善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

「指示待ち」はもう終わり!中小企業の「やらされ感」をなくし、主体的な貢献でチームを強くする秘訣

皆さん、こんにちは!坂本です。

前回は、これからの時代に求められるリーダーシップが「支配型」から「支援型」へとシフトする重要性についてお話ししました。「リーダーが変われば、チームも変わる」という期待を持っていただけたでしょうか?

しかし、どんなに素晴らしいリーダーがいても、チームが最高のパフォーマンスを発揮するためには、もう一つ欠かせない要素があります。それは、メンバー一人ひとりの「メンバーシップ」です。

中小企業の経営者やリーダーの皆さん、そして現場で働く皆さんも、こんな風に感じたことはありませんか?

  • 「もっと積極的に意見を出してほしいのに…」
  • 「言われたことはやるけど、それ以上の行動がない」
  • 「『これは自分の仕事じゃない』と思っている人がいる気がする…」

もしそうなら、それはメンバーが「やらされ感」で仕事をしているサインかもしれません。残念ながら、「やらされ感」で動くチームが、変化の激しい現代で成果を出し続けるのは至難の業です。

では、どうすればメンバーの「やらされ感」をなくし、彼らが「自分ごと」として仕事に取り組み、主体的にチームに貢献してくれるようになるのでしょうか?

今回は、この「主体的なメンバーシップ」の重要性と、それを中小企業の現場で育むための具体的な方法について、私の経験と共にお伝えしていきますね。

「メンバーシップ」って何だろう?~チームの一員としての「覚悟」~

「メンバーシップ」と聞くと、漠然と「チームの一員であること」と捉えるかもしれません。しかし、私が考える「いいチーム」におけるメンバーシップとは、単なる所属意識を超えた、より深い意味を持ちます。

それは、ズバリ、

「チームの目標達成のために、自分にできることは何かを自ら考え、行動し、その結果に責任を持つ姿勢」

のことです。

なんだか少し大げさに聞こえるかもしれませんが、これが「いいチーム」を支えるメンバーシップの核となります。

「やらされ感」と「自分ごと」の決定的な違い

「やらされ感」で仕事をするメンバーは、与えられたタスクをこなすことに終始します。言われたことは最低限やるけれど、それ以上はしない。問題が起きても、指示を待つ。まるで「仕事の奴隷」のような状態です。これでは、個人の成長も、チームの成長も望めません。

一方、「自分ごと」として仕事に取り組むメンバーは、自ら課題を見つけ、解決策を考え、周囲を巻き込みながら行動します。彼らは、自分の仕事がチーム全体の目標達成にどう繋がるかを理解し、そこに価値を見出しています。彼らは、まさに「仕事の創造者」と言えるでしょう。

この違いは、個人のパフォーマンスだけでなく、チーム全体の生産性、イノベーション、そして何よりも「チームの幸福度」に大きな影響を与えます。

なぜ「やらされ感」が生まれてしまうのか?

では、なぜ多くの職場で「やらされ感」が生まれてしまうのでしょうか?その原因は、決してメンバー個人の性格や能力だけにあるわけではありません。多くの場合、チームや組織の環境、そしてリーダーシップに起因しています。

  • 過度な指示・マイクロマネジメント: リーダーが細かすぎる指示を出し、メンバーの裁量を奪ってしまうと、「言われたことだけやっていればいい」という思考になりがちです。
  • 失敗を許容しない文化: 新しいことに挑戦して失敗したときに厳しく咎められると、「余計なことはしない方が安全」という心理が働きます。
  • 情報共有の不足: 自分の仕事がチームや会社全体にどう影響するのかが分からないと、モチベーションが湧きにくくなります。
  • 承認・評価の不足: 頑張りや貢献が認められないと、「誰がやっても同じ」と感じ、「やらされ感」に繋がります。

これらの要因が複合的に絡み合い、「やらされ感」というチームの停滞を引き起こしてしまうのです。

主体的なメンバーシップが中小企業を強くする理由

前回の記事で「支援型リーダーシップが中小企業にこそ重要」と述べましたが、その裏返しとして、メンバーの主体的な貢献もまた、中小企業の成長には不可欠なのです。なぜなら、中小企業には以下のような特性があるからです。

理由1:少数精鋭だからこそ、一人ひとりの「主体性」が勝敗を分ける

中小企業は、大企業のような潤沢な人員を抱えているわけではありません。だからこそ、一人ひとりのメンバーが「〇〇さんの代わりに誰か」ではなく、「自分だからこそできること」を見つけ、主体的に動くことが、そのまま企業の競争力に直結します。

例えば、新しい顧客から突然の依頼があったとします。主体的なメンバーシップを持つチームであれば、誰かが「これは自分の担当外だから…」と尻込みするのではなく、「どうすればこの顧客の期待に応えられるだろう?」と、部署や役割の垣根を越えて、自ら行動を起こします。

この小さな一歩一歩が、顧客満足度を高め、次のビジネスチャンスを生み出す源となるのです。

理由2:変化への対応力とスピードを最大化するため

市場環境の変化が激しい現代において、中小企業が生き残るためには、迅速な意思決定と行動が求められます。リーダー一人で全てを判断していては、スピードが落ちてしまいます。

主体的なメンバーシップを持つチームでは、現場に近いメンバーが市場の異変や顧客の小さな変化をいち早く察知し、自ら改善提案を行ったり、上司に提言したりできます。これにより、組織全体の変化への適応スピードが格段に向上します。

