支援型リーダーシップでチームを自律的に動かす
「うちのチーム、指示待ちばかり…」を卒業!支配から「支援」へ、メンバーが自律的に動くリーダーシップの秘密
皆さん、こんにちは!坂本です。前回は「いいチーム」の定義についてお話ししましたが、今回はその「いいチーム」を創る上で、リーダーの皆さんの存在がどれほど重要か、そしてどんなリーダーシップが求められているのかについて深掘りしていきたいと思います。
中小企業の経営者や経営幹部の皆さん、そして現場でチームを率いるリーダーの皆さん、こんなお悩みはありませんか?
- 「指示しないとメンバーが動かない…」
- 「言われたことはやるけど、それ以上の提案がない」
- 「もっと主体的に考えて、行動してほしいんだけどな…」
もし一つでも心当たりがあるなら、それはもしかしたら、皆さんのリーダーシップに「変革のチャンス」が隠されているのかもしれません。
かつてのリーダーシップは、トップダウンで指示を出し、メンバーを「動かす」ことが主流でした。しかし、変化の激しい現代において、この「支配型リーダーシップ」だけでは、チームは停滞し、やがて活力を失ってしまいます。
では、これからの時代に求められるリーダーシップとは、一体どんなものなのでしょうか?
それはズバリ、「支援型リーダーシップ」です。
今回は、この「支援型リーダーシップ」とは何か、なぜ中小企業でこそ重要なのか、そして明日から実践できる具体的な方法まで、私の経験と知識を交えながら、わかりやすくお伝えしていきますね。
「支配型」と「支援型」リーダーシップ、何が違う?
まずは、従来の「支配型」と、これからの「支援型」リーダーシップが、具体的にどう違うのかを見ていきましょう。
| 項目 | 支配型リーダーシップ | 支援型リーダーシップ |
| 役割 | 指示・命令、管理・統制 | メンバーの成長支援、環境整備、能力開発 |
| メンバーとの関わり | 上意下達、一方通行のコミュニケーション | 対話、傾聴、コーチング、双方向のコミュニケーション |
| 意思決定 | リーダーが全て決定 | メンバーの意見を尊重、権限委譲、共に考える |
| 評価基準 | 指示通りに動いたか、結果のみ | プロセス、成長、主体性、貢献度も評価 |
| チームの状態 | 指示待ち、受動的、責任回避、モチベーション低下 | 主体的、自律的、責任感、成長意欲、モチベーション向上 |
| 目標達成へのアプローチ | リーダーが引っ張る | メンバーが自ら考え、行動し、リーダーが後押しする |
いかがでしょうか?この表を見ると、両者の違いが明確に分かりますよね。
支配型リーダーシップは、リーダーが「船長」として全てを決定し、メンバーは「漕ぎ手」として言われた通りにオールを漕ぐイメージです。これは、情報が少なく、変化が緩やかだった時代には有効な面もありました。しかし、現代のように情報が溢れ、変化が激しい海では、船長一人ですべての判断を下すのは非常に困難です。
一方、支援型リーダーシップは、リーダーが「航海士」として、メンバー一人ひとりが持つ「羅針盤」や「地図」を最大限に活かし、彼らが自ら進むべき方向を見つけ、力強くオールを漕げるようにサポートするイメージです。
なぜ今、中小企業で「支援型リーダーシップ」が重要なのか?
