【リーダーシップ】組織文化を育む!チームを「善くはたらく」場に変えるリーダーの役割
こんにちは、坂本です。
昨日は、組織文化が、いかに私たちの「働く」の質、そして組織全体の未来を左右する「土壌」であることについてお話ししました。この土壌が肥沃であればあるほど、「人間力」という名の種は力強く芽吹き、「善くはたらく」という豊かな実を結びます。
さて、この望ましい組織文化を育む上で、最も重要な役割を担うのが誰かご存知でしょうか? それは、他でもない、「チームリーダー」です。
リーダーは、単に目標を指示し、進捗を管理する存在ではありません。組織文化という見えない「空気」を形作り、メンバーの行動や意識に最も大きな影響を与える「文化の耕し手」なのです。リーダーの言動一つ一つが、チームの価値観となり、規範となり、やがて組織文化の骨格を形成していきます。
連載2日目となる今日は、「強くて善い組織」を目指す上で、チームリーダーに具体的にどのような役割が求められるのか、そしてその役割を果たすために、どのような行動が効果的なのかを深掘りしていきましょう。
1. リーダーは「文化の醸成者」である ~言葉より行動が文化を作る~
私たちはよく、「うちの会社は〇〇な文化だ」と口にしますが、その文化は誰かが意図的に作ったものばかりではありません。多くの場合、リーダーの無意識の行動や、日々の振る舞いを通じて、少しずつ形作られていきます。
「模範となる」リーダーシップの力
組織文化は、トップダウンで「これが私たちの文化だ!」と宣言するだけでは根付きません。社員は、リーダーが何を言ったかよりも、何をしたか、どのように振る舞ったかを見て、その組織の真の価値観を学び取ります。
例えば、「顧客第一」と掲げるリーダーが、実際には利益を最優先し、顧客の不満に耳を傾けない姿勢を見せれば、チームメンバーも自然と短期的な利益を追求するようになります。逆に、「挑戦を恐れない」と語るリーダーが、自ら率先して新しい試みに挑み、失敗から学ぶ姿勢を示せば、チームにも挑戦を奨励する文化が生まれるでしょう。
経営学者のピーター・ドラッカーは、「文化は戦略を食う(Culture eats strategy for breakfast)」という言葉を残しました。どんなに優れた戦略や計画があっても、それを実行する組織の文化が伴わなければ、その戦略は機能しないという意味です。そして、その文化を最も強く、そして直接的に形成するのが、リーダーの「模範となる行動」なのです。
リーダーの行動は、チームメンバーにとっての「基準」となります。だからこそ、リーダーは自身の言動が組織文化に与える影響を常に意識し、意図的に望ましい文化を醸成する「耕し手」となる必要があります。
「言行一致」が信頼と文化を育む
リーダーが示す行動と、口にする言葉が一致していること。これこそが、メンバーからの信頼を得る上で不可欠な要素です。信頼は、心理的安全性の基盤となり、チームが「善くはたらく」ための土壌を肥沃にします。
もしリーダーが「オープンなコミュニケーションを大切にしよう」と言いながら、実際には部下の意見を聞き入れず、一方的に指示を出すようであれば、メンバーは「本音を言っても無駄だ」と感じ、対話の文化は育ちません。逆に、リーダーが自ら弱みを認め、助けを求める姿を見せれば、メンバーも安心して協力を求められるようになります。
リーダーの言行一致は、チームメンバーの「模範行動の学習」を促し、組織の価値観を浸透させる最も強力な手段となるのです。
2. チームリーダーに求められる具体的な役割 ~「耕し手」としての実践~
では、「文化の耕し手」としてのリーダーは、具体的にどのような役割を担い、どのような行動を実践していくべきなのでしょうか。
目的と価値観を「語り、浸透させる」役割
リーダーは、チームが何のために存在し、何を大切にするのかを明確に「語り」、それがメンバーの心に深く「浸透」するよう努める必要があります。
- ビジョン・ミッションの共有: チームの存在意義や目指すべき未来を、具体的かつ情熱的に語りかけましょう。単なるスローガンではなく、「なぜ、この仕事が重要なのか」「私たちの仕事が社会にどう貢献するのか」といった、「意味」に焦点を当てて伝えることが重要です。
- 共有価値観の明確化と実践: 「私たちは何を大切にするのか」という共通の価値観を明確にし、リーダー自身が率先してそれを体現しましょう。例えば、「顧客への真摯な対応」「データに基づく意思決定」「互いの成長支援」など、具体的な行動に落とし込める価値観が理想です。そして、その価値観に沿った行動を積極的に評価し、そうでない行動には建設的なフィードバックを与えます。
- ストーリーテリングの活用: 組織の価値観や目指す文化を示す際、具体的なエピソードや成功事例をストーリーとして語ることで、メンバーの記憶に残りやすく、共感を呼びやすくなります。「あの時、〇〇さんがこんな行動をとったのは、まさに私たちが大切にする価値観そのものだ」といった語りかけは、文化の浸透に非常に効果的です。
