記事では、「人間学」について、人としての“徳性”を養う学びの重要性をお伝えしました。
連載2日目となる本日は、もう一つの柱である「時務学(じむがく)」について掘り下げていきます。
「時務学」は、一言でいえば、社会や時代に即して“今”必要とされる知識や技能を身につけるための学問です。
つまり、ビジネスの現場で成果を生み出す“実務力”や“応用力”を高めていくための学びです。
現代はVUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代といわれています。
これまでの「正解」が通用しなくなる中、知識を“活かす力”こそが真の競争力となる時代。
そこで問われるのは、「学んだことを、実際に役立てているか?」という問いです。
本記事では、今の時代における「時務学」の意義と、ビジネスパーソンが独学で取り組める方法、具体的な教材や書籍の紹介を通して、“使える知”を自ら育てる方法をお伝えします。
「時務学」とは?東洋思想に見る“知行一致”の学び
「時務学」という言葉は、儒教の教えの中でも比較的実践的な側面を指す用語として知られています。
『論語』では「学びて時に之を習う。亦た説ばしからずや」という言葉が登場しますが、ここでいう「時に習う」は、“時を得て学び、すぐに行動に移す”ことを意味しています。
つまり、「実際の世の中に即して動けるようにするための学び」=時務学です。
陽明学でも有名な「知行合一(ちこうごういつ)」は、まさにこの精神を体現しています。
知識や理念をただ知っているだけでは意味がなく、それが“行動として表れているか”が問われるのです。
ビジネスパーソンにとっての「時務学」とは?
ビジネスの現場では、毎日が実践の連続です。
知識や理論だけでは成果につながりません。
では、ビジネスパーソンが「時務学」を実践するとき、どのような学びが必要になるのでしょうか?
それは、次のような領域が該当します:
• 問題解決力(ロジカルシンキング・クリティカルシンキング)
• 業務改善・仕組み化の力
• チームマネジメント・リーダーシップ
• プレゼンテーションや文章作成などの伝達力
• ファイナンスやマーケティングなどのビジネス基礎知識
これらはすべて、“日々の仕事の中で“今すぐ使える力”です。
つまり、「時務学=実践知を鍛える道」と捉えることで、日常の成長に直結する学びへとつながっていきます。
「独学」で時務学を深める3つのポイント
忙しい社会人にとって、仕事の合間にまとまった時間を取ることは難しいものです。
しかし、「時務学」は座学よりも“日々の業務に重ねながら学ぶ”ことでこそ、効果が発揮されます。
ここでは、独学でもしっかり実践できる3つの取り組み方をご紹介します。
1. 「フレームワーク」を使って思考の型を身につける
ロジカルシンキングやマーケティングのフレームワークを学ぶことで、“考える力”に型を与えることができます。
たとえば、
• 【PDCA】で業務改善をまわす
• 【SWOT分析】で企画を整理する
• 【3C分析】【5フォース分析】で市場環境を読む
• 【PREP法】で伝え方を整える
これらのフレームワークは、書籍や動画教材で独学が可能です。
一度型を身につければ、どんな場面でも応用がきく“知の道具”になります。
おすすめ書籍:
• 『ロジカル・シンキング』(照屋華子・岡田恵子 著)
• 『入門 考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント)
• 『経営戦略全史』(三谷宏治 著)
2. 「問い直し」を習慣にする
時務学では、単に知識を詰め込むよりも、“問いを立てる力”の方が重要です。
たとえば、日々の業務の中で、
• 「なぜこれをやっているのか?」
• 「もっとよいやり方はあるか?」
• 「本当に求められている価値は何か?」
と自問自答することを習慣にするだけで、学びの質が飛躍的に高まります。
この姿勢は、マネジメント層だけでなく、若手ビジネスパーソンにも必須の思考習慣です。
おすすめ書籍:
• 『イシューからはじめよ』(安宅和人 著)
• 『ゼロ秒思考』(赤羽雄二 著)
3. 学んだことを「アウトプット」する
学びの定着には、“インプット:アウトプット=3:7”が理想といわれています。
日報や週報、上司への提案書、社内勉強会など、「誰かに伝える」「文字にして整理する」ことで、知識が“使える知”へと変わっていきます。
特に、プレゼン資料をつくる・業務改善案をまとめてみるといった実践は、時務学として非常に有効です。
おすすめ習慣:
• 社内報への寄稿やナレッジ共有を行う
• 月に1回、自分の「仕事の振り返りレポート」を作る
• スライド1枚で「学んだこと」をまとめる
時務学は、キャリアの“選ばれる力”を育てる
変化の速い時代において、企業が求める人材像も変わってきています。
資格や学歴よりも、「現場で課題を解決し、価値を生み出せる力」が重視されるようになりました。
時務学は、その「選ばれる力」の土台です。
• 自分の考えを整理し、伝える力
• 状況を俯瞰し、変化に対応する柔軟性
• チームや組織に貢献する提案力・行動力
こうした力を育むことは、目先の業務成果にとどまらず、中長期のキャリア開発にも直結します。
まとめ:時務学は“自分の可能性を形にする”実践知である
本記事では、「成人の学」のもう一つの柱である「時務学」について、その意義と実践方法をお伝えしてきました。
• 時務学は“実践知”を磨く学びである
• 今ここで使える知識とスキルを、自ら育てることができる
• 独学でも「考える→問い直す→使ってみる」を循環させることで力になる
知識が役立たないのではありません。活かし方を知らなければ、それは知識ではなく“情報”のままなのです。
あなたが日々取り組む仕事の中には、たくさんの学びと成長のタネが埋まっています。
それを見つけ、育て、成果に変える力こそが、まさに時務学の実践です。
“学びを成果に変える力”を、今この瞬間から育てていきましょう。
それが、あなたのキャリアと人生を切り拓く、大きな武器となるはずです。