「うちの会社はフットワークが軽い」と感じる企業は、往々にしてメンバーの主体性が高い傾向にあります。

理由3:人材定着と育成、そして後継者育成にも繋がる

中小企業では、人材の定着と育成が常に大きな課題です。

主体的に仕事に取り組むメンバーは、仕事にやりがいを感じ、自己成長を実感できます。自分の意見が採用されたり、アイデアが形になったりする経験は、彼らの自己効力感を高め、「この会社で働き続けたい」というエンゲージメントに繋がります。

また、主体的に行動できるメンバーは、将来のリーダー候補としても成長していきます。リーダーが細かく指示を出さずとも、自ら考え、チームを引っ張る力を持つ人材が育つことは、中小企業にとって非常に大きな財産であり、事業承継や組織の持続可能性にも直結するのです。

主体的なメンバーシップを育む3つのステップ

では、どうすればメンバーの「やらされ感」をなくし、主体的なメンバーシップを育むことができるのでしょうか?これもまた、リーダーの皆さんが今日から実践できる3つのステップで考えてみましょう。

ステップ1:「目的」と「全体像」を共有する

メンバーが「やらされ感」を感じる大きな理由の一つに、「自分の仕事が何のために、どう役に立っているのかが分からない」ということがあります。彼らは目の前のタスクしか見えていない状態です。

そこでリーダーの皆さんにやっていただきたいのは、

  • 仕事の「目的」を明確に伝えること: 「この資料を作るのは、顧客が〇〇という課題を解決するためだ」
  • チームや会社の「全体像」の中で、その仕事がどう位置づけられるかを説明すること: 「この資料が完成すれば、営業が新しい提案をしやすくなり、結果として〇〇の売上目標達成に貢献できる」

これらを丁寧に伝えることです。

「この仕事は、単なる作業ではない。顧客の笑顔や会社の未来に繋がっているんだ!」ということをメンバーが腹落ちできれば、「自分ごと」として捉える第一歩になります。

ステップ2:「任せる」そして「失敗から学ばせる」

前回のリーダーシップの記事でも触れましたが、主体性を育むためには、適切な「権限委譲」と「失敗の許容」が不可欠です。

中小企業では、「忙しいから、自分でやった方が早い」と、ついリーダーが抱え込みがちです。しかし、それではメンバーはいつまでも成長できません。

  • 小さくてもいいから「任せる」勇気を持つこと。
  • 結果だけでなく、プロセスを重視し、「なぜそう考えたのか?」を問い、一緒に考えること。
  • もし失敗しても、「次にどう活かすか」を共に考える機会とすること。

この「任せる」行為は、メンバーへの「信頼」のメッセージでもあります。「君ならできる」というリーダーの信頼が、メンバーの自己肯定感を高め、次なる挑戦への意欲を引き出します。

ある中小企業の経営者の方が、「昔は全部自分で決めてたけど、社員に任せたら、自分が思いつかないようなアイデアが出てきて驚いたよ。失敗もあったけど、それが一番の学びになってるね」と仰っていました。まさに、成長の好循環です。

ステップ3:「承認」と「貢献の可視化」でモチベーションを高める

メンバーが主体的に行動し、貢献した際には、必ずそれを「承認」し、その「貢献を可視化」してあげましょう。

  • 具体的な承認: 「あの時の〇〇さんの提案が、プロジェクトの大きな転換点になったよ」「〇〇さんの細やかな気配りのおかげで、顧客の満足度が上がったね」など、単なる「ありがとう」だけでなく、何が、どう良かったのかを具体的に伝えます。
  • 貢献の可視化:
    • 週次ミーティングで「今週のMVP」として、主体的な貢献をしたメンバーを紹介する。
    • 社内報や社内SNSで、プロジェクトの成功事例と共に、メンバーの貢献を共有する。
    • (もし可能であれば)顧客からの感謝の言葉を本人に直接伝える機会を作る。

自分の努力や貢献が、チームや顧客にどう役立ったかを実感できることは、メンバーのモチベーションを大きく高めます。「もっと頑張ろう!」「次も何か貢献できないか?」という内発的な動機付けに繋がるのです。

特に中小企業では、経営者やリーダーから直接の承認が得やすい環境でもあります。この強みを最大限に活かして、メンバーの主体性を引き出していきましょう。

まとめ:「いいメンバーシップ」は「いいチーム」のエンジン

いかがでしたでしょうか?

今回の記事では、「主体的なメンバーシップ」が、いかに「いいチーム」を創る上で不可欠な要素であるかをお話ししました。そして、そのメンバーシップを育むための3つのステップを提案しました。

  1. 「目的」と「全体像」を共有する
  2. 「任せる」そして「失敗から学ばせる」
  3. 「承認」と「貢献の可視化」でモチベーションを高める

「うちの会社は小さいから…」と諦める必要は全くありません。むしろ、少人数でアットホームな雰囲気の中小企業だからこそ、これらのステップを実践しやすく、効果も早く表れる可能性を秘めています。

メンバー一人ひとりが「やらされ感」ではなく、「自分ごと」として仕事に取り組み、主体的に貢献してくれるようになったら、チームはきっと想像を超える力を発揮し始めます。それは、まるでエンジンの回転数が上がり、チーム全体が力強く前進していくような感覚です。

この連載を通じて、皆さんのチームがそんなパワフルな「いいチーム」へと変貌を遂げることを心から願っています。

さあ、今日からぜひ、あなたのチームで、メンバーの「主体性」という名のエンジンを温めてみませんか?次回の記事では、「心理的安全性」という、チームのパフォーマンスを飛躍的に高める重要なテーマについて深掘りします。どうぞお楽しみに!

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