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ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

人間関係を育てる力|TA心理学ベースで学ぶ“対人理解と関係構築”スキル入門:第6回

はじめに|自分との関係が、すべての人間関係の土台になる

日々の人間関係に疲れてしまうことはありませんか?

「相手の顔色を気にしすぎてしまう」

「伝えたいことがあるのに、うまく言えない」

「なぜか、いつも同じようなことでイライラしてしまう」

それは、“他人”との関係だけでなく、自分自身との関係が乱れているサインかもしれません。

TA(交流分析)心理学では、良好な対人関係を築くための第一歩は、“自分との関係を整えること”だと考えます。

自分の感情や思考、行動の癖に気づき、整えることが、他者との関わり方に確かな変化をもたらすのです。

今回は、「自分と向き合い、整えていくための習慣」について、実践的な視点から解説していきます。

第1章|そもそも「自分との関係」とは何か?

「自分との関係」と聞くと、少し抽象的に感じるかもしれません。

ここでは、「自分をどう扱っているか」「自分をどう感じ、どう語っているか」という視点で捉えます。

たとえば、あなたはこんなふうに自分を語っていませんか?

• 「どうせ私なんて…」

• 「また失敗してしまった。ほんとダメだな」

• 「こんなことくらい、できて当たり前」

これらの内的な語りかけ=セルフトーク(内的対話)は、あなた自身への“接し方”を示しています。

そしてこの接し方が、実はそのまま、他者との関係に投影されているのです。

つまり、自分との関係は、他人との関係の“雛形”となるということ。

だからこそ、自分への見方、感情の扱い方を見直すことが、コミュニケーションの質を根本から変えていく鍵になります。

第2章|TA心理学に学ぶ「自分との関係性」の捉え方

TA心理学には、「OK-OKの関係性」という有名な概念があります。

これは、対人関係における4つの基本的な立ち位置を示すもので、以下のように分類されます。

自分に対する態度相手に対する態度関係の状態
OKOK健全で対等な関係(理想)
OKNot OK優越感・上から目線
Not OKOK自己否定・依存的関係
Not OKNot OK無力感・あきらめの関係

この中でも、最も健全で望ましいとされるのが、「私はOK、あなたもOK」という立ち位置です。

しかし、これを実現するにはまず、「私はOK(=自分に価値がある)」という感覚を持っていることが前提です。

つまり、自分との関係が整っている人ほど、他者との関係にも寛容で健全な態度を取ることができるというわけです。

第3章|自分との関係を整える3つの習慣

ここからは、具体的に日常で取り入れられる「自分との関係を整える習慣」を3つ紹介します。

習慣①|感情を否定せず、“言葉”にして受け止める

私たちはつい、自分の感情にフタをしてしまいます。

「こんなことでイライラするなんて子どもっぽい」

「落ち込んでも仕方ない。切り替えなきゃ」

「怒りを感じるなんて、未熟な証拠だ」

でも、感情には良い悪いはありません。

感情はあなたの中で起きている“反応”であり、無視すればするほど、関係を乱すエネルギーになってしまいます。

まずは、「いま、自分はこう感じている」と素直にラベリング(言語化)することから始めましょう。

• 「焦っているな」

• 「不安がある」

• 「認められたい気持ちがある」

このように、感情を“正直に見る”ことは、自分との対話を深める第一歩です。

習慣②|「できたこと」「頑張ったこと」を自分で認める

自分との関係が乱れる大きな要因は、自己評価の低さです。

完璧を求めすぎたり、他人と比べてばかりいたりすると、いつしか「自分は不十分だ」という前提が染みついてしまいます。

だからこそ、小さな「できた」を積み重ねて、自己信頼を育てることが大切です。

• メールを期限内に返せた

• 今日も遅刻せずに出社できた

• 苦手な相手に自分から挨拶できた

こうした日常の小さな「自分への拍手」を積み重ねることで、「私はOK」という感覚が育ちます。

習慣③|1日5分、「自分との1on1」の時間をとる

忙しい毎日の中で、自分の気持ちや考えを振り返る時間はなかなか取れません。

でも、1日5分だけでも、「自分とのミニ対話の時間」を習慣にしてみましょう。

• 今日はどんな場面で気持ちが揺れた?

• それは何が引き金だった?

• 本当はどんなふうにしたかった?

• 明日はどうしてみたい?

このように、内省的な問いを通して、自分と向き合う時間を持つことは、自己理解と自己信頼を深める最高の習慣です。

第4章|「自分との関係」が整うと、人間関係は自然に変わり出す

自分との関係が整ってくると、不思議なことが起こります。

他人の言動に過剰に反応しなくなり、自然体で人と向き合えるようになるのです。

たとえば:

• 「嫌われたくないから言えない」が「自分の気持ちも大切にしたい」に変わる

• 「どうせ私は…」が「私も、相手も、OK」という視点に変わる

• 「感情を抑える」が「感情と一緒に前を向く」姿勢になる

これは、人間関係に“余白”が生まれることを意味します。

相手の言動に巻き込まれるのではなく、自分の中心を保ちながら関係性を築くことができるようになるのです。

まとめ|“自分を育てる習慣”が、人間関係の質を変えていく

自分との関係は、人生でもっとも長く続く関係です。

その関係を整え、丁寧に育てていくことが、周囲との人間関係を豊かにする最初の一歩になります。

• 感情を受け止める

• 自分を認める

• 毎日、自分と対話する

これらを少しずつ実践していくことで、「私はOK、あなたもOK」な人間関係の土台が育まれていきます。

あなたがあなた自身と仲良くなることが、人生を変えるいちばん確かな方法です。

今日から始められる“小さな習慣”で、信頼と安心のある人間関係を築いていきましょう。

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