善くはたらくための考察

単なるビジネススキルではなく、働くことの本質を深考することが、真の組織成長に繋がると考えます。
ここでは、長年の実務経験と、ドラッカー理論、心理学の知見を融合させた考察を定期的に発信しています。

時務学の実践力を鍛える5つの学び|第1回

「考えがまとまらない」

「伝えたいことがあるのに、うまく言語化できない」

「会議でうまく説明できず、納得されなかった」

こうした悩みは、多くのビジネスパーソンが抱える「思考の壁」です。

どれほど経験を積んでも、“頭の中のモヤモヤ”を整理する力=ロジカルシンキング”がなければ、実務の質は一定以上に高まりません。

「論理的に考える」とは、曖昧な情報や複雑な課題を“筋道立てて整理し、結論まで導く”思考のスキルです。これは一部のコンサルタントやエリートだけが使う特別な力ではなく、あらゆる仕事において汎用的に使える“実務の型”です。

本記事では、実務で成果につながるロジカルシンキングの本質と、独学で鍛える方法、今日から現場で実践できるヒントをお届けします。

ロジカルシンキングは“頭の使い方”をデザインする技術

「ロジカルシンキング」と聞くと、なんだか小難しく感じるかもしれません。ですがその正体は、考えの「順番」と「整理の仕方」を決めるシンプルな技術です。

人の頭の中は、常に情報や感情が渦巻いています。

特にビジネス現場では、

• 課題が複雑で焦点が見えない

• 複数の意見や立場が交差している

• 判断材料が足りない中で結論を求められる

といった状況が当たり前です。こうした場面では、直感や思いつきではなく、構造化された思考プロセスが求められます。

ロジカルシンキングは、情報を分解し、再構築しながら「なぜそうなるのか」を筋道立てて導くための“思考の地図”なのです。

実務で求められる3つのロジカル思考スキル

ビジネス現場でロジカルシンキングを使いこなすには、以下の3つの力が土台になります。

1. MECE(ミーシー):漏れなくダブりなく、情報を分ける力

MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)とは、「モレなく、ダブりなく」情報を分類する手法です。

たとえば、「売上が下がっている」という課題に対して、原因を分類するときに、

• 顧客数の減少

• 客単価の低下

• 商品構成の問題

というように、重複せず、全体をカバーする視点を持てるかが重要です。

このスキルは、問題の本質を正確に捉える第一歩になります。

2. So What? / Why So?:論理のつながりを確認する問い

プレゼンや会議でありがちなのが、「それって、なぜ?」「だから何?」と問われて言葉に詰まるケースです。

これは論理の飛躍や説明不足がある状態。

そこで重要になるのが、

• 「So What?」=それで、何が言いたいのか?

• 「Why So?」=なぜ、そう言えるのか?

という“思考のチェックポイント”を日常的に意識すること。

この2つの問いを自分自身に繰り返すことで、論理の筋道が明確になります。

3. ピラミッド構造:結論から展開し、理由を支える

ロジカルに伝える技術の代表が、「ピラミッドストラクチャー」です。

これは、最初に結論を伝え、その下に根拠や事例を並べる構造で、非常に明快な伝達手法です。

たとえば、

「今期のプロジェクトは、外部委託を増やすべきです。理由は3つあります。1つ目は…」

といった形で、結論→理由→根拠の順に並べることで、聞き手の理解と納得を得やすくなります。

独学でロジカルシンキングを鍛える3つのステップ

では、忙しいビジネスパーソンがロジカルシンキングを独学で深めるには、どのようなステップが効果的でしょうか?以下の順で取り組むと、実践知として定着していきます。

ステップ1:名著に触れて“思考の型”を知る

まずは、優れた書籍から「型」を学ぶことが第一歩です。おすすめは以下の2冊です:

• 『ロジカル・シンキング』(照屋華子・岡田恵子 著)

 → MECE・So What/Why Soの基本と実務応用が豊富

• 『入門 考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント 著)

 → ピラミッド構造の考え方と説得力ある文章構成法を体系的に学べます

書籍を読む際は、「自分の課題にこの理論をどう使えるか?」と常に実務への結びつきを意識して読み進めましょう。

ステップ2:日常の言語化トレーニングをする

インプットだけで終わらず、“言葉にする習慣”が極めて重要です。

おすすめは、1日1テーマで以下のような問いに答える練習です:

• 「今日、職場で困ったことは?→なぜ起きた?→どう解決できる?」

• 「最近の業務改善アイデア→どんな課題があり→どう改善すると良いか?」

このように、自分の中の考えを構造化し、言葉にしてみる訓練は、どんなロジカル本を読むよりも力になります。

ステップ3:フィードバックを得ながら“伝える場”を持つ

最終ステップは、「考えたことを実際に伝えてみる」ことです。

社内会議、プレゼン、業務報告書、提案メール…伝える場は日常にたくさんあります。

その中で、

• 結論が伝わっているか?

• 話の筋が通っているか?

• 相手が納得しているか?

を振り返り、上司や同僚からフィードバックをもらうことが成長の鍵です。

まとめ:論理は、人を動かす“力”になる

「論理的に考える」というと、冷たく機械的な印象を抱く人もいますが、それは誤解です。

本質的なロジカルシンキングとは、相手の理解を助け、納得を促し、共に前進するための“信頼の思考技術”です。

ロジカルな人は、決して言葉巧みなだけではありません。

考え方が整っているからこそ、他者に明快に伝えられ、実行につながるのです。

この力は、プレゼンや交渉の場面だけでなく、日々の会話、判断、リーダーシップにも応用可能です。

そして何より、自分自身の考えに自信が持てるようになるという、内面的な強さを育ててくれます。

ロジカルシンキングは、誰でも鍛えることができます。

今日の会議、明日の報告書、一つ一つの業務の中で、少しずつ“型”を意識して取り組んでみてください。

あなたの思考が整えば、行動も成果も、きっと変わっていきます。

関連記事一覧