「大企業ならともかく、うちみたいな中小企業で、そんな悠長なこと言ってられないよ!」
そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、実は中小企業だからこそ、この「支援型リーダーシップ」が非常に大きな力を発揮するのです。
理由1:限られたリソースで最大限のパフォーマンスを出すため
中小企業は、大企業に比べて人材や資金などのリソースが限られていることがほとんどです。だからこそ、一人ひとりのメンバーが持つ能力を最大限に引き出し、自律的に動いてもらうことが、組織全体のパフォーマンスを向上させる上で不可欠になります。
リーダーが全てを指示し、マイクロマネジメントしていては、リーダー自身がパンクしてしまいますし、メンバーも「言われたことしかやらない」指示待ち人間になってしまいます。これでは、限られたリソースを有効活用しているとは言えませんよね。
支援型リーダーシップは、メンバーが自ら考え、行動するようになるため、リーダーの負担を軽減しつつ、チーム全体の生産性を高めることができるのです。
理由2:変化への迅速な対応とイノベーション創出のため
中小企業は、市場の変化に迅速に対応できるフットワークの軽さが強みです。しかし、リーダーが全てを決定していては、意思決定に時間がかかり、その強みを活かせません。
支援型リーダーシップのもとでは、現場に近いメンバーが自ら課題を発見し、解決策を提案できるようになります。これにより、市場の変化や顧客のニーズに、よりスピーディーに対応し、新しいアイデアやサービスが生まれやすくなります。
例えば、ある中小企業の製造現場で、ベテランの職人さんが「この工程、もっと効率化できるはずだ」と自ら改善提案を行い、それが全社的なコスト削減に繋がった、という話は珍しくありません。彼らは現場の「生きた情報」を持っています。それを引き出すのが、支援型リーダーの役割なのです。
理由3:人材定着とエンゲージメント向上のため
中小企業にとって、優秀な人材の確保と定着は死活問題です。給与や福利厚生で大企業と差をつけるのが難しい場合、「働きがい」や「成長実感」が、メンバーが会社に留まる大きな理由になります。
支援型リーダーシップは、メンバーに裁量を与え、成長の機会を提供します。自分の意見が尊重され、貢献が認められる環境は、メンバーのモチベーションとエンゲージメントを飛躍的に高めます。
「この会社で、自分は成長できる」「自分の仕事が、チームや会社の役に立っている」そう実感できることは、何よりも強いエンゲージメントに繋がります。結果として、離職率が低下し、優秀な人材が長く活躍してくれる、そんな好循環が生まれるのです。
支援型リーダーシップを実践する3つのステップ
では、「支援型リーダーシップ」を、具体的にどう実践していけばいいのでしょうか?
ここでは、明日から皆さんが取り組める3つのステップをご紹介します。
ステップ1:徹底的な「傾聴」と「質問」でメンバーの声を聴く
「支援型リーダー」の第一歩は、メンバーの「声」を徹底的に聴くことです。
「傾聴」とは、ただ黙って聞くことではありません。相手の言葉の裏にある感情や意図、本当に伝えたいことを理解しようと、意識的に耳を傾けることです。
そして、その傾聴とセットで重要なのが「質問」です。
「どうすればいい?」と答えを教えるのではなく、「どうしたい?」「どうすればできると思う?」「そのために必要なことは何?」と、メンバー自身に考えさせる質問を投げかけます。
例えば、メンバーが「この仕事、どう進めたらいいかわかりません」と相談に来たとします。
支配型リーダーなら…
「じゃあ、Aの方法でやってみて。わからなかったらまた聞いて。」
支援型リーダーなら…
「そうか、困っているんだね。まず、何がわからないのか具体的に教えてくれる?」「これまでの経験で、似たようなケースはあったかな?」「もし君がこの状況でリーダーだったら、どう判断する?」
いかがでしょうか?後者の質問は、メンバーに「自分で考える」ことを促していますよね。最初は時間がかかるかもしれませんが、これを繰り返すことで、メンバーは徐々に自律性を高めていきます。

ステップ2:「権限委譲」と「失敗の許容」で挑戦を促す
メンバーが自分で考えられるようになったら、次は「任せる」ことが重要です。
もちろん、丸投げではありません。適切な範囲で権限を委譲し、彼らが自分の頭で考え、行動できる機会を与えます。
そして、ここで最も大切なのが、「失敗を許容する文化」です。