心理的安全性を「醸成する」役割
心理的安全性は、チームが挑戦し、学び、成果を出すための土台となる文化です。リーダーは、この心理的安全性を積極的に作り出す責任があります。
- 「失敗は学び」の姿勢: メンバーの失敗を責めるのではなく、「何が起きたか?」「そこから何を学べるか?」という建設的な問いかけをしましょう。リーダー自身も自分の失敗を率直に共有することで、メンバーは「完璧でなくても大丈夫」と感じ、安心して挑戦できるようになります。
- 傾聴と承認の徹底: メンバーの話を最後まで遮らずに聴き、意見や感情を「受け止める」姿勢を見せましょう。「そう感じているんだね」「よく考えてくれたね」と、共感と承認の言葉をかけることで、メンバーは安心して発言できるようになります。
- 多様な意見の奨励と統合: 異なる意見が出た場合でも、それを否定せず、「そういう考えもあるね」「それぞれの意見の良いところを組み合わせたらどうなるだろう?」と、統合的な視点で議論を促しましょう。少数意見も尊重し、全員が安心して発言できる場を作るのがリーダーの役割です。
- 「私メッセージ」で伝える: 懸念事項や期待を伝える際は、「〇〇してないじゃないか(Youメッセージ)」ではなく、「私は〇〇について懸念している(Iメッセージ)」のように、主語を「私」にして伝えることで、相手は攻撃されていると感じにくく、対話が深まります。
メンバーの「成長を支援する」役割
「善くはたらく」個人が育つには、リーダーがメンバーの成長を心から願い、支援する文化が必要です。
- フィードバック文化の構築: 成果だけでなく、プロセスや努力にも着目し、具体的な行動に対する建設的なフィードバックを定期的に行いましょう。ポジティブなフィードバック(承認)は、ネガティブなフィードバックの何倍も重要です。
- コーチング的な関わり: 指示命令だけでなく、「どうすればできると思う?」「君はどうしたい?」といった問いかけを通じて、メンバー自身に考えさせ、解決策を見つけさせるコーチング的なアプローチを取り入れましょう。これにより、メンバーの自律性と問題解決能力が育まれます。
- 機会の提供: 新しい挑戦や学びの機会を積極的に提供し、メンバーが能力を発揮できる場を広げましょう。失敗を恐れず、権限委譲することも成長支援の一環です。

3. リーダーシップが文化に与える影響のエビデンス
リーダーの言動が組織文化に与える影響については、多くの研究がその重要性を示しています。
例えば、マサチューセッツ工科大学(MIT)のエドガー・シャイン教授は、先述した組織文化の3レベル理論の中で、組織の創始者やリーダーの持つ基本的な仮定や価値観が、組織文化の深い部分を形成すると強調しています。リーダーが無意識に示している行動や、重要視していることが、時間とともに組織の「当たり前」になっていくのです。
また、アミール・アブドゥル・ハミドの研究(2012年)など、多くの組織行動学の研究が、「変革型リーダーシップ(Transformational Leadership)」が組織文化の変革と従業員のエンゲージメントに与える肯定的な影響を実証しています。変革型リーダーシップとは、リーダーがビジョンを共有し、知的な刺激を与え、個々のメンバーの成長を支援することで、メンバーのモチベーションとパフォーマンスを高めるスタイルです。これは、私が提唱する「人間力を育み、善くはたらく組織を創造する」リーダーシップに直結しています。
さらに、前回の記事でも触れたGoogleの「Project Aristotle」は、チームの生産性を高める最も重要な要素が「心理的安全性」であることを明らかにしました。そして、この心理的安全性は、リーダーの行動、特に「メンバーの発言を促す」「共感的に耳を傾ける」「自分の脆弱性を見せる」といった振る舞いによって大きく左右されることが示されています。
これらのエビデンスは、リーダーシップが組織文化の形成と変革において、いかに中心的で不可欠な役割を担っているかを明確に示しています。
4. まとめ:リーダーよ、文化の「耕し手」となれ!
今日の記事では、組織文化の醸成におけるチームリーダーの絶大な影響力と、その具体的な役割についてお話ししました。
リーダーは、単なる職務遂行者ではなく、まさに「文化の耕し手」です。あなたの言葉、そして何よりもあなたの行動一つ一つが、チームの土壌を耕し、「善くはたらく」ための栄養となり、ひいては組織の「ブレない強さ」という太い幹を育てます。
「強くて善い組織」を目指す道は、リーダー自身が、まず「善くはたらく」模範となり、目的を語り、心理的安全性を育み、メンバーの成長を心から支援することから始まります。
明日からは、この文化醸成において、チームメンバー一人ひとりが果たすべき役割について深く掘り下げていきます。リーダーシップとメンバーシップがどのように協調し、組織文化を共創していくのか、その重要性をお伝えしますので、どうぞお楽しみに!








