善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

新入社員応援連載|第5回

はじめに|同じスタートラインなのに、なぜ差がつくのか?

新年度が始まり、各職場でも新入社員たちが日々奮闘しています。

最初の1~2ヶ月は、多くの人がほぼ横並びでスタートするものの、3ヶ月後、半年後になると明確に“差”が生まれてくることを、皆さんも感じたことがあるのではないでしょうか。

その差の原因は「能力」や「要領」ではなく、

実は「学び方」「情報の取り入れ方」にあることが多いのです。

今回は、“差がつく人が選んでいる学び”の特徴と、誰でもできる「効果的な読書と学びの習慣化」のコツについて、ビジネス心理学や人材育成の知見を交えてお伝えします。

第1章|“学び方”はその人の「働き方」そのもの

「本を読んでいるのに、なかなか変化しない」

「たくさんインプットしているのに、仕事には活かせない」

そんな声を新入社員や若手社員から聞くことがあります。

実はこのような状態は、“学びの選び方”と“受け取り方”が間違っていることが多いのです。

情報過多の時代、ビジネス書・SNS・YouTube・研修・自己啓発…。

学ぶ素材は豊富にあるからこそ、「何を、どのように学ぶか」が問われる時代になりました。

たとえば、先輩社員に差をつける人は、以下のような思考の違いを持っています。

平均的な学び手差がつく学び手
「面白そう」で選ぶ「今の仕事に必要か」で選ぶ
読んで満足読んだ後に実践・記録する
一度読んで終わり同じ本を複数回、目的を変えて読む
インプット偏重アウトプット前提で読む

つまり、“学び”が仕事と接続しているかどうかがカギなのです。

第2章|まずは“何を学ぶか”より“なぜ学ぶか”を明確に

ビジネス書選びに迷う若手は少なくありません。

書店に行けば何百冊もあり、どれが自分に必要なのかがわからなくなってしまいます。

そんな時に重要なのは、“目的”ベースで学びを選ぶことです。

例えば、あなたが今…

• 上司とのコミュニケーションがうまくいかない

• タスクの進め方が効率的でない

• プレゼンや報告に自信がない

という課題を感じているなら、読むべきは「人気ランキング上位の本」ではなく、その課題を解決するための本です。

読書の選び方は、「理想の自分」から逆算して設計するとぐっと有効になります。

つまり、「どんな自分になりたいか」→「そのためにどんな力が必要か」→「それを学べる本や方法は何か」という流れです。

第3章|“同期に差がつく”読書習慣のつくり方

では、実際にどのように読書や学びを習慣化すればよいのでしょうか。

以下に、私が研修や1on1で指導している3つの具体的なステップをご紹介します。

① 毎週“テーマ”を決めて読む

忙しい日々の中で読書を継続するには、「目的」「テーマ」を持つことが効果的です。

たとえば、今週は「報連相の質を高めたい」と決めたら、それに関する1冊を読む。読む前に、「この本から何を学びたいか」をメモしておくだけで、読み方が変わります。

② 読んだら“アウトプット”する

読んだ内容をSNSで紹介したり、ノートに「要点+活用アイデア」をまとめたりすることで、学びが知識からスキルへと転換されます。

さらにおすすめなのは、実際の仕事の中で1つ実践してみること。

たとえば、「伝え方の本」で学んだPREP法を、翌日の朝礼やメールに使ってみる。それだけで吸収率が跳ね上がります。

③ 月1回、“振り返り読書”をする

学びを定着させるには、「何を学んだか」を振り返る時間が不可欠です。

月末などに、「今月読んだ本/実践したこと/成果と課題」を振り返る時間を15分でも取ってみてください。

これは、いわば“内省と成長のサイクル”です。これを回し続ける人が、着実に差をつけていきます。

第4章|何を読めばいいのか? 新人におすすめの読書ジャンル

読書初心者にありがちなのが、内容が難しすぎる専門書や抽象的な成功哲学に手を出して、途中で挫折してしまうことです。

そこで、まず最初におすすめしたいジャンルは以下の3つです。

① ビジネスコミュニケーション(伝え方・報告・共感)

• 例:『伝え方が9割』(佐々木圭一)

• 例:『話し方の一流、二流、三流』(桐生稔)

職場で一番使う“言葉”の質が変わるだけで、印象・信頼は大きく変わります。

② タスク管理・思考整理(段取り力・時間術)

• 例:『ゼロ秒思考』(赤羽雄二)

• 例:『メモの魔力』(前田裕二)

“考えるスピード”と“整理力”を鍛えることで、仕事の処理能力が格段にアップします。

③ 仕事の捉え方・働く意味(マインドセット)

• 例:『入社1年目の教科書』(岩瀬大輔)

• 例:『働く君に贈る25の言葉』(佐々木常夫)

“やらされ感”から抜け出し、前向きな自己成長につながる思考のベースが身につきます。

第5章|読書は“能力の差”ではなく“習慣の差”

ある企業の若手社員育成プロジェクトで、半年間にわたり「読書+実践+月1フィードバック」を導入したところ、継続した社員とそうでない社員の間に、報告・思考・課題解決力に明確な差が見られました。

そして、この違いは「センス」や「地頭の良さ」ではなく、単純に“読む→試す→振り返る”を回しているかどうか**という“習慣の差”だったのです。

まとめ|学びは「自分のため」から「誰かのため」へ

これからの時代、単なる情報収集だけでは差はつきません。

「自分が変わるために学ぶ」から、

「誰かに貢献するために学ぶ」へとシフトすることで、学びの質も行動の質も大きく変わります。

今読んでいるその1冊が、誰かの役に立つ日が来る。

その意識を持つことが、同期と“本当の差”を生む第一歩になるのです。

📚 新入社員におすすめ!必読書3冊

1.『入社1年目の教科書』岩瀬大輔(ダイヤモンド社)

➡ 仕事の基本姿勢、上司との関わり方、報連相のコツまで、“働く”の初歩を一冊で網羅した名著。どの業界でも活かせる「社会人の土台」が学べます。

2.『伝え方が9割』佐々木圭一(ダイヤモンド社)

➡ 上司や同僚、お客様とのコミュニケーションがうまくいく「言い換え」の技術を、誰でも使えるテンプレートで紹介。話すのが苦手な人にこそ読んでほしい一冊。

3.『ゼロ秒思考』赤羽雄二(ダイヤモンド社)

➡ 「考えがまとまらない」「アイデアが出ない」そんな悩みを持つ人に向けて、“1分メモ書き”という最強の思考法を教えてくれる。メモ習慣が思考と行動を変える!

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