新しいことに挑戦すれば、失敗はつきものです。失敗したときに「だから言っただろう!」と責めるのではなく、「なぜそうなったんだろう?」「次はどうすればいいかな?」と一緒に考え、学びの機会と捉える姿勢が不可欠です。
かの発明王エジソンは、電球の発明までに数えきれないほどの失敗を繰り返したと言われています。「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ」という言葉は有名ですよね。
中小企業では、特に「失敗は許されない」という雰囲気が強い場合があります。しかし、それでは新しい挑戦は生まれず、イノベーションも停滞してしまいます。リーダーが率先して「失敗しても大丈夫。学びがあればOK!」というメッセージを出し続けることで、メンバーは安心して挑戦できるようになります。
ステップ3:「承認」と「フィードバック」で成長を促す
メンバーが自律的に行動し、挑戦した際には、その努力や成果をしっかりと「承認」してあげましょう。
「よくやった!」「君のおかげで助かったよ」「その工夫、素晴らしいね!」といった具体的な言葉で、彼らの貢献を認め、感謝を伝えます。
承認は、メンバーのモチベーションを維持し、次への行動を促すガソリンのようなものです。特に中小企業では、日々の業務に追われ、承認がおろそかになりがちですが、意識的に行うことでチームの士気は大きく変わります。
そして、成長を促すためには、適切な「フィードバック」も欠かせません。
フィードバックは、決して「ダメ出し」ではありません。メンバーの行動を客観的に伝え、改善点やさらなる成長のヒントを与えることです。
フィードバックの際には、以下のポイントを意識しましょう。
- 具体的に伝える: 「もっと頑張れ」ではなく、「〇〇の資料の、この部分をもう少し詳しくすると、もっと分かりやすくなるよ」のように、具体的に何をどうすれば良いかを伝えます。
- タイミングを逃さない: 問題が発生したら、できるだけ早くフィードバックします。
- 相手の成長を願う気持ちで: 相手を責めるのではなく、「もっと良くなってほしい」というポジティブな意図を込めて伝えます。
承認とフィードバックは、メンバーの成長を加速させ、彼らが自信を持って次のステップに進むための強力なサポートとなります。
「支援型リーダー」への変革は、あなた自身の成長のチャンス!
ここまで、「支援型リーダーシップ」の重要性と実践方法についてお話ししてきました。
もしかしたら、「今までとやり方を変えるのは大変そうだな…」と感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。確かに、長年の習慣を変えるのはエネルギーが必要です。
しかし、この「支援型リーダー」への変革は、メンバーを成長させるだけでなく、リーダーである皆さん自身の成長の大きなチャンスでもあります。
メンバーが自律的に動くようになれば、皆さんは日々の細かな指示出しから解放され、より戦略的な業務や、本来リーダーとして注力すべき「未来の設計」に時間を使えるようになります。
また、メンバーの多様な意見やアイデアに触れることで、皆さんの視野も広がり、新たな発見があるかもしれません。そして何より、メンバーが活き活きと成長していく姿を見ることは、リーダーにとって最高の喜びであり、大きなやりがいとなるはずです。



小さな一歩から始めてみませんか?
「よし、明日から支援型リーダーになるぞ!」と意気込むのも素晴らしいですが、まずは小さな一歩から始めてみませんか?
- 今日の会議で、いつもより少しだけ、メンバーの発言に耳を傾けてみる。
- メンバーからの質問に、すぐに答えを出さず、「どう思う?」と問い返してみる。
- 何か一つ、メンバーに「任せてみる」仕事を見つける。
焦る必要はありません。一歩一歩、着実に実践していくことで、皆さんのリーダーシップは確実に進化し、それに伴ってチームも大きく変わっていくはずです。
そして、その変化の先に待っているのは、「指示待ち」が消え、「自律的に考え、行動する」活気あふれる「いいチーム」です。そんなチームは、どんな困難にも立ち向かい、必ずや組織に大きな成果をもたらしてくれるでしょう。
この連載が、皆さんのチームがさらに輝くための、ささやかながらも確かな一助となれば幸いです。
次回は、チームにおけるメンバー一人ひとりの役割と、主体的に仕事に取り組むことの重要性について深掘りしていきます。どうぞお楽しみに!








